仕事中に頭痛がする原因は?集中できないときの対処法と受診の目安

仕事中に突然襲ってくる頭痛は、単に体が痛いだけでなく、業務そのものを大きな負担に感じさせる原因になります。「忙しいから」「市販薬を飲めばいい」と我慢しながら仕事を続けている方も少なくありません。
しかし、「また大事な会議で痛くなったらどうしよう」という不安を抱えながら働くのは、精神的にもつらいものです。
頭痛は我慢するしかないものではありません。自分の頭痛を知り、適切な薬の使い方や職場での予防方法、自分に合った「対処手順」を準備しておくことで、仕事の中断や不安を減らせる可能性があります。本記事では、仕事中の頭痛の原因、その場の対処法、仕事への影響を減らすための受診のメリットを解説します。
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目次
仕事中の頭痛が集中力や仕事に影響することも(プレゼンティズム)

頭痛を抱えながら働くつらさは周囲から見えにくいため、「自分のがんばりが足りないせいだ」と責めてしまう方もいます。
しかし医療の世界では、出勤はしているものの、心身の健康上の問題で業務効率が落ちている状態を「プレゼンティズム」と呼び、近年重要視されています。特に片頭痛をはじめとする頭痛は、集中力の低下や業務遂行に大きく影響することが知られています。
- 痛みに注意が向き、目の前の作業に集中しにくくなる
- 周囲に気を遣って「少し休憩したい」と言えず、さらに負担が重なる
頭痛による仕事の支障は、決してあなたの自己管理不足ではありません。まずはこの現実を認め、我慢以外の選択肢に目を向けてみましょう。
仕事中に頭痛が起こる主な原因

仕事中の頭痛は、緊張型頭痛や片頭痛だけでなく、眼精疲労や睡眠不足、水分不足、脳の病気などさまざまな原因で起こります。原因によって対処法や治療法が異なるため、まずは原因を整理することが大切です。
- 緊張型頭痛:頭全体が重く締め付けられる痛みが特徴。長時間同じ姿勢を続けることや、首・肩への負担、精神的な緊張などが関係することがあります。
- 片頭痛:頭の片側(あるいは両側)がズキズキと波打つように痛むのが特徴。光、音、においなどの刺激が誘因や悪化の要因になります。 関連:外来で多い頭痛の原因とは
- 環境や習慣の要因:PC画面を長時間見続けることによる眼精疲労、睡眠不足、水分不足、食事を抜くことによる空腹なども、頭痛の誘因になる場合があります。
- 薬剤の使用過多による頭痛:頭痛薬を頻繁に使い続けることで、かえって痛みに敏感になり回数が増える状態です。日数や薬の種類などをもとに医師が判断します。
- まれだが見逃せない二次性頭痛:脳の病気など、他の疾患が原因の頭痛です。症状や原因によっては、早急な検査や治療が必要になることがあります。
※なお、インターネット等では「偏頭痛」と表記されることもありますが、医学的な正式表記は「片頭痛」です。
仕事中に頭痛が起きたときの初期対応と種類別の特徴
「今、オフィスで痛みが始まってしまった」というときに、その場で試せる初期対応と特徴の比較です。
- 姿勢を変えて軽く身体を動かす
- 立ち上がる、肩をゆっくり上げ下げするなど、痛みが悪化しない範囲で首や肩の筋肉をほぐします。
- 静かな場所で目を閉じ、刺激を減らす
- 可能であれば暗く静かな場所に移動し、まぶしい光や騒音を避けることで、痛みの悪化を抑えられる場合があります。
- 水分や軽食を補給する
- 水分不足や空腹の心当たりがある場合は、水やお茶を補給し、無理のない範囲で軽食を取りましょう。
| 頭痛のタイプ | 主な特徴 | 対応の例 | 注意したいこと |
|---|---|---|---|
| 緊張型頭痛 | 圧迫・締め付けられる痛み | 姿勢を変える、無理のないストレッチ | 長時間同じ姿勢を続けない |
| 片頭痛 | ズキズキする、光や音が気になる | 暗く静かな場所で休む、刺激を減らす | 無理に動き続けない、強い刺激を避ける |
| 群発頭痛 | 片目の奥の非常に強い痛み | 速やかに医療機関で相談する | 市販薬だけで我慢し続けない |
※片頭痛では、歩行や階段昇降などの日常的な動作によって痛みが悪化することがあります。無理に動き続けず、暗く静かな場所で休みましょう。繰り返す頭痛は自己判断が難しいため、頭痛外来や脳神経外科、脳神経内科、内科などの医療機関へ相談してください。
仕事中の頭痛を防ぐための工夫
「また痛くなったらどうしよう」という不安を減らすため、日頃からオフィス環境を整え、事前の「備え」をしておくことが有効です。
- モニターと照明の調整
- モニターを無理に見上げたりうつむいたりしない位置にし、画面の明るさを落とすなど、首や目への負担を減らします。
- こまめな休憩と水分補給
- 定期的に遠くを見て目を休め、デスクに飲み物を置いてこまめに水分を取る習慣をつけます。
- 音やにおいへの対策
- 職場で許可されている範囲で、耳栓やノイズキャンセリング機能のあるイヤホンを利用することも選択肢です。
- 薬を携帯しておく
- 医師や薬剤師から使用方法の説明を受けた薬を携帯しておきます。「いざというときに適切な薬がある」状態は、仕事中の安心感につながります。
- 必要に応じて職場へ共有する
- 上司や周囲に頭痛の特徴(光や音がつらくなる等)を事前に伝えておくと、いざというときの休憩や席の移動がスムーズになります。
- 頭痛日記をつけてみる
- いつ、どんな状況で頭痛が起きたかを記録する習慣(頭痛日記)をつけることで、自分の頭痛の誘因や薬の効果を把握しやすくなり、受診時にも非常に役立ちます。
市販薬の使いすぎに注意。我慢せず受診を検討する目安
頭痛のたびに市販の鎮痛薬でその場をしのいでいる方は多いですが、頭痛薬を頻繁に使用する状態が続くと、薬の種類や使用日数によっては「薬剤の使用過多による頭痛」につながることがあります。
目安となる使用日数は、薬の種類により月10日以上または月15日以上と異なります。頭痛が月15日以上ある状態が続いている場合などは、自己判断で薬を増やさず、医療機関へ相談しましょう。
「最近、薬が効きにくくなってきた」「飲む回数が増えている」と感じたら、頭痛の治療や薬の使い方を見直す時期かもしれません。受診は我慢できなくなってから行く最終手段ではなく、安心して日々の仕事を続けるための具体的な対処手順や治療法を、医師と相談しながら整理する場所です。
受診すると、仕事中の頭痛への対応はどう変わる?
医療機関を受診する利点は、単に頭痛薬を処方してもらうことだけではありません。頭痛の種類や頻度、仕事への支障を整理することで、次の発作に備えた具体的な対処法を準備できるようになります。
頭痛の治療は、大きく分けて「急性期治療(発作時治療)」と「予防治療」があり、これらを組み合わせながら仕事への影響を減らしていきます。

片頭痛では、発作時の治療と予防治療を使い分ける
- 急性期治療(発作時治療)
- 頭痛が始まったときに、痛みや吐き気などを抑える治療です。一般的な鎮痛薬だけでなく、片頭痛に適したトリプタンなどが選択肢になります。吐き気が強い場合は、組み合わせる薬や剤形も含めて検討できます。薬を飲む適切なタイミング(頭痛の初期など)が分かっていると、「痛みが強くなるまで我慢してしまう」状況や、大事な会議前の不安を減らしやすくなります。
- 予防治療
- 頭痛の回数が多い、または急性期治療だけでは仕事への支障が大きい場合に行います。「頭痛が起こる日数を減らす」「発作の強さや持続時間を軽減する」「薬を使用する日数を減らす」などを目指し、生活スタイルを踏まえて予防薬を選択します。
緊張型頭痛では、薬だけでなく身体への負担を見直す
必要に応じて痛みを抑える薬を使用しながら、長時間の同じ姿勢、首や肩への負担、精神的な緊張などを見直します。片頭痛でも首や肩のこりを伴うことがあるため、診察を受けることで、自分の頭痛の特徴に合った治療や生活上の工夫を整理できます。
群発頭痛では、一般的な鎮痛薬とは異なる治療を行う
片方の目の奥を中心とした非常に強い痛みが繰り返される群発頭痛は、痛みが急速に強くなるため市販薬では対応が難しいことがあります。医療機関では、発作時の急性期治療として医療用酸素の吸入や速効性のあるトリプタン製剤などを使用することがあります。また、発作が集中する群発期には予防治療を行い、必要に応じて、予防治療の効果が現れるまでをつなぐ移行期治療を組み合わせる場合があります。
自分用の「仕事中の対処プラン」を準備できる
受診によって、「どの症状が出たら、どの薬を、どのタイミングで使用するか」「症状が改善しないときに追加対応(薬の追加や受診)はどうするか」をあなたの頭痛に合わせて整理できます。対処プランが決まっていることで、「また起きたらどうしよう」という不安を減らし、頭痛に振り回されにくい働き方につながります。
早急な受診や救急要請を検討する症状
次のような症状がある場合は仕事を中断し、速やかに医療機関を受診してください。
特に、突然の激しい頭痛、意識障害、麻痺、言葉のしゃべりにくさ、けいれんなどがある場合は、救急車を呼ぶことも検討してください。脳の重い疾患などが隠れているサインの可能性があります。
🚨 このような症状は仕事を中断してください
- 突然発症し、短時間でピークに達する激しい頭痛
- これまでに経験したことがない強い頭痛
- 手足のしびれや麻痺、言葉のしゃべりにくさを伴う頭痛
- 意識がぼんやりする、反応がおかしい
- けいれん、発熱、または繰り返す嘔吐を伴う
- 物が二重に見える、まっすぐ歩けない
- 頭を強く打った後に始まった頭痛
- 日ごとに痛みが強くなっている頭痛
よくある質問
市販薬は仕事中に飲んでもよいですか?
市販薬は、用法・用量と注意事項を確認したうえで使用する必要があります。持病がある方、妊娠・授乳中の方、他の薬を服用している方は、医師や薬剤師へ相談してください。また、成分によっては眠気が出ることがあるため、運転や機械操作を行う場合は注意書きを事前に確認しましょう。
頭痛薬を飲むタイミングはいつですか?
頭痛の種類や薬によって適切なタイミングは異なります。薬によっては、医師や薬剤師から説明された適切なタイミングで使用することが重要です。特に片頭痛の急性期治療薬では、頭痛が始まった初期に使用するよう指示されることがあります。
仕事中の頭痛では何科を受診しますか?
まずは専門的な診療を行っている「頭痛外来」や「脳神経外科」、「脳神経内科」を受診することをおすすめします。お近くに専門外来がない場合は、かかりつけの「一般内科」で相談してみましょう。
頭痛外来ではどのような治療をしますか?
問診や診察、必要に応じた検査を行い、頭痛の特徴や種類を評価します。その上で、一人ひとりのライフスタイルや仕事環境に合わせて、発作時の治療薬(急性期治療)の処方や、頭痛の回数・程度、生活への支障を減らすことを目指す予防治療の検討、日常生活についてのアドバイスなどを行います。
MRI検査は必要ですか?
「これまでにない激しい痛み」や「急に始まった頭痛」など、脳の疾患(二次性頭痛)が疑われる場合には、それらを除外するためにMRIやCTなどの画像検査を行うことがあります。検査の必要性は、医師が症状や経過を診察した上で判断します。
関連:MRI検査の流れ
自分に合った頭痛対策で、安心して働ける毎日へ
仕事中の頭痛を、ただ我慢して乗り切ることだけが、必ずしも適切な対処とは限りません。
自分の頭痛の種類や起こりやすい状況を把握し、適切な薬の使い方、休み方、職場環境の調整などを準備しておくことで、頭痛による仕事の中断や「また痛くなったらどうしよう」という不安を減らせる可能性があります。
また、頭痛の種類や頻度によっては、頭痛が起きたときに痛みや吐き気などを抑える急性期治療だけでなく、頭痛が起こる日数や程度を減らすことを目指す予防治療も選択肢になります。
「市販薬が効きにくくなってきた」「薬を使用する日が増えている」「頭痛によって仕事や日常生活に支障が出ている」という方は、一度医療機関へ相談してみましょう。頭痛の特徴を確認し、自分に合った治療や対処法を準備することが、頭痛に振り回されにくく安心して働くための第一歩になります。

医師プロフィール
院長:林 祥史
私立灘高校卒/東京大学医学部医学科卒
けやき脳神経リハビリクリニック 院長
資格・所属学会
【資格】 日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医、日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
【所属学会】 日本脳神経外科学会、日本脳血管内治療学会、日本脳卒中学会、日本リハビリテーション医学会、日本頭痛学会、日本めまい平衡医学会、American Academy of Family Physicians、Cambodian Medical Association
クリニック情報
けやき脳神経リハビリクリニック
院長:林 祥史(・日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医・日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医)
所在地:東京都目黒区下目黒2-14-13下目黒HAPPYビル1~3階(受付2階)
診療科目:脳神経外科・リハビリテーション科・内科
検査設備:MRI、レントゲン、超音波など
公式サイト:https://keyaki-nrc.com/