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【朝・寝起きの頭痛】脳圧・血管の異常かも?MRIで分かる“朝の頭痛”の危険サイン

【画像】朝、頭痛

1. 朝・寝起きの頭痛の原因は?「寝不足」や「枕のせい」ではないかも?

朝起きたとき、頭がズキズキする。寝起きに頭が重くてスッキリしない...
そんな経験はありませんか?
「寝不足かな」「枕が合わないのかも」と思いがちですが、朝・寝起きの頭痛は“脳”や“血管”からの警告サインであることがあります。
特に、毎朝のように頭痛や頭重感が続く場合、脳内圧(脳圧)上昇や血管の異常が関わっている可能性もあります。

2. 朝の頭痛の原因は「二次性頭痛」の可能性が高い

頭痛は、原因となる病気がない「一次性頭痛(片頭痛、緊張性頭痛など)」と、何らかの病気が原因となっている「二次性頭痛」に大別されます。
朝・寝起きに起こる頭痛は、睡眠中に体内で何らかの異常(換気不良や脳圧の変動など)が発生しているサインであり、二次性頭痛の可能性が高いため要注意です。
早めに医療機関を受診し、その原因を特定することが重要です。二次性頭痛の代表的な原因としては、主に次のものが考えられます。

3. 朝の頭痛で見逃せない「脳腫瘍」と脳圧上昇の仕組み

医療現場において、「朝の頭痛」は、脳腫瘍などの危険な病気をイメージするほど代表的な二次性頭痛の一つです。

脳圧が上昇する仕組み(夜間の影響)

なぜ脳腫瘍が朝の頭痛を引き起こしやすいのでしょうか。
それは、睡眠中に換気不良になることと関係しています。

  • 睡眠中の換気不良
    • 睡眠中は呼吸が浅くなりがちで、特に睡眠時無呼吸症候群(SAS)などを伴う場合、血中の二酸化炭素(CO2)濃度が上昇します。
  • 脳血管の拡張
    • 脳はCO2の上昇を「酸素が足りない」と判断し、血流を増やそうとして脳の血管を強力に拡張させます。
  • 脳圧の上昇
    • 脳腫瘍などにより脳内スペースが限られている場合、拡張した血管が周囲を圧迫し、脳圧が上昇することで、起床時に最も強い頭痛として現れます。多くの場合、吐き気やめまいを伴い、進行すると手足のしびれを伴うこともあります。

この病態を正確に診断するためには、MRIやCTによる精密検査が不可欠です。

4. 朝の頭痛の最大の原因「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」

脳腫瘍とは別に、朝の頭痛の最大の原因として近年注目されているのが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。

  • 頭痛の特徴
    • 起床時から午前中にかけて起こる頭痛で、通常は両側性。吐き気は伴わず、持続は4時間未満であることが多いとされています。
  • 合併症状
    • 昼間の強い眠気、集中力の低下、高血圧、うつ、認知症の原因になることもあります。

睡眠時無呼吸と「血管のダメージ」

【画像】睡眠時無呼吸と頭痛

最近の研究で、睡眠時無呼吸が動脈硬化を進行させることが分かっています。

呼吸停止のたびに血中酸素が低下し、血管が収縮・拡張を繰り返すため、脳血管や頸動脈にダメージが蓄積していくのです。


こうした変化は MRA(脳血管MRI検査) で評価できます。MRAでは、脳血管の狭窄・蛇行・動脈硬化性変化などを可視化でき、血管の「老化サイン」や「血流の偏り」を早期に見つけられます。

5. 朝の頭痛と「血圧」の関係

朝や寝起きに起こる頭痛は、血圧の急上昇(早朝高血圧)とも密接に関係しています。
睡眠中、血圧は通常下がりますが、起床時には交感神経が活発になり、一気に上昇します。
この変化が強すぎると、脳血管への圧負担が高まり、「拍動性の頭痛」として現れることがあります。
特に高血圧や動脈硬化を持つ方では、脳出血や脳梗塞のリスクが高まるため、朝の頭痛を軽視してはいけません。
家庭用血圧計で起床直後の血圧を測る習慣も、重要な予防になります。

6. 脳と血管以外の原因と、その他の頭痛

朝の頭痛は、上記以外にも様々な原因が考えられます。

分類原因検査・対策
二次性頭痛
(非血管性)
急性副鼻腔炎(蓄膿症)風邪の後に連日続く、比較的若い人に多い。寝ている間に膿が排出されず痛みが強くなり、鎮痛剤の効果が少ないのが特徴。MRIなどの画像診断と抗生物質で改善が見込めます。
二次性頭痛
(その他)
夜間高血圧、薬剤の使用過多(カフェインなど)、低血糖、うつ病、起立性調節障害、慢性閉塞性肺疾患など問診や血液検査、血圧測定などで鑑別し、原因に応じた専門治療を行います。
一次性頭痛片頭痛、群発頭痛、睡眠時頭痛片頭痛や群発頭痛でも朝に起こることがあります。また、睡眠時頭痛と言って、睡眠中にのみ起こる原因不明の頭痛も存在します。

7. 朝の頭痛の原因を探る「MRI・MRA検査」

MRI

朝の頭痛が二次性頭痛の可能性が高い場合、特に脳の構造と血管の状態を正確に把握することが重要です。

検査主な目的
MRI
脳腫瘍、脳浮腫、水頭症、脳出血などの構造異常を確認。脳圧上昇の可能性を探ります。
MRA血管の狭窄・拡張・動脈硬化を可視化し、血管の健康状態を評価。
頸動脈MRA頭部への血流の“入り口”を評価し、動脈硬化の初期変化を発見します。
これらを組み合わせることで、「脳の圧力の変化」と「血管の健康状態」を両面から正確に評価できます。

8. 当院ではCPAP治療も実施

CPAP

睡眠時無呼吸が頭痛の原因と強く疑われる場合、当院では CPAP(持続陽圧呼吸療法) による治療を行っています。


CPAPは、睡眠中に一定の空気圧をかけて気道の閉塞を防ぎ、呼吸を安定させることで血中酸素を保ちます。


MRIで「脳や血管の状態」を確認し、必要に応じてCPAPで「原因そのものを治療する」──この一貫した流れにより、頭痛の根本改善を目指します。

9. 放置しないでほしい「"危険な"朝・寝起きの頭痛」

以下のような症状がある場合は、脳圧上昇や血管障害の初期サインである可能性が高く、早めの受診をおすすめします。MRI・MRA検査が早期発見に非常に有効です。

  • 朝・寝起きに頭が重い、ズキズキ痛む状態が1週間以上続く
  • 起床時に吐き気やめまいを伴う
  • 睡眠中に呼吸が止まっていると言われた、または激しいいびきを指摘された
  • 昼間の強い眠気、集中力の低下
  • 高血圧や糖尿病がある、または新規に発症した

10. 朝・寝起きの頭痛は「脳と血管」からのSOS

朝や寝起きの頭痛を軽く考えるのは危険です。背後に、脳圧の上昇や血管の老化、睡眠時無呼吸が潜んでいるかもしれません。
MRIやMRAで脳と血管の状態を把握し、必要に応じてCPAPなどの治療を行うことで、頭痛の根本原因を特定し、将来的な脳疾患予防にもつながります。

💬 よくある質問(FAQ)

寝起きの頭痛はどんな病気が考えられますか?

脳腫瘍、脳圧上昇、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、高血圧、脳脊髄液循環障害、急性副鼻腔炎などが原因となることがあります。単なる疲労ではなく、特に夜間の脳の異常が関係している二次性頭痛の可能性を考慮すべきです。

MRI検査で寝起き頭痛の原因は分かりますか?

MRIやMRAは、脳腫瘍や水頭症といった脳の構造異常、および血管の狭窄・動脈硬化を評価できます。特に脳腫瘍による脳圧上昇の鑑別には不可欠です。

睡眠時無呼吸が頭痛の原因になるのですか?

なります。呼吸が止まることで血中CO2濃度が上がり、脳血管が拡張と収縮を繰り返します。これが脳や頸動脈にダメージを与え、朝方に頭痛として現れることがあります。

CPAP治療で頭痛は改善しますか?

睡眠時無呼吸が原因であれば、CPAPによって呼吸が安定し、酸素不足と脳血管への負担が解消されることで頭痛が改善するケースが多くあります。

どんなタイミングでMRI検査を受けるべきですか?

朝・寝起きの頭痛が連日続く、特に吐き気やめまい、視覚異常を伴う場合、または睡眠中の無呼吸や激しいいびきを指摘された場合は、脳圧上昇やSASの可能性を鑑別するため、早めにMRI検査を受けることをおすすめします。

朝の頭痛で何科を受診すればよいですか?

脳神経外科、または頭痛外来の受診をおすすめします。頭痛が毎朝続く場合は、脳や血管の異常が隠れている可能性があるため、MRI検査を行える医療機関が適しています。