体重と血圧の関係|痩せると血圧は下がる?何kg減らせばいい?

「血圧が高いから、少し体重を落としましょう」
健診や診察でそう言われたとき、
「何kgくらい痩せればいい?」
「5kg痩せたら、血圧はどのくらい下がる?」
「10kgならもっと下がる?」
と気になる方も多いと思います。
実際に体重を落としてみたものの、
「痩せたのに血圧があまり下がらない」
「前より血圧が高くなった気がする」
ということもあります。
肥満があり、減量が必要な方では、体重を減らすことで血圧の改善が期待できます。
研究では、体重1kgの減少につき、平均すると
- 上の血圧:約1.1mmHg
- 下の血圧:約0.9mmHg
低下するという関係が示されています。
ここでいう「平均」は、あなたの血圧がその通りに下がるという意味ではありません。
5kg痩せたら5mmHg。
10kg痩せたら10mmHg。
そんなふうに単純には決まりません。
だからこそ、何kg痩せたかと一緒に、自分の血圧がどう変わったかを見ることが重要です。
この記事では、体重と血圧の関係から、何kgを目標にすればいいのか、痩せても血圧が下がらないときは何を見るのかまで、順番に解説します。
目次
体重と血圧にはどんな関係がある?
肥満は、高血圧になりやすくする要因の一つ
体重が増えると、血圧にも影響が出やすくなります。
特に内臓脂肪が増えてくると、血圧を調整している神経やホルモン、腎臓での塩分・水分の調整などにも影響します。
結果として、血圧が上がりやすい状態につながります。
もちろん、肥満だから必ず高血圧になるわけではありません。
血圧には、年齢、塩分、飲酒、運動、睡眠、体質、薬なども関係します。
体重は、その中の一つです。
体重を減らすと、血圧も改善しやすくなる
肥満があり、減量が必要な方では、体重を減らすことで血圧も下がることが期待できます。
先ほど紹介したように、研究では体重1kgの減少につき、
上の血圧は約1.1mmHg、下の血圧は約0.9mmHg
低下するという平均的な関係が示されています。
ここで見たいのは「1kg=1mmHg」と覚えることではありません。
体重が減っていく途中で、自分の血圧がどう動いているか。
そこを見るための参考になる数字です。

何kg痩せると血圧は下がる?
「10kgくらい痩せないと意味がない」はありません
「血圧のために痩せる」と聞くと、
「かなり体重を落とさないと意味がないのでは?」
と思うかもしれません。
大幅な減量だけが目標ではありません。
肥満がある方では、数%の減量でも血圧や血糖、脂質などに良い変化がみられることがあります。
例えば80kgの方なら、3%は約2.4kgです。
最初から10kg、20kgという大きな数字を目指さなくても、身体の変化を見ることはできます。
5kg痩せたら、血圧はどのくらい下がる?
「1kgで約1mmHgなら、5kgで約5mmHg?」
そう考えたくなるところです。
5kg減量したときに、血圧がどのくらい下がるかは人によって違います。
もともとの血圧、塩分、飲酒、運動、睡眠、服薬なども関係するためです。
そこで、
5kg痩せたら何mmHg下がる“はず”か
を計算するより、
5kg減るまでに、自分の家庭血圧がどう変わったか
を見ます。
減量を始めた頃。
2kg減った頃。
5kg減った頃。
同じ条件で測った血圧を並べると、自分の変化が見えやすくなります。
10kg痩せたら、10mmHg下がる?
10kg減ったから10mmHg下がる、とは限りません。
体重と血圧は、同じ割合で一直線に動くものではないからです。
そもそも、血圧を下げるために10kgの減量が必要とは限りません。
まず考えたいのは、
「自分は何kg痩せるべきか」
です。
自分は何kgを目標にすればいい?
血圧を10mmHg下げたいから10kg痩せる。
そんな決め方はしません。
まず、自分に減量が必要なのか。
必要なら、どの程度を最初の目標にするのか。
ここから考えます。
肥満症では、まず現在の体重の3%が一つの目安
医学的に減量が必要な肥満症では、3〜6か月で現在の体重の3%程度を減らすことが、一つの目安になります。
例えば、
| 現在の体重 | 3%減量すると |
|---|---|
| 70kg | 約2.1kg減 |
| 80kg | 約2.4kg減 |
| 90kg | 約2.7kg減 |
80kgの方なら、まず約2.4kgです。
「10kg落とさないと意味がない」
と考えるより、ぐっと始めやすい数字ではないでしょうか。
ここでいう3%は、誰にでも当てはまる減量目標ではありません。
肥満症とは、BMI25以上の肥満があり、高血圧や糖尿病、脂質異常症など、肥満に関連する健康上の問題を伴う状態です。
痩せている方や、医学的に減量が必要ではない方まで体重を減らす必要はありません。
目標体重になる前から、血圧を見てみる
80kgから77.6kgを目指すとしても、
77.6kgになるまで血圧を見ない、ということではありません。
79kgになった頃。
78kg台になった頃。
途中でも家庭血圧を測っておきます。
すると、
「まだ1kgしか減っていないけれど、朝の血圧が少し変わってきた」
という変化にも気づけます。

20歳の頃の体重まで戻す必要はありません
「20歳の頃は60kgだった。今は70kgだから、10kg痩せた方がいい?」
昔の体重は、これまでの変化を知る手がかりになります。
その数字が、そのまま現在の目標体重になるとは限りません。
今のBMIや腹囲、血圧、血糖、HbA1c、中性脂肪、LDLコレステロールなどを見ながら考えます。
20歳の頃から体重が増えている方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→「20歳から10kg以上太ったら?健診で聞かれる理由と、今から見直したいこと」
痩せたのに血圧が下がらない・上がったときは?
体重は減った。
それなのに、血圧はあまり変わらない。
なかには、
「痩せたのに、前より血圧が高くなった気がする」
という方もいます。
そんなときは、「もっと痩せなければ」と体重だけを追いかけないことが大切です。
血圧は体重だけで決まるものではありません。
まずは、体重と血圧を分けて考えてみましょう。
痩せたのに血圧が下がらないとき
減量が順調でも、血圧に影響する生活習慣があまり変わっていないことがあります。
特に確認したいのが、塩分です。
食事量を減らして体重が落ちても、
- 外食が多い
- 麺類の汁をよく飲む
- 汁物を毎食とる
- 加工食品をよく食べる
- しょうゆやソースを多く使う
といった食生活が続いていれば、塩分摂取量は思ったほど減っていないかもしれません。
塩分を多く摂ると、体内に水分をため込みやすくなり、血圧を上げる方向に働きます。
「食べる量を減らすこと」と「血圧のための食事に変えること」は別です。
体重が落ちているのに血圧が変わらないときは、食事量だけでなく、味付けや外食、飲酒なども振り返ってみます。
睡眠不足やストレス、薬の飲み方なども血圧に影響します。
体重が減ったのに、血圧が上がっているときは
体重は減っている。
血圧は以前より高い。
この2つが同時に起きたからといって、「痩せたことが原因で血圧が上がった」とは限りません。
まず確認したいのは、血圧を同じ条件で比べているかどうかです。
朝なら朝。
夜なら夜。
なるべく同じ時間帯、同じ姿勢で数日間測ってみます。
例えば、
- 減量前は夜に測っていた
- 最近は朝に測っている
- 減量前は夏だった
- 最近は寒い時期に測っている
という違いがあれば、体重とは別の影響も混ざります。
血圧は、塩分、飲酒、睡眠、ストレス、気温、薬などでも変わります。
体重が減っているからといって、こうした要因まで一緒に改善しているとは限りません。
→「寒くなると血圧が上がるのはなぜ?秋から冬に高くなる原因と対策」
短期間で体重が減ったなら、水分の変化も確認する
数日で体重が大きく減ったときは、脂肪だけが減ったとは限りません。
例えば、
- 暑い日にたくさん汗をかいた
- 下痢や嘔吐が続いた
- 水分や食事を極端に減らした
- 利尿薬を使用している
といった場合は、体内の水分量が変化して体重が減ることがあります。
水分不足が強くなると、立ちくらみやふらつきが出たり、血圧が不安定になったりすることもあります。
そのため、短期間で体重が大きく動いたときは、
「脂肪が順調に減った」と体重計の数字だけで判断しないこと
も大切です。
何もしていないのに痩せてきた場合は、ダイエットとは分けて考える
食事や運動を見直して3kg減った。
何も変えていないのに3kg減った。
同じ「3kg減」でも、意味は違います。
食事や運動を変えていないのに体重が減り、同時に血圧も高くなっている場合は、
「痩せたから健康になった」
とは考えず、一度医療機関へ相談してください。
診察では、
「いつ頃から何kg減ったか」
「家庭血圧がどのくらいになったか」
を伝えると、経過が分かりやすくなります。
血圧のために体重を減らすなら、何から始める?
体重も血圧も気になると、
「食事も運動も全部変えなければ」
と思ってしまいがちです。
最初から全部ではなく、今の生活で変えやすいものから始めます。
体重につながりそうな習慣を一つ変える
例えば、
| 今の習慣 | まず変えてみること |
|---|---|
| 甘い飲み物を毎日飲む | 1本を水・無糖のお茶にする |
| お菓子を袋のまま食べる | 食べる分だけ取り分ける |
| いつも大盛り | 普通盛りにする |
夕食を半分にする。
炭水化物を全部抜く。
そんな大きな変更から始める必要はありません。
続けられそうなものを一つ選びます。
血圧のために、減塩も一つ
高血圧では、食塩6g/日未満が一つの目標になります。
毎日の塩分量を細かく計算するのが難しければ、行動に置き換えてみます。
- 麺類の汁を残す
- しょうゆやソースをかけすぎない
- まず食べてから、必要なら調味料を足す
体重のために一つ。
減塩のために一つ。
このくらいから始めると、何を変えたのか自分でも分かりやすくなります。

運動も、続けられる量から
毎日1時間走る必要はありません。
10分歩く時間を作る。
近い距離なら歩く。
座っている時間を少し減らす。
今より体を動かす時間を増やしていきます。
持病がある方や、運動中に胸痛、強い息切れなどがある方は、運動量を増やす前に医師へ相談してください。
減量したら「体重以外の変化」も見てみよう
体重計を毎日見ていると、
「何kg減ったか」
ばかり気になります。
健康のために減量しているなら、その先も見てみます。
体重が減った。
では、血圧はどうなった?
ここまで見て初めて、自分にとっての減量の意味が分かってきます。
体重と家庭血圧を一緒に記録する
家庭血圧は、朝と夜に測ります。
朝
- 起床後1時間以内
- 排尿後
- 朝食前
- 降圧薬を飲んでいる方は服薬前
夜
- 就寝前
それぞれ原則2回測り、記録します。
1日だけではなく、数日続けて測ることで普段の血圧が分かりやすくなります。
「始めた頃」と「最近」を並べる
例えば、
| 見るもの | 始めた頃 | 最近 |
|---|---|---|
| 体重 | 80.0kg | 77.6kg |
| 朝の家庭血圧 | 記録 | 記録 |
| 夜の家庭血圧 | 記録 | 記録 |
| 食事 | 甘い飲み物が多い | 水・お茶が増えた |
| 運動 | ほぼなし | 歩く日が増えた |
朝の血圧は朝どうし。
夜の血圧は夜どうし。
数日分を比べると、1回の数字だけでは分からない変化が見えてきます。
平均を計算するのが大変なら、記録したものをそのまま診察へ持参しても構いません。

体重や生活習慣を記録する方法については、こちらの記事でも紹介しています。
→「シンクヘルスで始める、続けられるダイエット」
血糖や脂質も見てみる
減量による変化は、血圧だけとは限りません。
健診結果が手元にあれば、
- HbA1c
- 中性脂肪
- LDLコレステロール
も以前の値と比べてみます。
「3kg痩せた」
だけで終わらず、
3kg減ったことで、身体の中で何が変わったのか。
そこまで見ると、体重計だけでは分からなかった変化が見えてきます。
【関連記事】
「健康診断でHbA1cが高いと言われたら?」
「脂質異常症の症状は?」
血圧の薬や受診について知っておきたいこと
痩せたら血圧の薬をやめられる?
体重が減って血圧も安定してくると、
「薬を減らせるのでは?」
と思う方もいます。
降圧薬は、自分の判断で減らしたり中止したりしないでください。
薬を見直すときには、
- 家庭血圧
- 体重の変化
- 血圧が安定している期間
- 現在飲んでいる薬
- ほかの病気や治療
なども確認します。
体重と家庭血圧の記録があれば、診察時に持参してください。
高い血圧が続くなら、「もう少し痩せてから」を待たない
家庭血圧で135/85mmHg以上が続いている場合は、一度医療機関へ相談してください。
「あと3kg痩せれば下がるかもしれない」
と待ち続ける必要はありません。
当院でも、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を診療しています。
→「一般内科・生活習慣病」はこちら
急な症状があるときは、減量とは切り離して考える
血圧が高いときに、
- 突然、片側の手足に力が入らない
- 顔の片側がゆがむ
- 急に言葉が出ない
- ろれつが回らない
- 突然の激しい頭痛
- 強い胸痛
- 強い息苦しさ
- 意識の様子がおかしい
といった症状がある場合は、減量の経過を見る場面ではありません。
119番への連絡を含め、速やかな対応が必要です。
体重と血圧についてよくある質問
5kg痩せたら血圧は下がりますか?
肥満があり減量が必要な方では、5kgの減量によって血圧が下がることが期待できます。
下がる幅は人によって違います。
減量を始める前と、体重が減った後の家庭血圧を同じ条件で比べてみてください。
10kg痩せると血圧はどのくらい下がりますか?
10kg痩せたら10mmHg下がる、という計算はできません。
体重が減るほど血圧も改善しやすくなりますが、実際の変化には個人差があります。
最初から10kgという大きな数字を目指す前に、自分にはどの程度の減量が必要なのかを考えます。
肥満でも血圧が正常なことはありますか?
あります。
肥満は高血圧になりやすくする要因の一つです。
現在の血圧が正常でも、体重や腹囲、血糖、脂質なども合わせて見ておくと、健康状態の変化に気づきやすくなります。
痩せているのに血圧が高いのはおかしいですか?
痩せている方でも高血圧になることはあります。
体重だけで血圧が決まるわけではありません。
痩せている方が、血圧を下げるためにさらに体重を減らす必要があるとは限りません。
痩せると下の血圧も下がりますか?
下の血圧も低下する傾向があります。
研究では、体重1kgの減少につき、下の血圧は平均約0.9mmHg低下するという関係が示されています。
痩せたのに血圧が上がることはありますか?
あります。
まず、朝なら朝、夜なら夜と、同じ条件で数日間測ってみます。
高い状態が続く場合は、塩分、飲酒、睡眠、ストレス、薬、季節など、体重以外に変わったことがないかも確認します。
食事や運動を変えていないのに体重が減り、血圧の上昇も続いている場合は医療機関へ相談してください。
健康のために体重を見直したい方へ
「何kg痩せれば、血圧は下がる?」
この記事を読み始めたきっかけは、そこだったかもしれません。
体重を減らすことで、血圧の改善が期待できます。
その先に見たいのは、
体重を減らしたことで、自分の身体がどう変わったか。
2kg減った。
血圧が変わった。
3kg減った。
HbA1cが変わった。
中性脂肪やLDLコレステロールも変わってきた。
「何kg痩せたか」で終わらせず、
健康になるために体重を見直す。
それが、減量に取り組む一つの考え方です。
「自分はそもそも痩せた方がいいのか」
「何kgを目標にしたらいいのか」
「血圧だけでなく、血糖や脂質も気になっている」
そんな段階から相談できます。
けやき脳神経リハビリクリニックでは、医師による診察に加え、管理栄養士や健康運動指導士などと連携しながら、食事・運動・生活習慣を含めた体重管理を行っています。
目指しているのは、単に体重を減らすことではありません。
高血圧、糖尿病、脂質異常症なども含め、健康状態の改善につなげていくことです。
医師プロフィール
林 祥史 院長
私立灘高校卒/東京大学医学部医学科卒
けやき脳神経リハビリクリニック 院長
資格・所属学会
【資格】 日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医、日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
【所属学会】 日本脳神経外科学会、日本脳血管内治療学会、日本脳卒中学会、日本リハビリテーション医学会、日本頭痛学会、日本めまい平衡医学会、American Academy of Family Physicians、Cambodian Medical Association
クリニック情報
けやき脳神経リハビリクリニック
院長:林 祥史(・日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医・日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医)
所在地:東京都目黒区下目黒2-14-13下目黒HAPPYビル1~3階(受付2階)
診療科目:脳神経外科・リハビリテーション科・内科
検査設備:MRI、レントゲン、超音波など
公式サイト:https://keyaki-nrc.com/