頭をぶつけたら病院へ行くべき?血が出たときの対処法と受診の目安

不意の転倒やスポーツ、交通事故などで頭をぶつけたとき、「すぐに病院へ行くべきか」「このまま様子を見ていて大丈夫か」と不安になる方は少なくありません。
頭のケガは、見た目が軽そうでも頭の中で出血が起きている場合があります。また、ぶつけた直後には目立った症状がなく、数時間から数日後に頭痛や嘔吐、意識や行動の変化が現れることもあります。
この記事では、頭をぶつけたときに最初に確認すること、どの程度で病院を受診すべきか、血が出たときの応急処置、子ども・高齢者で注意したい点、CTとMRIの使い分けについて、脳神経外科の視点から分かりやすく解説します。
すぐに確認するポイント
意識や呼吸に異常がある、けいれんが起きた、手足に明らかな麻痺がある、何度も繰り返し吐くなどの症状がある場合は、重い頭部外傷の可能性があります。安全に移動できない場合や状態が悪い場合は、救急車を要請してください。
頭から血が出ている場合は、傷に異物が刺さっていたり、頭の形に明らかな変形がみられたりしなければ、清潔なガーゼやタオルを当てて持続的に圧迫します。
目次
頭をぶつけたら最初に確認すること
頭をぶつけた直後は、まず落ち着いて本人の状態と周囲の状況を確認しましょう。
確認したいのは、次の4点です。
意識状態に変化はないか
呼びかけに対して、普段どおりすぐに反応するかを確認します。
一瞬でも意識を失った、ぶつけた前後の記憶がない、返事が遅い、会話がかみ合わないといった場合は、医療機関での評価が必要です。意識消失や健忘、意識状態の変化は、頭部外傷を評価するうえで重要な情報となります。
目立つ傷や出血はないか
頭皮の傷は髪の毛に隠れて見えにくいことがあります。頭部全体を無理に押さえず、出血、傷口、腫れ、たんこぶ、明らかなへこみがないかを確認してください。
出血がある場合は、後述する方法で応急処置を行います。
頭痛、吐き気、嘔吐はないか
強い頭痛、徐々に悪化する頭痛、繰り返す嘔吐は、頭蓋内出血などを疑うきっかけとなる症状です。
症状が直後にはなくても、数時間から数日後に現れることがあるため、その後の変化にも注意してください。
手足の動きや会話に異常はないか
次のような変化がないか確認します。
- 手足に力が入りにくい
- 片側の手足が動かしづらい
- しびれがある
- 立てない、歩くとふらつく
- ろれつが回らない
- 会話がかみ合わない
こうした神経症状がある場合は、早急な医療評価が必要です。

頭をぶつけたら病院へ行くべき?受診の目安
「どの程度なら病院へ行くべきか」は、ぶつけた強さだけでは判断できません。
意識消失や健忘の有無、嘔吐、神経症状、年齢、服用している薬、受傷した状況などを総合的に評価する必要があります。
緊急度A:救急要請を考える症状
以下のような症状がある場合は、重い頭部外傷の可能性があります。
安全に移動できない、意識や呼吸に異常がある、けいれんや明らかな麻痺がある場合は、救急車を要請してください。
- 意識がもうろうとしている
- 呼びかけへの反応が鈍い
- 意識を失っている
- 呼吸の状態がおかしい
- 会話がかみ合わない
- 普段と明らかに様子が違う
- 手足に力が入らない
- 立てない、歩けない
- 頭をぶつけた後にけいれんが起きた
- 何度も繰り返し吐く
- 強い頭痛が悪化している
- 傷口が大きく開いている
- 持続的に圧迫しても出血が止まらない
- 頭の形が明らかにへこんでいる
- 傷から骨が見える
判断に迷う場合も、救急相談または医療機関へ連絡してください。
緊急度B:当日中に受診したいケース
救急車を呼ぶほどではなくても、次のような状況では当日中の受診を検討してください。
- 転落や交通事故など、大きな衝撃が加わった
- スポーツ中に強く頭を打った
- 硬い床や地面に勢いよく頭を打ちつけた
- 一瞬でも意識を失った
- ぶつけた前後の記憶が曖昧
- 頭痛や吐き気が続いている
- 時間とともに症状が強くなっている
- 傷が開いている
- 出血が続いている
- 高齢者が頭をぶつけた
- 抗血小板薬や抗凝固薬などを服用している
- 子どもで普段と様子が違う
高齢者や抗血栓薬を服用している方では、軽い頭部外傷でも頭蓋内出血が起きることがあり、症状が分かりにくい場合もあります。薬は自己判断で中止せず、受診時に薬の名前を医師へ伝えてください。
緊急度C:自宅で注意深く経過を見られることがあるケース
次の状態がそろっている場合は、自宅で経過を見られることもあります。
- 意識がはっきりしている
- 普段どおり会話できる
- 普段どおり歩ける
- 繰り返す嘔吐がない
- 強い頭痛がない
- 手足や会話に異常がない
- 出血が止まっている
- 症状が悪化していない
ただし、受傷状況、年齢、持病、服用している薬によって判断は異なります。
頭部外傷や脳震盪の症状は、数時間から数日後に気づかれることもあります。自宅で様子を見る場合も、普段と違う変化がないか注意してください。

頭をぶつけて血が出たときの応急処置
頭皮には多くの血管があるため、小さな傷でも多く出血することがあります。
慌てず、まず出血を止めることが大切です。
まずは圧迫止血
傷に異物が刺さっていないことを確認し、清潔なガーゼやタオルを傷口に当てます。
途中で何度もガーゼを外して確認せず、5~10分程度を目安に持続して圧迫してください。出血が止まるまで、同じ場所を動かさずに押さえ続けます。
血が染み出してきた場合は、最初のガーゼを外さず、その上から新しいガーゼを重ねて圧迫します。
次の場合は、傷口を直接強く押さえないでください。
- 異物が刺さっている
- 頭の形が明らかにへこんでいる
- 骨が見えている
- 傷が深く、内部の組織が見える
異物を無理に抜かず、圧迫する場合も異物を避けて周囲を支え、救急要請を検討してください。
傷を洗うときの注意
出血が落ち着いた一般的な切り傷では、流水などで砂や汚れを洗い流し、清潔なガーゼや被覆材で覆います。
強い消毒薬を傷の奥まで使用するのではなく、まずは水で十分に洗うことが基本です。傷が深い、汚れが取れない、動物や人にかまれた傷などでは、医療機関へ相談してください。
縫合やステープラーが必要になる場合
次のような傷では、医療機関での処置が必要になることがあります。
- 持続的に圧迫しても出血が止まらない
- 傷口が大きく開いている
- 傷が深い
- 傷の中に異物や汚れが残っている
- 顔や額など目立つ場所に傷がある
- 傷口の周囲に感覚低下や動かしづらさがある
医療機関では、傷の部位、深さ、汚染の程度を確認し、必要に応じて洗浄、縫合、ステープラーによる閉鎖処置を行います。
ステープラー(医療用ホッチキス)は、主に頭皮の傷を短時間で閉じる方法として用いられます。
針と糸による縫合は、傷の場所や形、深さなどに応じて行われます。
処置後の注意点
処置後は、傷を清潔に保ち、ガーゼ交換、洗髪、シャワー、入浴について医師の指示に従ってください。
洗髪や入浴を再開できる時期は、傷の状態や処置方法によって異なります。自己判断で一律に制限するのではなく、診察時に案内された方法と時期を守りましょう。

頭をぶつけた後に起こる主な病気
頭部外傷で特に注意したいのは、頭蓋骨の内側や脳そのものに起きる出血・損傷です。
急性硬膜外血腫
頭蓋骨と、脳を覆う硬膜との間に血液がたまる病気です。
頭蓋骨骨折などに伴って血管が損傷して起こることがあります。受傷直後は会話ができていても、時間が経ってから意識状態が悪化する場合があります。
急性硬膜下血腫
硬膜と脳の間に血液がたまる病気です。
転倒、転落、交通事故などによる強い衝撃で、脳の表面の血管が損傷して起こります。意識障害や手足の麻痺などがみられることがあります。
脳挫傷
強い衝撃によって脳の組織そのものが傷つき、出血や腫れを起こした状態です。
頭痛、嘔吐、意識障害、けいれん、手足の麻痺など、損傷した場所に応じてさまざまな症状が現れます。
外傷性くも膜下出血
脳の表面を覆うくも膜の下に出血が広がった状態です。
頭部に強い衝撃が加わった際に起こり、頭痛や嘔吐、意識状態の変化などを伴うことがあります。
これらの病態では早期の診断と適切な治療が重要です。頭痛や嘔吐が強くなる、意識や行動が変化するなどの症状があれば、速やかに医療機関を受診してください

子ども・高齢者が頭をぶつけたときの注意点
子どもの場合
子どもはベッドやソファ、階段、遊具などから転落し、頭をぶつけることがあります。
乳幼児は自分の症状を言葉で十分に伝えられないため、普段との違いを周囲の大人が確認することが大切です。
次のような変化に注意してください。
- 繰り返し吐く
- ぐったりしている
- 呼びかけへの反応が普段と違う
- 異常に眠そうで起こしにくい
- けいれんが起きた
- 歩き方がおかしい
- 泣き方や機嫌が普段と明らかに違う
- 食事や授乳ができない
- 頭痛を繰り返し訴える
意識や反応が普段どおりで、繰り返す嘔吐、けいれん、強い眠気などがなく、症状が悪化していない場合は、自宅で経過を見られることもあります。
ただし、脳震盪などの症状は直後には分かりにくく、数時間から数日後に気づかれる場合があります。受傷状況や普段との違いに不安がある場合は、小児科、脳神経外科または救急医療機関へ相談してください。

高齢者・抗血栓薬を服用中の場合
高齢者や、脳梗塞・心臓病などの予防で抗血小板薬や抗凝固薬を服用している方は、軽い転倒や打撲でも頭蓋内出血が起きることがあります。
抗血栓薬は自己判断で中止せず、受診時に薬の名前やお薬手帳を医師へ見せてください。
数週間から数か月後に現れる慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫は、頭をぶつけてから数週間から数か月後に、硬膜と脳の間に少しずつ血液がたまり、脳を圧迫する病気です。
次のような変化がみられることがあります。
- 頭痛が続く
- 足元がふらつく
- 歩きにくくなる
- 片側の手足が動かしづらい
- 物忘れが急に増える
- 会話がかみ合わない
- 元気がなくなる
- 日中にぼんやりしている時間が増える
→合わせて読みたい 【こんな症状ありませんか?慢性硬膜下血腫】
「年齢のせい」「認知症が進んだ」と思われる変化の中に、慢性硬膜下血腫が隠れていることがあります。
過去数か月以内に頭を打った可能性があり、その後に歩行や認知機能、元気の変化が現れた場合は、脳神経外科へ相談してください。

頭部外傷のCTとMRIの違い|当院でできる検査・処置
頭部外傷では、CTとMRIのどちらか一方が常に優れているわけではありません。
急性の出血や頭蓋骨骨折を短時間で確認するにはCTが適しており、CTで症状の原因が十分に分からない場合や、さらに詳しい脳の評価が必要な場合にMRIが検討されます。
CTが選ばれる場面
CTはX線を使って、頭の断面画像を短時間で撮影する検査です。
急性の頭蓋内出血や頭蓋骨骨折を速やかに確認するのに適しており、緊急性の高い頭部外傷では初期画像検査として選ばれます。
MRIが検討される場面
MRIは強力な磁石と電波を用いる検査で、放射線による被ばくはありません。
CTで明らかな異常がなくても神経症状が続く場合、受傷後しばらく経ってから症状が現れた場合、脳の状態をより詳しく確認する必要がある場合などに、診察所見を踏まえて検討されます。
なお、脳震盪は一時的な脳機能の変化であり、CTやMRIで明らかな異常がみられないことも少なくありません。画像だけでなく、受傷状況、症状、神経学的な診察を含めて総合的に判断します。
当院で対応できること
けやき脳神経リハビリクリニックでは、頭をぶつけた患者さんの状態に合わせて、次の診療・処置を行っています。
- 脳神経外科専門医による診察・評価
- 診察内容に応じたMRI検査
- 必要な部位のレントゲン検査
- 傷の洗浄
- 必要に応じた縫合
- ステープラーによる頭皮の傷の処置
- 傷の状態を確認するための再診
頭蓋内出血や頭蓋骨骨折を緊急に評価する必要がある場合は、CT検査が可能な医療機関へご紹介します。また、入院治療や手術が必要と判断した場合は、対応可能な医療機関と連携します。

頭をぶつけた後の過ごし方と再受診の目安
診察や画像検査で大きな異常がなく、自宅で経過観察となった場合も、すぐに通常どおりの生活へ戻すのではなく、症状を見ながら過ごしましょう。
受傷後の過ごし方
無理をせず休息をとる
受傷直後は、頭痛やめまい、吐き気、疲労感などがないか注意しながら過ごします。
症状を悪化させる活動は避け、体調に合わせて日常生活へ戻していきます。脳震盪が疑われる場合、症状は時間が経ってから目立つこともあります。
飲酒を控える
飲酒をすると、眠気やふらつきなどが外傷による症状なのか、アルコールによるものなのか判断しづらくなります。
少なくとも症状がある間や医師から制限を受けている間は、飲酒を控えてください。
運転を控える
頭痛、めまい、眠気、集中力低下などがある場合は、自動車や自転車の運転を避けてください。
再開時期は症状や受傷状況によって異なるため、必要に応じて医師へ相談しましょう。
スポーツは段階的に再開する
頭をぶつけた後、とくに脳震盪が疑われる場合は、症状が残ったまま競技へ復帰しないことが重要です。
競技復帰は、症状の経過を確認しながら段階的に進めます。
傷がある場合は医師の指示に従う
洗髪、シャワー、入浴を再開する時期は、傷の深さや縫合方法によって異なります。
処置を受けた医療機関から案内された方法と時期を守ってください。

再受診したい症状
一度診察を受けた後でも、次のような変化があれば再受診してください。
- 頭痛が徐々に強くなる
- 繰り返し吐く
- 吐き気が強くなる
- ぼんやりしている
- 呼びかけへの反応が鈍い
- 会話がかみ合わない
- 歩行が不安定になる
- 手足が動かしづらい
- けいれんが起きた
- 家族から見て普段と様子が違う
頭部外傷や脳震盪の症状は、受傷直後だけでなく、時間が経ってから現れることがあります。
頭痛やめまいが続く場合
頭をぶつけた後も頭痛やめまいが続く場合や、画像検査で大きな異常がないと言われても症状が改善しない場合は、以下の記事もご覧ください。
受傷直後の受診判断とは別に、症状が長引く原因やMRIの役割について解説しています。
頭をぶつけたときのよくある質問
頭をぶつけた後は寝てもよいですか?
危険な症状がなく、普段どおり受け答えができている場合は、眠ること自体を無理に避ける必要はありません。
ただし、眠っていて呼びかけても起きにくい、起きた後に繰り返し吐く、頭痛が悪化する、会話がかみ合わないなどの変化がある場合は、速やかに受診してください。医療機関から個別に観察方法の指示を受けた場合は、その指示に従いましょう。
たんこぶだけなら様子を見てもよいですか?
意識がはっきりしており、頭痛、嘔吐、手足の異常などがなければ、自宅で経過を見られる場合があります。
たんこぶを無理に揉んだり押したりせず、布に包んだ保冷剤や氷のうなどでやさしく冷やしてください。
たんこぶが急に大きくなる、強い痛みがある、頭の形が不自然にへこんでいる、頭痛や嘔吐を伴う場合は受診してください。
頭から血が出た場合は何科を受診しますか?
頭皮の傷と頭の中の状態を同時に評価する必要があるため、脳神経外科への相談が適しています。
ただし、意識がない、けいれんが起きた、明らかな麻痺がある、出血が止まらないなど緊急性が高い場合は、診療科にこだわらず救急車を要請してください。
頭をぶつけた後、何日くらい注意が必要ですか?
特に受傷後24~48時間は症状の変化に注意しますが、その後に症状が現れることもあります。
数日間は普段との違いを確認し、高齢者では数週間から数か月後に慢性硬膜下血腫の症状が現れる場合があることにも注意してください。
CTとMRIのどちらを受ければよいですか?
現在の症状、緊急度、年齢、受傷状況、受傷からの時間を踏まえて医師が判断します。
急性出血や頭蓋骨骨折を疑う場合はCTが選ばれ、CTだけでは症状の原因が十分に分からない場合や、より詳しい脳の評価が必要な場合にはMRIが検討されます。患者さん自身で検査を選ぶ必要はありません。
頭をぶつけたときのポイント
- 意識や呼吸の異常、けいれん、明らかな麻痺、繰り返す嘔吐がある場合は救急要請を検討する
- 頭から血が出たら、異物や明らかな変形がなければ清潔なガーゼやタオルで持続的に圧迫する
- 症状が軽くても、時間が経ってから変化することがある
- 高齢者や抗血栓薬を服用中の方は、軽い打撲でも早めに医療機関へ相談する
- 画像検査で大きな異常がなくても、頭痛やめまいが続く場合は再診を検討する
医師プロフィール
院長:林 祥史
私立灘高校卒/東京大学医学部医学科卒
けやき脳神経リハビリクリニック 院長
資格・所属学会
【資格】 日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医、日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
【所属学会】 日本脳神経外科学会、日本脳血管内治療学会、日本脳卒中学会、日本リハビリテーション医学会、日本頭痛学会、日本めまい平衡医学会、American Academy of Family Physicians、Cambodian Medical Association
クリニック情報
けやき脳神経リハビリクリニック
院長:林 祥史(・日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医・日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医)
所在地:東京都目黒区下目黒2-14-13下目黒HAPPYビル1~3階(受付2階)
診療科目:脳神経外科・リハビリテーション科・内科
検査設備:MRI、レントゲン、超音波など
公式サイト:https://keyaki-nrc.com/