暑さで頭痛がする人へ|熱中症との違い・すぐできる対処法・危険なサインを脳神経外科医が解説

「暑い日に外を歩くと頭が痛くなる」「エアコンのない部屋にいると頭が重くなる」「お風呂やサウナの後に、ズキズキする頭痛が出る」
こうした症状は、暑さ(高温環境)によって頭痛が誘発されている可能性があります。
今まさに頭が痛い方は、まずこの3つをすぐ実行してください。
- 涼しい場所へ移動する
- 水分(経口補水液など)を少しずつ摂る
- 首の横(頸動脈)を冷やす
これだけで改善するケースは非常に多いですが、無理をせず体調の変化には注意してください。もし改善しない場合や不安がある場合は、早めに医療機関の受診を検討してください。その上で、なぜ痛むのか原因を詳しく知りたい方は以下を読み進めてください。
目次
暑さによる頭痛:一言でいうと(30秒で理解)
暑さによる頭痛は、主に「血管の拡張」「脱水」「自律神経の乱れ」の3つが重なって起こります。
- 血管拡張: 体温を下げるために脳の血管が広がり、周囲の神経を刺激する。
- 脱水: 血流が低下し、脳の神経が刺激に対して過敏になる。
- 自律神経: 屋内外の激しい温度差が脳の大きなストレスになる。
まずは「涼しい暗所へ移動」「こまめな水分補給」「首の横を冷やす」の3点をすぐに行いましょう。
あなたの頭痛は暑さが原因?症状チェックリスト
まずは、今の痛みが「暑さや脱水」によるものか確認しましょう。
- [ ] 暑い場所にいるほど頭痛が悪化する
- [ ] 入浴後やサウナ後にズキズキと脈打つように痛む
- [ ] 頭痛とともに軽い吐き気やだるさがある
- [ ] 帽子や日傘を使わなかった日に起こりやすい
- [ ] 暑さと同時に、光・音・匂いにも敏感になる
- [ ] 水分を摂って涼しい場所で休むと痛みが和らぐ
【臨床でよく見られるパターン】
- 外回りの仕事中、こめかみがズキズキし始める
- 帰宅して一息ついた瞬間に頭痛が悪化する
- 水分を摂ってしばらく休むと少し楽になる
このような場合、暑さによる「血管拡張」と「脱水」が重なっている可能性が非常に高いです。

熱中症による頭痛|まず確認したいセルフチェック
暑い日に頭痛がすると、「暑さで片頭痛が起きたのかな」と考える方も多いかもしれません。しかし、熱中症の初期症状として頭痛が現れている場合もあります。
特に夏場は、暑さによる頭痛と熱中症の症状が似ているため、自己判断だけで様子を見るのは危険なことがあります。
まずは、次の項目を確認してみましょう。
□ 暑い屋外やエアコンの効いていない室内に長時間いた
□ 水分をあまり摂れていない
□ 大量の汗をかいた
□ 頭痛と一緒にめまいがある
□ 吐き気や食欲低下がある
□ 強いだるさ(倦怠感)がある
□ 水分を飲んでも改善しない
チェック項目の数だけで熱中症の有無や重症度を判断することはできません。暑い環境で頭痛や吐き気、強いだるさなどが現れた場合は、まず涼しい場所へ移動し、体を冷やしてください。改善しない場合や自力で水分を飲めない場合、意識や反応がおかしい場合は、速やかに医療機関へ相談してください。
なぜ暑いと頭が痛くなる?医学的な3つの仕組み
脳神経外科の視点では、暑さ・高温環境を、頭痛を引き起こす主要な「誘発因子(トリガー)」のひとつとして捉えています。
① 脳の血管が広がりすぎる(血管拡張)
体は暑さを感じると、皮膚の血流を増やして体内の熱を外へ逃がそうとします。暑さや体温上昇は、片頭痛のある人にとって頭痛を誘発するきっかけの一つになることがあります。その結果、こめかみがズキズキする、心臓の拍動に合わせて痛む、光や音がつらくなるといった片頭痛にみられる症状が現れることがあります。
② 「隠れ脱水」による脳の過敏化
水分が不足すると、体内の水分や電解質のバランスが崩れ、頭痛やめまい、だるさなどが現れやすくなります。のどの渇きを強く感じる前から水分不足が進んでいることもあるため、暑い日はこまめな水分補給が大切です。
③ 温度差・体温上昇による自律神経の乱れ
猛暑の屋外と冷房の効いた屋内の行き来、熱い入浴やサウナは自律神経に強い負担をかけます。自律神経が乱れると、痛みを抑えるブレーキが効かなくなり、脳が過敏な状態(オーバーヒートに近い状態)になってしまいます。
関連記事: [頭痛の原因を徹底解説|外来で多い10の頭痛の原因・誘発因子と危険なサイン]

どっちが危険?「暑さによる頭痛」と「熱中症」の見分け方
暑い日に頭痛がしたときに重要なのは、「単なる暑さによる片頭痛」と決めつけず、熱中症の可能性を確認することです。
ただし、頭痛の痛み方だけで両者を完全に見分けることはできません。熱中症でも頭痛や吐き気が起こり、暑さをきっかけに片頭痛が起こった場合にも吐き気やだるさを伴うことがあります。
そのため、痛み方だけではなく、
- 暑い環境にいたか
- めまいや立ちくらみがあるか
- 強いだるさや吐き気があるか
- 自力で水分を飲めるか
- 意識や受け答えに異常がないか
をあわせて確認することが大切です。
| 確認する項目 | 暑さで誘発された片頭痛など | 熱中症が疑われる状態 |
|---|---|---|
| 起こりやすい状況 | 暑さ、強い日差し、入浴後、サウナ後、急な温度差 | 頭全体が重い・締め付けられる |
| 頭痛 | ズキズキすることがある | 高温多湿の屋外、冷房のない室内、運動・作業後、大量発汗後 |
| 光や音への過敏 | みられることがある | 必ずしもみられない |
| めまい・立ちくらみ | 伴うこともある | 熱中症の初期症状としてみられる |
| 筋肉のこむら返り | 一般的ではない | 塩分不足などにより起こることがある |
| 吐き気・強いだるさ | 頭痛に伴うことがある | Ⅱ度の症状として注意が必要 |
| 発汗 | 状況による | 大量に汗をかく場合も、重症化して発汗が乏しくなる場合もある |
| 意識・受け答え | 通常は保たれる | 返事がおかしい、反応が鈍い場合は重症の可能性 |
| 水分補給 | 自力で飲めることが多い | 自力で飲めない場合は救急要請が必要 |
| まず行うこと | 涼しい場所で休み、水分を補給する | 暑さを避け、衣服をゆるめて冷却し、水分を飲める場合のみ補給する |
厚生労働省は、熱中症が疑われる場合には、涼しい場所への移動、衣服をゆるめて体を冷やすこと、飲める状態であれば経口補水液などを補給することを案内しています。自力で水分を飲めない、または意識がない場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

「熱中症なら必ず38℃以上の高熱が出る」とは限りません。
体温がそれほど高く測定されなくても、暑い環境の後に頭痛、吐き気、倦怠感、めまいなどが現れている場合は、熱中症の可能性があります。
また、汗についても「大量に汗をかいているから軽症」「汗をかいていないから熱中症ではない」と判断することはできません。症状と全身状態をあわせて確認しましょう。
暑さが原因で起こりやすい頭痛の症状
- [ ] 暑い場所にいるほど頭痛が悪化する
- [ ] 入浴後・サウナ後にズキズキする
- [ ] 頭痛とともに軽い吐き気・だるさがある
- [ ] 帽子や日傘を使わなかった日に起こりやすい
- [ ] 暑さと同時に、光・音・匂いにも敏感になる
熱中症による頭痛はいつ危険?重症度と受診の目安
熱中症は症状の重さによって、Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度に分類されます。
ただし、この分類は自宅で正確に診断するためのものではありません。症状は短時間で変化することがあるため、現在の症状だけでなく、悪化していないかを継続して確認することが大切です。
特に頭痛は、一般的な重症度分類ではⅡ度の症状に含まれます。暑い環境の後に頭痛が現れ、吐き気、嘔吐、強い倦怠感などを伴う場合は、単なる暑さによる頭痛として無理を続けないようにしましょう。
Ⅰ度|現場で応急処置を始める段階
主な症状は次のとおりです。
- めまい
- 立ちくらみ
- 筋肉痛
- 筋肉のこむら返り
- 大量の発汗
- 手足のしびれ
- 気分が悪い
まずは、エアコンの効いた室内や風通しのよい日陰などへ移動します。衣服をゆるめ、首回り、脇の下、足の付け根などを冷やしましょう。
意識がはっきりしていて自力で飲める場合は、水分・塩分や経口補水液などを少しずつ補給します。
一人にせず、誰かがそばで状態を見守ることも大切です。応急処置をしても改善しない場合や、症状が悪化する場合は医療機関へ相談してください。
Ⅱ度|医療機関での対応が必要となる段階
主な症状は次のとおりです。
- 頭痛
- 吐き気
- 嘔吐
- 強い倦怠感
- 虚脱感
- 体がぐったりする
- 力が入らない
- いつもと様子が違う
この段階は、従来「熱疲労」と呼ばれてきた状態に相当します。
暑い環境の後に頭痛が現れ、吐き気や強いだるさを伴う場合は、Ⅱ度に該当する可能性があります。涼しい場所で体を冷やしながら、医療機関への受診・搬送を検討してください。
自力で水分を飲めない、何度も吐いてしまう、応急処置をしても改善しない場合は、速やかな医療対応が必要です。
Ⅲ度|直ちに救急要請が必要な段階
主な症状は次のとおりです。
- 呼びかけへの反応がおかしい
- 意識がもうろうとしている
- 意識がない
- けいれん
- まっすぐ歩けない
- 手足がうまく動かない
- 体に触れると非常に熱い
このような症状がある場合は、重症の熱中症が疑われます。
ためらわず119番へ通報してください。
救急車を待つ間も、涼しい場所へ移動させ、衣服をゆるめて体を冷やします。意識や反応がおかしい人に無理に水分を飲ませると、誤嚥する危険があるため、口から飲ませないでください。
受診・救急要請の目安
医療機関への受診を検討する症状
- 暑い環境の後に頭痛が続いている
- 頭痛に吐き気や強いだるさを伴う
- 水分を補給して体を冷やしても改善しない
- 何度も吐く
- 自力で十分な水分を飲めない
- 一人で歩くことが難しい
直ちに119番を考える症状
- 意識がない
- 呼びかけへの反応がおかしい
- 会話がかみ合わない
- けいれんしている
- まっすぐ歩けない
- 水分を自力で飲めない
- 体に触れると非常に熱い
判断に迷う場合は、無理に自宅で様子を見続けず、救急相談窓口や医療機関へ相談してください。

熱中症で頭痛が起こるのはなぜ?

熱中症では、高温環境によって体温調節機能がうまく働かなくなり、体内の水分や塩分(電解質)のバランスが崩れます。
さらに大量の発汗が続くと、体液量が減少し、血液の循環にも影響します。
その結果、
- 脱水
- 電解質バランスの乱れ
- 体温上昇
- 自律神経への負担
などが重なり、頭痛が起こると考えられています。また、暑さそのものが片頭痛を誘発することもあり、
「暑さによる頭痛」と「熱中症による頭痛」が同時に起こることもあります。
そのため、暑い環境で起こった頭痛は、「いつもの頭痛だから」と自己判断せず、体調全体を確認することが重要です。
熱中症では、頭痛だけで始まることもあります。その後、
- 吐き気
- 強い倦怠感
- めまい
- 嘔吐
などが加わる場合があります。
症状が改善しない、または悪化する場合は、無理をせず医療機関を受診してください。
暑さ・夏の頭痛を和らげる対処法と予防ポイント
頭痛がしたら最初の30分が大切です。暑い環境で頭痛が起こったら、まずは「熱中症かもしれない」という意識を持って行動しましょう。
対応が早いほど、重症化を防げる可能性があります。
1. 「のどが渇く前」にこまめな水分補給
こめかみが痛む血管拡張型の頭痛には、こまめな補給が最重要です。一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯(150〜200ml程度)を数回に分けて飲みましょう。大量発汗時は、水だけを大量に飲むのではなく、大量に汗をかいた場合は、塩分や電解質も補給できる経口補水液なども活用しましょう。
※アルコールは利尿作用により脱水を促すため、水分補給にはなりません。
2. 冷やすべき場所は「首の横」
「首の横(頸動脈)」や「脇の下」「足の付け根」など太い血管が通る場所を中心に冷やすと、効率よく体温を下げることができます。。
エアコンを我慢しないことも重要です。近年では、室内で発症する熱中症も少なくありません。室温が高くなる前から、適切に冷房を使用しましょう。
3. 「涼しい暗所」で安静にする
光や音の刺激は、暑さで過敏になった脳にさらなるダメージを与えます。エアコンの効いた部屋で、照明を落として休みましょう。横になれる場合は、枕などで頭を少し高くすると頭部の血圧のうっ滞が和らぎます。
脳神経外科の受診が必要な「危険な頭痛」
「いつもの暑さのせい」と自己判断してはいけないケースがあります。特に「いつもと違う」と感じた場合は、それだけで受診の理由になります。
暑い日に頭痛が起こった場合でも、次のような症状がある場合は、熱中症だけではなく、脳卒中など他の病気の可能性もあります。
- 突然、今までにない激しい頭痛に襲われた
- 意識がもうろうとする、会話がかみ合わない
- 手足のしびれ、力が入らない、ろれつが回らない
- 特定の動作(筋トレや咳)に伴って激痛が走る
また、単なる暑さによる疲れではなく、特定の動作に伴って激痛が走る場合も注意が必要です。
当院では、原因を見極めるためのMRI検査を当日対応で行っています。結果的に問題がなかったとしても、「確認できた安心」には大きな価値があります。 少しでも不安があるときは我慢せず、専門医にご相談ください。
当院では、原因を見極めるためのMRI検査を当日対応で行っています。MRI検査についての流れや服装などについては『MRI検査の流れを完全解説|検査前の準備・当日の手順・注意点』をご覧ください。「いつもの暑さのせい」と我慢せず、専門医にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
暑いと頭が痛くなるのはなぜですか?
暑さで体温が上がると、脳の血管が拡張して周囲の神経を刺激するためです。これに「脱水」や「温度差による自律神経の乱れ」が加わることで、頭痛が引き起こされます。
夏になると頭痛が増えるのはなぜですか?
夏は高温による血管拡張や脱水に加え、冷房との激しい温度差で自律神経が乱れやすいためです。特に片頭痛体質の方は、こうした環境変化に脳が過敏に反応し、頻度が増える傾向があります。
頭痛だけでも熱中症の可能性はありますか?
はい。熱中症の初期には、頭痛だけが最初の症状として現れることがあります。 その後、めまい、吐き気、強い倦怠感などが加わり、重症化すると意識障害を起こすこともあります。
暑い環境で起こった頭痛は、「暑さのせい」と自己判断せず、まずは涼しい場所へ移動し、水分・電解質を補給して体を冷やしましょう。症状が改善しない場合や、意識がもうろうとする、高熱を伴う場合は、速やかに医療機関を受診してください。
冷房(エアコン)の効いた部屋にいても頭痛がするのはなぜですか?
外気との温度差による「自律神経の乱れ」、または冷えすぎによる「緊張型頭痛」が考えられます。 設定温度を下げすぎず、外気温との差を5〜7℃以内に保つのが理想です。また、冷風が直接体に当たると筋肉がこわばり、別の頭痛を招くため、風向きにも注意しましょう。
運動中や筋トレ中に突然ひどい頭痛が起きたら、どうすべきですか?
直ちに運動を中止し、安静にして様子を見てください。 もし「バットで殴られたような衝撃」や、数分でピークに達する激痛(雷鳴頭痛)がある場合は、単なる暑さのせいではなく、脳血管のトラブル(動脈解離など)の恐れがあります。痛みが強い、または繰り返す場合は早急に脳神経外科を受診してください。
熱中症による頭痛に市販の頭痛薬を飲んでもいいですか?
熱中症が疑われる場合は、頭痛薬を飲む前に、まず体を冷やし、水分・電解質を補給することが重要です。
頭痛薬で一時的に痛みが和らいでも、熱中症そのものが改善するわけではありません。症状が続く場合や悪化する場合は、市販薬だけで様子を見続けず、医療機関を受診しましょう。
室内でも熱中症になりますか?
はい。
エアコンを使用していない室内や、風通しの悪い部屋では、室内でも熱中症になることがあります。
高齢者では、室内で発症するケースも少なくありません。
暑さは頭痛の「引き金」であり、熱中症のサインでもあります
暑さは、片頭痛を誘発する「きっかけ」になる一方、熱中症の初期症状として頭痛が現れることもあります。そのため、暑い日に頭痛がしたときは、「いつもの頭痛だから」と決めつけず、まずは
- 涼しい場所へ移動
- 水分・電解質補給
- 体を冷やす
ことが重要です。
改善しない場合や、吐き気、強いだるさ、意識障害などを伴う場合は、医療機関を受診してください。
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監修医師プロフィール
林 祥史 院長
私立灘高校卒/東京大学医学部医学科卒
けやき脳神経リハビリクリニック 院長 (東京都 目黒区)
【資格・所属学会】
- 日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医
- 日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
- 日本脳神経外科学会、日本脳血管内治療学会、日本脳卒中学会、日本リハビリテーション医学会、日本頭痛学会、日本めまい平衡医学会、American Academy of Family Physicians、Cambodian Medical Association