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筋トレ中・筋トレ後の頭痛:原因は血圧と脳血管?危険な病気と予防・対処法

【画像】筋トレ 頭痛

トレーニング後の「ズキッ」とした頭痛、その裏にある“血管反応”

筋トレをしている最中、あるいは終えた直後に、「頭がズキズキする」「後頭部が締め付けられる」といった頭痛に悩まされたことはありませんか?

それは単なる疲労ではなく、血圧変動脳血管への一時的ストレスによって起こることがあります。

ときに、くも膜下出血動脈解離など重大な疾患の“引き金”となることもあるため、メカニズムと正しい予防法・対処法を理解しておくことが大切です。

🏋️なぜ筋トレ中に頭痛が起こるのか?

🏋️ 筋トレ時に「血圧上昇」を引き起こす「ヴァルサルバ動作」の正体

筋トレ、とくに高重量のスクワット・ベンチプレス・デッドリフトなどでは、「力を入れる」「息を止めて踏ん張る」ことで血圧が急上昇します。
このとき起こっているのが、ヴァルサルバ動作です。

🔬血圧急上昇のメカニズム

  • 息止めと腹圧上昇:息を止めて腹筋・横隔膜・胸筋に力を入れる
  • 静脈還流の減少:胸腔内圧・腹腔内圧が急上昇し、一時的に心臓へ戻る血流が減少
  • 交感神経の活性化:これを補うために血管が収縮、心拍数が上昇
  • 血圧の急上昇:収縮期血圧が一瞬で200〜300mmHgに達することも

筋トレは瞬間的な力発揮を必要とするため、心拍出量(1回拍出量)と末梢血管抵抗がともに上がり、脳へ流れ込む血流圧も一時的に上昇します。

急激な血圧変動が脳血管に与える影響──「血管性頭痛」とは?

脳は本来「自己調節機能」によって、多少の血圧変動でも血流を一定に保つ仕組みがあります。

しかし筋トレのような急激で大きな変化では、この調節機構が一時的に追いつかないことがあります。

現象脳血管で起こること結果として生じるリスク・感じる痛み
血圧の急上昇血管壁に強いせん断応力がかかる血管拡張・攣縮・壁損傷のリスク
脳血流量の急増頭蓋内圧が一時的に上昇「ズキン」「拍動性」の痛み(血管性頭痛)
静脈還流の減少頭蓋内でうっ血頭重感・鈍痛
血管の過伸展痛覚神経を刺激拍動性の血管性頭痛(血管拡張型)

この時に感じる頭痛は、血管性頭痛の一種であり、特に「後頭部」「こめかみ」「頭頂部」で感じる人が多いです。

血管拡張+筋肉緊張──筋トレ頭痛の二重メカニズム

筋トレ頭痛は、多くの場合2つの要素が同時に起こることで発症します。

脳血管・硬膜血管の拡張(血管性頭痛)

運動によりCO₂濃度や血流量が増えると、血管平滑筋が弛緩して拡張します。 拡張した血管が周囲の三叉神経終末を刺激し、「ズキズキ」した拍動痛として感じられます。片頭痛に似た痛みとして出ることがあります。

頸部・後頭部筋の過緊張(緊張性頭痛)

筋トレ中は肩や首にも無意識に力が入り、僧帽筋・後頭下筋群が硬直。

大後頭神経・小後頭神経を圧迫して、締め付けられるような痛みを引き起こします。。

この「血管の拡張」と「筋緊張」が重なると、筋トレ後に脈打つような重い頭痛+後頭部のこわばりを同時に感じることがあります。

筋トレ後の頭痛の場所と特徴──部位別で原因を見分ける

こめかみ・目の奥の頭痛:拍動性の「血管性頭痛」

  • 特徴:「ズキン、ズキン」と脈打つような痛み。片側に出ることも多い。
  • 原因:筋トレによる急激な血圧上昇・CO₂濃度上昇で脳血管が拡張し、神経を刺激。

後頭部・首筋の頭痛:締め付けられる「緊張性頭痛」

  • 特徴:「ギューッと締め付けられる」「重い」「張っている」ような持続痛。
  • 原因:高重量トレ中の無意識な首・肩の力みで後頭神経を圧迫。

筋トレが引き金になることも?⚠️

急激な血圧上昇が誘発する脳血管疾患のリスク

頭痛の多くは一過性ですが、まれに筋トレが脳血管疾患の引き金となることがあります。
特に以下の条件がある場合は注意が必要です。

疾患名発症メカニズム特徴・注意点
くも膜下出血 動脈瘤部位の血管壁に急激な圧負荷 → 破裂「突然の雷鳴頭痛」「吐き気」「項部硬直(筋肉の抵抗により硬くなること)」
椎骨動脈解離高血圧・過伸展・頸部回旋により血管内膜が裂ける一側の首〜後頭部痛、めまい、視覚異常など
脳出血(高血圧性)急激な血圧上昇により細動脈が破裂意識障害・片麻痺・呂律障害など

これらは高重量トレーニング中のいきみがトリガーになることがあります。

特に高血圧・脂質異常・喫煙・家族歴がある方は注意が必要です。

筋トレ頭痛が起きたときの「緊急対処法」

すぐに行うべきこと

  • トレーニングを中止し、安全を確保
  • 深呼吸で呼吸を整え、ゆっくり吐く
  • 電解質を含む水分を少量ずつ補給
  • 首・肩を軽くストレッチして緊張を緩める
  • こめかみや後頭部を冷やす(血管拡張を抑制)

直ちに脳神経外科へ受診すべき危険な症状

以下のような症状を伴う場合は、脳血管障害(くも膜下出血・動脈解離など)の初期症状である可能性があります。

  • 今までにない、突然の「雷鳴頭痛」(頭の中で何かが弾けたような痛み)
  • 激しい吐き気・嘔吐、視覚異常(二重に見えるなど)、ふらつき
  • 片側の手足のしびれ・脱力、ろれつが回らない
  • 首が固くなる(項部硬直)、発熱を伴う

これら「緊急性の高い頭痛」の症状を少しでも感じたら、鎮痛薬でごまかさず、速やかに医療機関(脳神経外科)を受診してください。

筋トレ頭痛を予防する安全なトレーニングのポイント(対策)

予防は、血圧の急上昇と筋肉の過緊張を防ぐことが鍵です。

血管への急激なストレスを防ぐ呼吸意識

  • 瞬間的な力み(ヴァルサルバ動作)は、血圧を急上昇させ頭痛のリスクを高めます。負荷をかける際も、意識して少しずつ息を吐き出すことを試み、血管への急激な圧力を避けてください。

強度と負荷の安全管理

  • 特に頭痛を経験しやすい方は、無理のない範囲で負荷を調整し、呼吸を止めなければできないような限界に近い高重量設定は避けることを強く推奨します。(※具体的なトレーニング設定は、専門のトレーナーにご相談ください。)

頸部・肩の緊張緩和

  • トレーニング中に首や肩に力が入って僧帽筋が硬直しないよう、意識的に力を抜く。

ウォームアップとクーリングダウン

  • 入念なウォームアップ:5〜10分間の軽い有酸素運動で心拍数と血圧を徐々に上昇させ、血管の急激な反応を防ぐ。頸部・肩のストレッチも忘れずに。
  • 丁寧なクールダウン:トレーニング後もすぐに休まず、軽い有酸素運動やストレッチを行い、血圧が急降下しないように整える。

生活習慣と健康管理

  • 水分と電解質補給:トレーニング前・中・後にこまめに水分補給を行い、脱水による血液濃縮(血栓リスク)を防ぐ。
  • 血圧の管理:高血圧や高脂血症などの持病がある方は、かかりつけ医と相談し、トレーニング中の血圧変動について助言を受ける。

筋トレ頭痛=血圧と脳血管の「生理的ストレス反応」

筋トレによる頭痛の多くは、血圧上昇と脳血管反応の一時的なバランス崩れによる「生理的ストレス反応」です。
しかし、その一部には「脳血管が悲鳴を上げている」サインも含まれています。


🔹 高重量で息を止めていないか(ヴァルサルバ動作の回避)
🔹 首や肩に過剰な力が入っていないか
🔹 普段から血圧が高めでないか


この3点を意識するだけでも、リスクを大きく下げることができます。


筋トレは、基礎代謝の向上や生活習慣病の予防など、健康的な生活を送る上で非常に大きなメリットをもたらします。頭痛というサインを理解し、正しい知識と予防策をもって安全に行えば、筋トレはかけがえのない健康習慣となります。

違和感を感じたら無理をせず、脳神経外科で検査を受け、安心してトレーニングを続けましょう。