MRIは耳栓とヘッドホン、どっちがいい?

MRI検査を受ける前に、
「MRIでは耳栓をするの?」
「ヘッドホンをすれば、大きな音は聞こえなくなる?」
「耳栓とヘッドホンなら、どちらがいい?」
と気になる方も多いと思います。
結論からいうと、耳栓にもヘッドホンにも、それぞれ良いところがあります。
さらに、MRIの音そのものが特に苦手な方では、耳栓とヘッドホンを組み合わせる方法もあります。
ただし、両方を使えば、すべての方にとって一番良いというわけではありません。
音が怖いのか。
耳を覆われる圧迫感が苦手なのか。
検査中に一人になる感じが不安なのか。
何を苦手に感じるかによって、受けやすい方法は変わります。
また、MRIで耳栓やヘッドホンを使う目的は、単に音を小さくすることだけではありません。
大きな検査音から耳を守る「聴覚保護」という大切な役割があります。
今回は、MRIの耳栓・ヘッドホンの違いや併用、閉所恐怖症の方の選び方について、MRI検査を担当している放射線技師の立場から説明します。
目次
MRIで耳栓やヘッドホンを使うのはなぜ?
MRI検査では撮影中に、
「ガンガンガン」、「ドンドンドン」、「ゴウンゴウン」
といった大きな音がします。
これは装置の異常音ではありません。
MRIでは画像を作るために磁場を細かく変化させます。その際、装置内部の傾斜磁場コイルなどが振動することで、MRI特有の音が発生します。
撮影方法によって音の種類も変わるため、
「さっきとは違う音になった」
と感じることもあります。
MRIの音が発生する仕組みについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
▶︎ MRI検査の音の正体とは?わかりやすく身近な例えで考える!
そして、ここで大切なのが聴覚保護です。
MRIの大きな音は、ただ我慢すればよいというものではありません。
耳栓やヘッドホンなどを使用し、適切に耳を保護した状態で検査を受けることが大切です。
耳栓やヘッドホンを使用しても、MRIの音が完全に聞こえなくなるわけではありません。
音をなくすのではなく、”大きな音を和らげながら耳を守る”ために使用します。
MRIは「耳栓・ヘッドホン・両方」の3つの方法があります
「MRIでは耳栓とヘッドホン、どちらがいいですか?」
と聞かれることがあります。
実際には、必ずしも二択ではありません。
検査内容や、その方が何を苦手に感じるかによって、
- 耳栓
- ヘッドホン
- 耳栓+ヘッドホン
という方法を考えることができます。
| 耳栓 | ヘッドホン | 耳栓+ヘッドホン | |
|---|---|---|---|
| MRIの音 | 和らげる | 和らげる | 音への不安が強い場合の選択肢 |
| 完全に無音になる? | ならない | ならない | ならない |
| 音楽 | 基本なし | 聴ける | 聞こえ方が変わる場合がある |
| スタッフの声 | 検査室内から聞こえる | 耳元から聞こえる | 聞こえ方を確認する |
| 圧迫感 | 少ない | 感じる方もいる | 感じる方もいる |
| 向いている方 | 耳を覆われるのが苦手 | 音楽や声かけが安心につながる | MRIの音そのものが特に苦手 |

耳栓|耳を覆われる圧迫感が苦手な方に
耳栓は、ヘッドホンのように耳全体を覆いません。
そのため、
「ヘッドホンで耳を押さえられる感じが苦手」
「顔や頭の周りに物があると落ち着かない」
という方には、耳栓のほうが楽な場合があります。
特に閉所が苦手な方では、MRIのトンネルだけではなく、
頭や顔の周りに器具があること自体が圧迫感につながる
ことがあります。
そのため、「音楽が聴けるからヘッドホンのほうが良い」とは限りません。
耳栓は正しく装着することも大切です
耳栓は、ただ耳に入っていればよいというものではありません。
装着が浅かったり、耳との間に隙間があったりすると、十分な遮音効果が得られないことがあります。
そのため、MRIの聴覚保護では、
耳栓を使うことだけでなく、正しく装着できていることも大切です。
当院では、検査前に耳栓の装着状態を確認しています。
ヘッドホン|音楽やスタッフの声が安心につながる方に
ヘッドホンでは、MRIの音を和らげながら音楽を聴くことができます。
MRIの機械音が完全に消えるわけではありませんが、
「機械音だけをずっと聞いている」
という状態ではなくなるため、音楽へ少し意識を向けることで落ち着く方もいます。
また、当院ではスタッフの声もヘッドホンから聞こえます。
検査中には、
「これから音が始まります」
「順調ですよ」
「半分くらい終わりました」
「あと○分くらいです」
など、その方に合わせて声をかけています。
MRIが苦手な方の中には、
「検査室の外にスタッフがいることは分かっていても、装置の中では一人になったように感じる」
という方もいます。
そのような場合には、
耳元からスタッフの声が聞こえることが安心につながる
ことがあります。
当院スタッフが実際にMRIを受けた際にも、ヘッドホンから流れる音楽へ意識を向けることで、怖さが薄れたという体験がありました。
なお、耳栓を使用している場合でも、当院では検査室内のスピーカーからスタッフがお声がけします。
そのため、「ヘッドホンは苦手だけれど、途中で声をかけてほしい」
という方もご相談ください。
第3の選択肢|耳栓+ヘッドホンという方法もあります
耳栓とヘッドホンは、どちらか一方だけを使うとは限りません。
耳栓をした上からヘッドホンを使用する方法もあります。
たとえば、
「狭い場所はそれほど苦手ではない」
「ヘッドホンの圧迫感も気にならない」
「でもMRIの大きな音だけは特に苦手」
という方です。
このような場合には、耳栓とヘッドホンの併用を検討できることがあります。
MRIの騒音について調べた研究でも、耳栓またはヘッドホンを単独で使用した場合より、両方を使用した場合のほうが音を小さく感じたという報告があります。
ただし、
耳栓とヘッドホンの効果を単純に足し算できるわけではありません。
また、耳栓を併用すると、音楽やスタッフからの声も聞こえにくくなる場合があります。
そのため、
「両方使えば必ず良い」
とは考えません。
スタッフの声が聞こえるか、圧迫感が強くないかなどを確認しながら、その方に合う方法を考えます。
耳栓+ヘッドホンは、MRIの音への不安が特に強い方に考えられる第三の選択肢です。

閉所恐怖症では「何が怖いか」で選び方が変わります
閉所恐怖症の方にとって、MRIの不安は音だけとは限りません。
大きな音が怖い
→ 耳栓+ヘッドホンが合う場合があります。
耳を覆われることが怖い
→ ヘッドホンを使わず、耳栓だけのほうが楽な場合があります。
装置の中で一人になる感じが怖い
→ ヘッドホンからスタッフの声が聞こえるほうが安心できる場合があります。
次に何が起こるのか分からないことが怖い
→ 耳栓やヘッドホンよりも、
「あと何分です」、「次は2分くらいの撮影です」
と、検査の進み具合を伝えることが安心につながる場合があります。
つまり、
「閉所恐怖症」という一つの言葉だけでは、その方に合うMRIの受け方までは決まりません。
何が一番苦手なのか。
何がなくなれば少し楽になりそうなのか。
そこを確認することが大切です。
当院では、
「閉所恐怖症がありますか?」
だけでなく、
「何が一番苦手ですか?」
と確認することを大切にしています。
閉所恐怖症の方への当院の取り組みについては、こちらで詳しく紹介しています。当院では事前説明や音楽、検査中の声かけなど、複数の方法を組み合わせています。
▶︎ 閉所恐怖症の方へ|MRI検査を乗り切る当院の5つの工夫+1
当院では「静音化」と「聴覚保護」を分けて考えています
当院では、Canon社製1.5T MRI 「Vantage Gracian」を使用しています。
この装置には、MRI装置から発生する音を抑えるハードウェア静音化技術 「Pianissimo Σ」 が採用されています。
ただし、
静音化技術があるからといって、MRIの音がなくなるわけではありません。
撮影方法によって音の大きさや音色は変わります。
また、装置が静音化されていても、必要な聴覚保護は行います。
そのため当院では、
- 装置による静音化
- 耳栓やヘッドホンによる聴覚保護
- 音楽
- スタッフからの声かけ
を必要に応じて組み合わせています。
大切なのは、音をゼロにすることではありません。
MRIの音を少しでも和らげ、耳を守りながら、その方ができるだけ安心して検査を受けられる環境をつくること。
そう考えています。
▶︎ 当院のMRI検査について
MRIの耳栓・ヘッドホンについてよくある質問
MRIは耳栓だけでも大丈夫ですか?
検査内容や施設の運用によって異なりますが、耳栓によって聴覚保護を行う方法があります。
当院では、ヘッドホンの圧迫感が苦手な方などでは耳栓も選択肢になります。
MRIのヘッドホンをすれば音は聞こえなくなりますか?
いいえ。
ヘッドホンを使用してもMRIの音が完全に聞こえなくなるわけではありません。
大きな音を和らげながら、当院では音楽やスタッフの声を聞くことができます。
耳栓をするとスタッフの声は聞こえませんか?
すべての音が聞こえなくなるわけではありません。
当院では耳栓を使用している場合でも、検査室内のスピーカーからスタッフがお声がけします。
MRIで耳栓とヘッドホンを両方使えますか?
検査部位や使用する器具などによって異なりますが、併用できる場合があります。
音への不安が強い方では検討することがありますが、スタッフの声なども聞こえにくくなる可能性があるため、検査前に確認します。
閉所恐怖症なら、耳栓とヘッドホンのどちらがおすすめですか?
一概には決められません。
大きな音が怖い方と、耳を覆われることが怖い方では、合う方法が異なります。
「閉所恐怖症です」だけでなく、「何が一番苦手なのか」
を担当スタッフに伝えていただくことが大切です。
MRIは耳栓・ヘッドホンを「苦手なこと」に合わせて考えます
MRIでは大きな音がするため、耳栓やヘッドホンを使って聴覚を保護します。
音楽やスタッフの声が安心につながる方にはヘッドホン。
耳を覆われる圧迫感が苦手な方には耳栓。
MRIの音への不安が特に強い方では、耳栓+ヘッドホンを検討できる場合もあります。
ただし、大切なのは、
「どれが一番優れているか」ではなく、「MRIの何が一番苦手なのか」です。
音なのか。
圧迫感なのか。
一人になる感じなのか。
検査の進み具合が分からないことなのか。
不安なことがあれば、検査前に担当スタッフへお伝えください。
その方に合う方法を一緒に考えながら、検査を進めていきます。
MRI検査に不安がある方へ
閉所が苦手、音が怖い、ネイルがある、タトゥーがある、などMRI検査について不安がある方もご相談いただけます。
クリニック情報
けやき脳神経リハビリクリニック
院長:林 祥史(・日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医・日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医)
所在地:東京都目黒区下目黒2-14-13下目黒HAPPYビル1~3階(受付2階)
診療科目:脳神経外科・リハビリテーション科・内科
検査設備:MRI、レントゲン、超音波など
公式サイト:https://keyaki-nrc.com/