脂質異常症の症状は?自覚症状がない理由

健康診断で、
「LDLコレステロールが高いと言われた」
「中性脂肪が高かった」
「脂質異常症と書かれていた」
でも、特に体調は悪くない。
そんなとき、
「脂質異常症って、どんな症状が出るの?」
「何も症状がないなら、放っておいても大丈夫?」
と気になる方も多いのではないでしょうか。
先に大切なことをお伝えすると、脂質異常症は、多くの場合ほとんど自覚症状がありません。
頭痛やめまい、肩こり、疲れやすさなども、脂質異常症に特徴的な症状ではありません。
だからこそ、脂質異常症は「症状が出たら気づく病気」というより、健康診断の血液検査で気づくことが多い病気です。
この記事では、
- 脂質異常症にはどんな症状があるのか
- 頭痛やめまいは関係するのか
- LDL・HDL・中性脂肪は何が違うのか
- 健診で指摘されたら何を見ればよいのか
- 体重が増えている場合はどう考えるのか
- どんなときに受診を考えればよいのか
を順番に整理します。
目次
脂質異常症にはどんな症状がある?
脂質異常症について最初に知っておきたいのは、「多くの場合、症状がない」ということです。
LDLコレステロールが高くても、中性脂肪が高くても、
「痛い」
「苦しい」
「だるい」
といった分かりやすい変化が出るとは限りません。
そのため、
「元気だから大丈夫」
「何も症状がないから、来年の健診まで様子を見よう」
と思ってしまうことがあります。
しかし、脂質異常症はもともと、症状だけでは気づきにくい病気です。
一部では体に変化が現れることもあります
すべての脂質異常症でみられるわけではありませんが、遺伝的な原因による脂質異常症などでは、
- 皮膚や腱にコレステロールがたまる黄色腫
- アキレス腱が厚くなる
- 黒目の周囲に白っぽい輪がみられる
といった変化がみられることがあります。
ただし、こうした変化がないから脂質異常症ではない、ということではありません。
一般的な脂質異常症では、見た目の変化もなく、健康診断の血液検査で初めて気づくことが少なくありません。

症状がないのに、なぜ健診で見つかる?
脂質異常症は、血液中の脂質の状態を血液検査で確認して判断します。
健康診断では、主に次の項目を見ます。
| 項目 | 診断基準 |
|---|---|
| LDLコレステロール | 140mg/dL以上 |
| 120〜139mg/dLは境界域 | |
| HDLコレステロール | 40mg/dL未満 |
| 中性脂肪 | 空腹時150mg/dL以上 |
| 随時175mg/dL以上 | |
| non-HDLコレステロール | 170mg/dL以上 |
ここで大切なのは、この数字を超えたら全員が同じ治療になるわけではないということです。
たとえばLDLコレステロールが140mg/dL以上だったとしても、それだけで「すぐに薬が必要」と決まるわけではありません。
年齢、血圧、血糖、喫煙、腎臓の状態、これまでにかかった病気、家族歴などによっても考え方は変わります。
まずは、
「脂質のどの項目が、どのくらい基準から外れているのか」
を確認することが第一歩です。
LDL・HDL・中性脂肪は何が違う?
健診結果を見て、「コレステロールが高かった」とだけ覚えている方もいます。
でも、脂質異常症は一種類ではありません。
LDLコレステロール
一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれます。
LDLコレステロールが高い状態は、動脈硬化性疾患のリスクと関係します。
健診で「コレステロールが高い」と言われた場合には、まずLDLの数値を確認してみてください。
HDLコレステロール
一般に「善玉コレステロール」と呼ばれます。
HDLは、LDLとは反対に、低いことが問題になります。
40mg/dL未満が、低HDLコレステロール血症の診断基準です。
中性脂肪
中性脂肪は、トリグリセライド、TGと書かれることもあります。
食事や飲酒の影響を受けやすい項目です。
そのため、中性脂肪を見るときには、「空腹時の採血だったのか」も確認しておきたいところです。

つまり、
脂質異常症と言われたら、「脂質が高い」で終わらず、何が高い・低いのかを見る。
これが大切です。
頭痛・めまい・肩こりは脂質異常症の症状?
「コレステロールが高かった。そして最近、頭痛もある」となると、「脂質異常症のせいでは?」
と考えたくなるかもしれません。
しかし、頭痛・めまい・肩こりは、脂質異常症に特徴的な症状ではありません。
もちろん、頭痛やめまいそのものに別の原因が隠れていることはあります。
そのため、
「脂質異常症だから頭痛がする」
と決めつけるのも、
「コレステロールとは関係ないから放っておこう」
と考えるのも適切ではありません。
頭痛やめまいが続く場合には、それぞれの症状として原因を考える必要があります。
脂質異常症と、今感じている症状は、いったん分けて考えると分かりやすくなります
症状がないなら放置しても大丈夫?
ここが、脂質異常症で最も注意したいところです。
脂質異常症そのものでは症状がなくても、脂質の異常が長く続くことは動脈硬化と関係します。
動脈硬化が進むと、将来的に心筋梗塞や脳梗塞などにつながる可能性があります。
ただし、
「LDLが高い=すでに血管が詰まっている」
という意味ではありません。
大切なのは、
今すぐ症状があるかどうかだけではなく、これから先のリスクを減らすこと。
そのために健康診断で早く気づき、必要に応じて生活を見直したり、治療を考えたりします。
健診で脂質異常を指摘されたら、まず何を見る?
健診結果を開いたら、いきなり
「何を食べればいい?」
「薬を飲まないといけない?」
と考える前に、次の4つを確認してみてください。
① 何が引っかかった?
まず、
- LDLコレステロール
- HDLコレステロール
- 中性脂肪
- non-HDLコレステロール
のどれが基準から外れているのか確認します。
「脂質異常」と一括りにせず、項目を分けるのがポイントです。
② 去年はどうだった?
今回の結果だけでなく、可能であれば前年やその前の結果も見てみましょう。
たとえば、
LDL
118 → 132 → 148mg/dL
と少しずつ上がっているのか。
ずっと140mg/dL前後なのか。
経過を見ることで、今回だけでは分からないことがあります。
③ 血圧・血糖・体重も一緒に見る
脂質だけを見るのではなく、
- 血圧
- 血糖
- HbA1c
- 体重
- BMI
- 腹囲
なども確認してみてください。
「LDLだけ高い人」と、
「脂質・血圧・血糖・体重が一緒に上がってきた人」では、考え方が同じとは限りません。
④ 健診結果の判定を見る
健診結果に、
- 要再検査
- 要精密検査
- 要受診
- 医療機関を受診してください
などの記載がある場合には、その指示を確認してください。
「少し痩せてから再検査しよう」
と、自分の判断だけで受診を先延ばしにする必要はありません。

体重が増えている場合はどう考える?
脂質異常症を指摘されたとき、
「やっぱり太ったから?」
と思う方もいるでしょう。
実際、肥満や内臓脂肪の増加は、中性脂肪の上昇やHDLコレステロールの低下などと関係することがあります。
ただし、
脂質異常症=太っている人の病気
ではありません。
痩せていてもLDLコレステロールが高い人はいます。
また、遺伝的な体質や、甲状腺・腎臓などの病気、服用している薬などが関係することもあります。
ですから、
「太っているから痩せれば全部解決する」
「痩せているから脂質は気にしなくていい」
のどちらでもありません。
20歳の頃から体重が増えていませんか?
健診の問診票には、
「20歳の時の体重から10kg以上増加している」
という質問があります。
もし当てはまる場合には、脂質の数値だけでなく、
- いつ頃から体重が増えたのか
- 今のBMIや腹囲
- 血圧
- HbA1c
- 中性脂肪
- LDLコレステロール
を並べて見ると、自分の変化が分かりやすくなります。
関連記事
「20歳から10kg以上太ったら?健診で聞かれる理由と、今から見直したいこと」
ここで大切なのは、「10kg増えたから10kg痩せる」と単純に決めることではありません。
自分の場合、何を改善するために体重を見直すのか。
そこまで考えると、無理のない目標を立てやすくなります。
脂質の値だけでなく、体重や腹囲も増えてきている場合には、体重を含めた生活習慣全体を見直すことも選択肢になります。
当院では、体重を減らすことだけを目的とするのではなく、血圧・血糖・脂質などの状態も確認しながら取り組む「メディカルダイエット外来」を行っています。
食事や運動は何から見直す?
脂質異常症と言われると、「とにかく油を減らせばいい」と思われることがあります。
しかし、どの脂質が問題になっているかによって、見直したいポイントは少し違います。
LDLコレステロールが高い場合
肉の脂身、バター、生クリームなどに多い飽和脂肪酸をとりすぎていないか、普段の食事を振り返ります。
「油を全部やめる」のではなく、何をどのくらい食べているかを見ることが大切です。
中性脂肪が高い場合
中性脂肪は、
- 食べ過ぎ
- 甘い飲み物
- お菓子
- 飲酒
- 運動不足
- 体重増加
などの影響を受けることがあります。
「脂」という名前ですが、脂っこいものだけを減らせばよいわけではありません。
HDLコレステロールが低い場合
喫煙、運動不足、肥満などが関係することがあります。
このように、
脂質異常症だから全員が同じ食事をすればよい、というものではありません。
健診結果を見ながら、自分の場合は何を変えるとよいのかを考えていきます。
病院を受診した方がよい目安
脂質異常症は、まず内科で相談できます。
特に、
- 健診で「要受診」「要再検査」と言われた
- LDLや中性脂肪の高値が何年も続いている
- 数値が以前より上がってきている
- 高血圧や糖尿病も指摘されている
- 若い頃からLDLコレステロールがかなり高い
- 家族に若くして心筋梗塞になった人がいる
- アキレス腱の肥厚や黄色腫などが気になる
- 生活を見直しても数値が改善しない
という場合には、一度相談しておくとよいでしょう。
特に、若い頃からLDLコレステロールが著しく高い場合や、家族にも高コレステロール血症・若年の冠動脈疾患がある場合には、家族性高コレステロール血症などを考えることがあります。
「症状が出ていないから病院に行くほどではない」
とは限りません。
脂質異常症では、症状がない段階でどうするかを考えることに意味があります。
よくある質問
脂質異常症にはどんな症状がありますか?
多くの場合、自覚症状はほとんどありません。
健康診断などの血液検査で、LDLコレステロールや中性脂肪などの異常を指摘されて初めて分かることがよくあります。
一部の遺伝的な脂質異常症では、黄色腫やアキレス腱肥厚などがみられることがあります。
LDLコレステロールが高いのに何も症状がありません。大丈夫ですか?
症状がないこと自体は珍しくありません。
ただし、
「症状がない=問題がない」
という意味ではありません。
健診の判定や他の検査値、年齢、血圧、糖尿病、喫煙、家族歴なども含めて考えます。
脂質異常症で頭痛は起こりますか?
頭痛は脂質異常症に特徴的な症状ではありません。
頭痛が続く場合は、
「脂質が高いから」
と決めつけず、頭痛そのものの原因を考える必要があります。
脂質異常症でめまいは起こりますか?
めまいも脂質異常症に特徴的な症状ではありません。
めまいにはさまざまな原因があるため、繰り返す場合や強い症状がある場合は別に評価します。
脂質異常症は何科を受診すればいいですか?
まずは内科で相談できます。
健康診断の結果がある場合には、受診時に持参すると経過を確認しやすくなります。
痩せれば脂質異常症は改善しますか?
体重や内臓脂肪が関係している脂質異常症では、減量によって改善することがあります。
ただし、すべての脂質異常症が体重だけで決まるわけではありません。
痩せている人でもLDLコレステロールが高いことがあります。
「何kg痩せるか」ではなく、自分の脂質異常に体重がどの程度関係しているのかを見ながら考えることが大切です。
脂質異常症は「症状」より健診結果を見る
脂質異常症について、
「何か症状が出たら病院に行こう」
と考えていた方もいるかもしれません。
でも実際には、
脂質異常症は、多くの場合ほとんど自覚症状がありません。
だからこそ、健康診断で指摘された数値が大切になります。
まず確認したいのは、
- LDL・HDL・中性脂肪のどれが問題なのか
- 去年までの数値と比べてどう変化しているのか
- 血圧・血糖・体重なども変化していないか
- 健診で再検査や受診を勧められていないか
ということです。
「症状がないから放置する」のでもなく、
「数値が少し高いから、すぐに怖い病気だと考える」のでもありません。
今の自分の状態を知り、必要なところから見直していく。
脂質異常症では、それが最初の一歩です。
健診で脂質異常を指摘された方は、健診結果をお持ちのうえ、一般内科でご相談いただけます。
医師プロフィール
林 祥史 院長
私立灘高校卒/東京大学医学部医学科卒
けやき脳神経リハビリクリニック 院長
資格・所属学会
【資格】 日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医、日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
【所属学会】 日本脳神経外科学会、日本脳血管内治療学会、日本脳卒中学会、日本リハビリテーション医学会、日本頭痛学会、日本めまい平衡医学会、American Academy of Family Physicians、Cambodian Medical Association
クリニック情報
けやき脳神経リハビリクリニック
院長:林 祥史(・日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医・日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医)
所在地:東京都目黒区下目黒2-14-13下目黒HAPPYビル1~3階(受付2階)
診療科目:脳神経外科・リハビリテーション科・内科
検査設備:MRI、レントゲン、超音波など
公式サイト:https://keyaki-nrc.com/