MRIの磁力は想像以上!安全に検査を受けるために
今回は、MRI検査の際に注意すべき「磁場と金属吸着」についてお話しします。MRIは脳や脊髄、血管の状態を詳しく調べるために欠かせない検査ですが、その強力な磁場によって思わぬ事故が発生することがあります。
SWATも驚いた!MRIに吸い寄せられた拳銃
MRIの磁力がどれほど強いのかを示す、驚きのエピソードがあります。アメリカ・ロサンゼルスで、警察のSWATチームがとある医療診断センターを「違法な大麻農場」と誤解して強制捜査に入ったことがありました。理由は、『その施設の電力消費が異常に高かったから…』。実際には、MRI装置の稼働による電力消費が原因だったのですが、当初は犯罪の証拠と勘違いされてしまったようです。
さらに驚くのは、その後の出来事です。捜査のためにMRI室に入ったSWATの警官が、腰に携帯していた拳銃をMRIの磁力に吸い寄せられてしまったのです! MRIの強力な磁場によって、銃が一瞬で引き寄せられ、装置に貼りついてしまったとのこと。SWATの警官も、この磁力の強さには驚きを隠せなかったでしょう。
MRIの磁力はどれくらい強い?
病院で使用されるMRI装置は、1.5T(テスラ)〜3Tが一般的です。これは地球の磁場の約30,000〜60,000倍に相当します。つまり、金属製品がMRI室に持ち込まれると、一瞬で装置に引き寄せられ、場合によってはミサイルのように飛んでしまうこともあります。
実際に、日本国内でもMRIの磁場による事故が発生しています。
• ストレッチャーが吸着し、取り外せなくなった(国内)
• 手術用のハサミが飛び、MRI本体にくっついた(国内)
• 酸素ボンベが飛び、患者様に衝突して死亡事故に…(海外)
こうした事故を防ぐために、MRI検査では特に金属製品の持ち込みに注意が必要です。
検査前に確認すべきこと
MRI検査を安全に受けていただくために、次の点を事前にご確認ください。
- アクセサリー・時計・スマートフォンを持ち込まない(磁場によって故障する恐れもあります)
- ヘアピン、コルセット、カイロもNG(衣類に磁性体が含まれている場合があります)
- インプラントや医療機器がある方は申告(ペースメーカーや金属製のインプラントは影響を受ける可能性があります)
MRI装置の磁場は検査をしていない時でも常にオンなので、部屋に入る時は常に注意が必要です。
安全なMRI検査のために
MRIは、放射線を使用せずに体内の詳細な画像を得ることができる非常に有用な検査ですが、磁場の影響には十分注意する必要があります。
MRI検査を受ける際は、「SWATの拳銃事件」を思い出しながら、安全確認にご協力をお願いします。
当院では、皆さんが安心して検査を受けられるよう、スタッフ一同、安全対策を徹底しております。ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。