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健康診断でHbA1cが高いと言われたら?5.6・6.0・6.5%の見方と脳梗塞との関係

健康診断でHbA1cが高いと言われた場合の数値の見方と脳梗塞との関係を解説するイメージ

「健康診断でHbA1cが高いと言われた。でも特に症状はない」

「HbA1c 5.8%、6.0%って高いの?」

「6.5%を超えたら糖尿病?」

「血糖値は正常だったのに、なぜHbA1cだけ高い?」

健診結果を見て、このように気になった方もいるでしょう。

HbA1cが高くても、初期には自覚症状がほとんどないことがあります。

まず確認したいのは、

HbA1cはいくつだったのか。
血糖値はどうだったのか。
去年と比べて上がっているのか。

という点です。

そして、もう一つ知っておきたいのが血管との関係です。

高血糖が長く続く糖尿病では、全身の血管に影響が及び、動脈硬化や脳梗塞などのリスクにもつながります。

この記事では、HbA1cとは何か、5.6%・6.0%・6.5%などの数値をどう見るのか、症状がなくても注意する理由、そして動脈硬化・脳梗塞との関係まで解説します。

HbA1cが高いと言われたら?まず数値を確認

HbA1cとは?

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、赤血球のヘモグロビンにブドウ糖が結合したものです。

血糖値が高い状態が続くほどHbA1cも高くなるため、過去1〜2か月を中心とした最近の血糖状態を反映する指標として使われています。

ここでよくあるのが、

「血糖値は正常だったのに、HbA1cが高かった」

という疑問です。

血糖値とHbA1cでは、見ている時間が違います。

検査主に見ているもの
血糖値採血した時点の血糖状態
HbA1c過去1〜2か月を中心とした最近の血糖状態

血糖値は、食事や運動、採血した時間などによって変動します。

HbA1cは直前の食事だけで大きく変化する検査ではありません。

そのため、血糖値とHbA1cを一緒に見ることで、血糖の状態をより把握しやすくなります。

血糖値は採血時点、HbA1cは過去1〜2か月を中心とした最近の血糖状態を反映する違いを示した図

HbA1c 5.6%・6.0%・6.5%は高い?

健康診断でHbA1cを指摘されると、

「5.6%は高い?」
「6.0%なら糖尿病?」
「6.5%を超えたら糖尿病?」

と、自分の数値が気になると思います。

まずは目安を整理してみましょう。

HbA1c健診での見方
5.5%以下特定健診の保健指導判定値未満
5.6〜5.9%保健指導判定値以上。生活習慣やほかのリスクも確認
6.0〜6.4%より高い範囲。血糖値の確認や精密検査を検討
6.5%以上「糖尿病型」の基準の一つ。医療機関での評価が必要

ここで混同しやすいのが、

「健診で基準を超えた」ことと「糖尿病と診断された」ことは同じではない

という点です。

HbA1c 6.5%以上は、糖尿病の診断に使われる「糖尿病型」の基準の一つです。

糖尿病型にはほかにも、

  • 空腹時血糖値 126mg/dL以上
  • 75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値 200mg/dL以上
  • 随時血糖値 200mg/dL以上

などがあります。

HbA1cだけを繰り返し測定して糖尿病と診断することはできず、診断には血糖値による確認が必要です。

ですから、

「6.5%を超えたから糖尿病確定」

とも、

「6.4%以下だから問題ない」

とも、数字だけでは判断できません。

HbA1c 5.6%、6.0%、6.5%以上の数値を健康診断でどのように考えるかを示した図

「去年よりHbA1cが上がった」にも注目

今年の数値だけでなく、過去の健診結果が残っていれば並べてみてください。

例えば、

昨年 5.4%
↓
今年 5.9%

だった場合。

「まだ6.5%未満だから」と数値だけを見るのではなく、

  • 体重が増えていないか
  • 運動量が減っていないか
  • 食生活が変わっていないか
  • 血圧や脂質も変化していないか

を振り返るきっかけになります。

特に体重の変化は、血糖や血圧、脂質など複数の健診項目と一緒に見てみるとよいでしょう。

体重の変化と健診結果についてはこちら
→「20歳から10kg以上太ったら?健診で聞かれる理由と、今から見直したいこと」

体重増加や生活習慣の変化が背景にある場合には、血糖値だけでなく、体重や血圧、脂質などを含めて見直すことも一つの方法です。

当院では、医学的な減量支援を行うメディカルダイエット外来も設けています。

→ けやきのメディカルダイエット外来について詳しく見る

HbA1cが高くても症状がないことはある?

あります。

健康診断でHbA1cを指摘された方の中には、

「何も症状がないのに、本当に気にした方がいいの?」

と思う方もいるでしょう。

高血糖があっても、初期には自覚症状に乏しいことがあります。

血糖値がさらに高くなると、

  • のどが渇く
  • 水分をたくさん飲む
  • 尿の回数や量が増える
  • 体重が減る
  • 疲れやすい

などの症状が現れることがあります。

こうした症状が出てから初めて気づくとは限りません。

自分では気づいていない変化を、数値から見つけられる。

それも健康診断の役割の一つです。

頭痛やめまいはHbA1cが高い症状?

「最近の頭痛は血糖が高いから?」

「めまいがするのはHbA1cのせい?」

と考える方もいるかもしれません。

頭痛やめまいは、HbA1c高値に特徴的な症状ではありません。

頭痛には片頭痛や緊張型頭痛などさまざまな原因があり、めまいにも耳の病気をはじめ多くの原因があります。

そのため、

HbA1cが高い
+
頭痛やめまいがある

からといって、

HbA1cの高さが頭痛・めまいの原因

とは限りません。

一方で、

  • 片方の手足に力が入らない
  • 片側だけ突然しびれる
  • ろれつが回らない
  • 言葉が出にくい
  • 急に見え方がおかしくなる
  • 急に歩きにくくなった

などの症状が突然現れた場合は別です。

「HbA1cが高いからかな」と様子を見るのではなく、脳卒中などの可能性を考えて速やかに対応する必要があります。

HbA1cが高いとなぜ血管に注意する?

HbA1cを指摘されると、

「糖尿病なのか?」

というところに目が向きがちです。

脳神経外科の視点から、もう一つ知っていただきたいのが血管との関係です。

高血糖が長く続く糖尿病では、全身の血管や神経に影響が及びます。

代表的な慢性合併症を整理すると、次のようになります。

分類代表的な病気
細小血管合併症糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害
動脈硬化性疾患脳梗塞、冠動脈疾患、末梢動脈疾患など

糖尿病というと、

「血糖値の病気」

というイメージが強いかもしれません。

実際には、長期的には血管を含めた全身への影響を考える病気でもあります。

HbA1cだけでなく、血圧・コレステロールも見てみる

ここで一度、健康診断の結果をもう少し広げて見てみましょう。

HbA1c以外はどうでしょうか。

  • 血圧も高かった
  • LDLコレステロールも高かった
  • 中性脂肪も指摘された
  • 腎機能にも変化があった

ということはありませんか?

糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙などは、動脈硬化性疾患の代表的な危険因子です。

例えば、

HbA1cが高い
+
LDLコレステロールも高い
+
血圧も高い

という場合。

それぞれを別々の健診異常として見るだけでなく、血管に関係する危険因子が重なっているという見方もできます。

脂質異常症と動脈硬化・脳梗塞との関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。

脂質異常症と動脈硬化・脳梗塞の関係はこちら
→「脂質異常症の症状は?」

血圧も指摘されている場合はこちらも参考にしてください。

高血圧と脳卒中の関係はこちら
→「高血圧で頭痛がするのは危険?」

HbA1cや血糖、血圧、LDLコレステロール、中性脂肪、喫煙、体重、腎機能などを合わせて動脈硬化のリスクを考える図

HbA1cと脳梗塞の関係

では、HbA1cと脳梗塞はどのようにつながるのでしょうか。

ここは、直接イコールで考えない方が分かりやすいでしょう。

高血糖・糖尿病
↓
血管への影響
↓
動脈硬化が進みやすくなる
↓
頸動脈や脳血管にも病変が生じることがある
↓
脳梗塞のリスクにつながる

つまり、

「HbA1cが高いから脳梗塞になる」

という単純な話ではありません。

持続する高血糖や糖尿病によって動脈硬化が進みやすくなることが、脳梗塞との接点になります。

HbA1cが高いと、すでに脳の血管が狭くなっている?

HbA1cの数値だけでは分かりません。

例えばHbA1cが6.5%だったとしても、その数字だけから、

  • 頸動脈にプラークがある
  • 頸動脈が狭くなっている
  • 脳の血管に狭窄がある

とは判断できません。

検査によって、見ているものが違うからです。

検査主に見ているもの
HbA1c最近の血糖状態
血液検査血糖・脂質など
頸動脈エコー血管壁、プラーク、狭窄、血流など
MRA脳や頸部の血管の状態

HbA1cは「血糖の状態」を、画像検査は「血管の状態」を見ています。

HbA1cが高いという理由だけで、全員に頸動脈エコーやMRAが必要になるわけではありません。

症状、年齢、血圧、脂質、喫煙歴、既往歴などによって、必要な評価は変わります。

頸動脈エコーで分かることはこちら
→「脳梗塞予防の鍵『頸動脈エコー』とは?MRIとの違い・費用も解説」

HbA1cなどの血液検査と頸動脈エコーやMRAなどの画像検査では評価する対象が異なることを示した図

糖尿病の症状と脳梗塞の症状は別

糖尿病や高血糖は、症状がほとんどないまま進むことがあります。

一方、脳梗塞では突然、

  • 顔の片側がゆがむ
  • 片方の手足に力が入らない
  • 片方の手足が突然しびれる
  • ろれつが回らない
  • 言葉が出にくい
  • 急に見え方がおかしくなる
  • 急にバランスが取りにくくなる

などの神経症状が現れることがあります。

これらは、

「HbA1cが高いと出る症状」ではありません。

脳梗塞などを発症した際に現れる可能性のある症状です。

また、症状が短時間で消えた場合にも、一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があります。

突然このような症状が現れた場合には、健診の再検査を待たず、速やかな救急受診が必要です。

健診でHbA1cを指摘されたら何を確認する?

「結局、HbA1cが高かったら何を見ればいい?」

ここまでの内容を、実際の健診結果に当てはめてみましょう。

① HbA1cと血糖値を一緒に見る

まず、

  • HbA1c
  • 空腹時血糖
  • 随時血糖

などを確認します。

HbA1cと血糖値では、見ている時間軸が違います。

どちらか一つだけで判断せず、一緒に確認してみましょう。

② 過去の健診結果と比べる

前年や前々年の結果が残っていれば、並べてみてください。

例えば、

5.3 → 5.5 → 6.0%

と上がってきた場合と、

5.9 → 6.0 → 6.0%

では経過が違います。

過去の健診結果は、自分の変化を知るための情報になります。

③ 血圧・コレステロールも見る

次に、

  • 血圧
  • LDLコレステロール
  • HDLコレステロール
  • 中性脂肪
  • 腎機能
  • 体重・腹囲

なども見てみましょう。

「HbA1cだけ高かった」のか。
「ほかの項目にも変化があった」のか。

健診結果を横に見ることで、自分の状態を整理しやすくなります。

④ 健診結果の判定を確認する

最後に、健診結果に、

「要再検査」
「要受診」
「要精密検査」

などの記載がないか確認してください。

指示がある場合には、次の健康診断までそのままにせず、その判定に沿って医療機関へ相談してください。

よくある質問

HbA1cが高くても症状がないことはありますか?

あります。

高血糖があっても、初期には自覚症状に乏しいことがあります。

症状の有無だけではなく、健診結果を確認することが必要です。

血糖値は正常なのにHbA1cが高いことはありますか?

あります。

血糖値は採血した時点、HbA1cは過去1〜2か月を中心とした最近の血糖状態を反映するため、必ずしも同じ傾向になるとは限りません。

また、HbA1cは血糖以外の影響も受けます。

例えば、鉄欠乏性貧血ではHbA1cが高めに出ることがあり、溶血、出血、輸血、腎性貧血の治療などでは低めに出る場合があります。

血糖値とHbA1cが大きく食い違う場合には、こうした要因も含めて確認します。

HbA1cが高いと脳梗塞になりますか?

HbA1cが高いから必ず脳梗塞になるわけではありません。

一方、糖尿病は動脈硬化性疾患の危険因子の一つであり、脳梗塞とも関係します。

血糖だけでなく、血圧、脂質、喫煙などほかの危険因子も合わせて考えます。

HbA1cが高いと脳の血管が狭くなっているのですか?

HbA1cだけでは分かりません。

HbA1cは血糖状態を評価する検査であり、頸動脈や脳血管の狭窄、プラークの有無を直接調べる検査ではありません。

血管の状態を調べる場合には、目的に応じて頸動脈エコーやMRAなどの画像検査が用いられます。

HbA1cが高いと言われたら「その数字だけ」で考えない

健康診断でHbA1cが高いと言われたのに、体調はいつも通り。

これは珍しいことではありません。

高血糖は、初期には自覚症状に乏しいことがあります。

まず確認したいのは、

HbA1cはいくつだった?
血糖値は?
去年と比べてどう?

ということです。

そして、健診結果をもう少し広げて見てみてください。

血圧は?
LDLコレステロールは?
中性脂肪は?
体重は変わっていない?

HbA1cは、自分の血糖状態を知る一つの手がかりです。

糖尿病、高血圧、脂質異常症などはそれぞれ別の病気ですが、動脈硬化性疾患の危険因子になるという共通点があります。

脳神経外科の視点では、その先にある脳梗塞との関係も見逃せません。

一方で、

HbA1cが高い=脳梗塞になる

でも、

HbA1cが高い=すでに脳の血管が狭い

でもありません。

一つの数字だけを見て必要以上に不安になるのではなく、血糖値、ほかの健診項目、過去からの変化を一緒に見る。

健康診断でHbA1cを指摘されたら、まずそこから確認してみてください。

医師プロフィール

林 祥史 院長
私立灘高校卒/東京大学医学部医学科卒
けやき脳神経リハビリクリニック 院長

資格・所属学会
【資格】 日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医、日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医

【所属学会】 日本脳神経外科学会、日本脳血管内治療学会、日本脳卒中学会、日本リハビリテーション医学会、日本頭痛学会、日本めまい平衡医学会、American Academy of Family Physicians、Cambodian Medical Association

クリニック情報

けやき脳神経リハビリクリニック

院長:林 祥史(・日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医・日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医)
所在地:東京都目黒区下目黒2-14-13下目黒HAPPYビル1~3階(受付2階)
診療科目:脳神経外科・リハビリテーション科・内科
検査設備:MRI、レントゲン、超音波など
公式サイト:https://keyaki-nrc.com/

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