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【医師監修:専門家が解説】パーキンソン病の「動きの改善」に欠かせないリハビリの効果とは?4大兆候への対策も紹介!

リハビリで変わる「動きの質」と生活の質

パーキンソン病と診断され、「この先、身体の動きはどうなってしまうのだろう」と不安を感じている方も多いでしょう

しかし、パーキンソン病におけるリハビリは、単なる筋力維持にとどまらず、あなたの動きの質と生活の質(QOL)を大きく変える可能性を秘めています

この記事では、なぜパーキンソン病のリハビリが重要なのか、そしてリハビリによってどのような効果が期待できるのかを、専門的な視点からわかりやすく解説します。私たちがサポートする4大兆候への具体的なケア方法も見ていきましょう

1. 『歩く』『笑う』を支える、脳内のドーパミンの役割

ドーパミンは、脳内で作られる神経伝達物質の一つで、脳の指令を神経から神経に繋ぐ、いわば『バトン』のような大切な役割をしています

「歩こう」「コップに手を伸ばそう」といった、私たちが当たり前に行う運動指令をスムーズに伝達してくれる、身体の動きの『潤滑油』です

パーキンソン病では何が起こるのか

パーキンソン病では、このドーパミンが少なくなることで、運動指令のバトンが上手く繋げず、以下のような症状として現れます

・手足がこわばる(固縮)

・足が出にくい、小刻みになる(無動・歩行障害)

・転びやすい(姿勢反射障害)

・楽にしていても手足が震える(安静時振戦)

・表情が乏しくなる(仮面用顔貌)

2. リハビリで最大限に引き出す!期待できる5つの効果

パーキンソン病のリハビリは、失われたドーパミンを補うことはできませんが、脳と身体の連携を再構築し、残された機能を最大限に引き出す効果があります

・動作の効率化:少ないエネルギーでスムーズに動けるようになり、疲労感を軽減します

・転倒リスクの軽減 :バランス能力や反射的な姿勢制御を改善し、転びにくい身体を目指します

・姿勢の改善:前傾姿勢を改善し、呼吸しやすく、見た目も若々しい姿勢を維持します

・小刻み歩行の改善:意識的に大きな歩幅で歩く練習により、歩行の安定性が向上します

・生活の質の向上 (QOL):日常生活動作(ADL)を維持・向上させ、活動的な時間を増やします

3. 理解と対策を深める、パーキンソン病の4大兆候

パーキンソン病の主な症状は、以下の4つの兆候に分類されます。リハビリでは、これらの兆候一つひとつに合わせた専門的なアプローチを行います

① 固縮(こしゅく):筋肉のこわばり

手足や身体の筋肉が持続的に力が入り、動かしにくくなる状態です。曲げる筋肉と伸ばす筋肉のバランスが崩れ、両方に力が入り続けてしまうことで生じます

リハビリの対策: 硬くなった筋肉を柔らかく、しなやかに使えるように専門的なストレッチや関節可動域訓練を行い、力を抜く感覚を養います

② 無動(むどう):動き出しにくさ、小刻み歩行

動こうとした時に身体が上手く動き出せなくなる症状です。運動指令の伝達が上手くいかないために起こります。特に小刻み歩行は、歩幅が細かくなる典型的な症状です

リハビリの対策: 大きな声やメトロノームなどの外部刺激(キューイング)を利用し、「大きな歩幅で歩く」「腕を大きく振る」といった運動を意識的に促します

③ 安静時振戦:手足が震える

じっとしているときに、手や足がフルフルと震える症状です

リハビリの対策:遠心性トレーニング、ゆっくりしゃがんだり、手をテーブルにつけて腕を曲げ伸ばししたりするように、筋肉が伸びながら力を出す運動を行います

④ 姿勢反射障害:バランスを立て直せない

身体のバランスを立て直す反応(反射指令)が上手く伝達されず、踏ん張りきれない、転びやすい状態です。咄嗟の反応ができず、転倒リスクが高まります

リハビリの対策: 身体の軸を意識した姿勢の調整と、前後に揺さぶられた際などに瞬時にバランスを取る転倒予防のためのバランス訓練を重点的に行います

その他 仮面用顔貌(かめんようがんぼう):表情の乏しさ

表情を作る顔面筋に運動の指令が上手く伝達されず、顔が固まったかのように強張って見える状態です。

リハビリの対策: 顔の筋肉を動かす表情筋エクササイズや、声をしっかり出すための発声訓練を合わせて行い、コミュニケーションの円滑化を図ります

4. 継続が“脳+身体”に効果的:専門リハビリの価値

4大兆候から分かるように、パーキンソン病では、筋肉に力が入りやすくなり、動作が小さく、少なくなりやすいのが特徴です

専門的なリハビリを続けることは、硬くなりやすい身体の動作そのものの質を変えるだけでなく、動きを司る脳にも良い影響を持続させます

早期からのリハビリや身体ケアは、将来的な動作能力や生活の質の向上に非常に良い効果をもたらします

5. けやき脳神経リハビリクリニックのサポート体制

けやき脳神経リハビリクリニックでは、脳神経に特化した専門のスタッフが一人一人の身体に合わせたリハビリ内容を提案し、サポート致します

動作解析、マシントレーニングなど、様々な最新の機器を取り入れながら、効果的なリハビリ内容を提案致します。諦めず、一緒に一歩ずつ「動きの質の改善」を目指しましょう

パーキンソン病に関する内容を、今後も掲載致します。ご興味のありましたら、HPの方をご確認下さい

参考文献:

・武田篤.パーキンソン病療養指導士テキストブック.アルタ出版.2023

・金子唯史.パーキンソン病の機能促通.医学書院.2025