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高次脳機能障害のリハビリ

2024.12.10

治療方法は?よくなるの?リハビリ期間いつまで?

高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害とは、脳に傷を受ける病気・怪我であればすべてに起こる可能性がある障害です。手足の麻痺は運動障害、飲み込みにくくなってしまうのは嚥下障害、というような身体におこる症状と同じように、脳が損傷したためにおこる脳機能障害です。目に見えない障害のため、入院中はなかなか分かりにくいことも多いようです。みなさんがよく「高次脳機能障害」という言葉を聞くのは、脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血、などではないでしょうか。脳卒中に関する詳細はこちら

「公益財団法人東京医師会」が発表している資料によると、高次脳機能障害を発症した原因の8割が脳血管障害、1割が頭部外傷と報告されています。公益財団法人東京医師会資料はこちら

高次脳機能障害の症状

脳の損傷部位や右の脳か左の脳かによって、様々な高次脳機能障害の症状が生じます。代表的な症状はこちらです。

  • 注意障害:集中が続かない、同時に複数のことができない
  • 遂行機能障害:段取りが悪い、臨機応変に対応できない
  • 記憶障害:新しいことが覚えられない、思い出すことができない
  • 失語:言葉を話す、書く、が上手くできない、言葉が正確に理解できない
  • 失認:視力や聴力・感覚に問題はないが、知っているものを見たり聞いたり触ったりしてもそれが何だか分からない、よく知っている人の顔を見ても、だれか分からない
  • 失行:手足は動かせるのに、目的にあった動作が出来ない、よく使う道具の使用ができない
  • 半側空間無視:視力や聴力に問題はないが、片側のものを認識できない
  • 社会的行動障害:ささいなことでイライラしやすい、我慢ができない、意欲がわかない、こだわりが強くなる
  • 病識の低下:自分自身の障害に気が付くことができない
  • 易疲労:脳が疲れやすく、ミスしたりイライラしたりする

高次脳機能障害症状について(東京都保険福祉局)はこちら

高次脳機能障害の治療方法は?

高次脳機能障害は、手術治療や内服治療、点滴治療といった確立した治療方法がありません。社会復帰を目指して、リハビリを行うことが中心となります。リハビリによって徐々に改善していき、多くの場合、発症後1年程度の時期までは著しい改善がみられます。

高次脳機能障害はよくなるの?

脳損傷の後、病院での治療やリハビリで、身体機能や高次脳機能は一定回復します。入院でのリハビリが終わると、もうよくならないのかと不安に感じる方も多くいらっしゃると思います。しかし、高次脳機能障害のリハビリは実際の生活に戻ってからが本番です。生活の仕方によって、長期にわたってまだまだ変化していきます。脳に損傷があるので、完全に元通りというわけにはいきませんが、新たに工夫を取り入れながら自分でできることを増やしていく、できることから取り組んで少しずつ生活をひろげていく、ということがリハビリになります。

さまざまな症状があることが特徴のため、障害の内容に合わせた適切なリハビリをうけることで治療効果がみられ、症状が回復する場合があります。

高次脳機能障害のリハビリ期間は?

厚生労働省の調査によると、リハビリによって高次脳機能障害が改善した割合は6ヶ月以内は74%、1年以内は97%と報告されています。実際の生活や就労支援のリハビリを行いながら、高次脳機能障害の改善を目指していくことが大切です。(国立障碍者リハビリセンター:高次脳機能障害者支援の手引きより)

高次脳機能障害の症状を理解して、適切な対処をすることが大切です

高次脳機能障害の症状は、日常生活への支障をきたすだけでなく、学校や仕事など、さまざまな社会生活に影響を及ぼします。

高次脳機能障害のリハビリは、残念ながら病院に入院しながら行うリハビリだけではその問題は解決しないことが多く、むしろ退院した後の生活が本当の意味のリハビリなのです。

適切な診断を行い、適切なリハビリを受けることで、改善する可能性があります。

当院の高次脳機能障害外来について

当院では、高次脳機能障害学会所属のリハビリスタッフが、医療保険での通院での外来を行っています。高次脳機能障害に対する各種検査バッテリーも揃っており、細かい評価をもとに、適切なリハビリプログラムをご本人およびご家族と相談しながら行っていきます。復職・復学に向けても一緒に取り組んでいきます。また、集中してリハビリを行いたい方には、自費パーソナルリハビリにて時間・回数を増やすことも可能です。プライバシーに配慮した、落ち着いた個室にてリハビリを行っていきます。当院のリハビリについてはこちら

まとめ

脳卒中に限らず、脳腫瘍や頭部外傷、慢性硬膜下血腫、神経変性疾患、など様々な疾患で高次脳機能障害が生じます。長期戦のリハビリとなるケースもありますが、適切な評価・リハビリを行っていくことで生活力を高めていくことができることも多いです。

当院では、脳外科Drの指示のもと、MRI検査・高次脳機能検査バッテリー等必要な検査を適宜行いながら、リハビリプログラムを提供しています。長期間きめの細かいリハビリが行えるような支援体制もあり、最適なサポートを提供させていただきます。

高次脳機能障害があり、退院後、生活や職場でうまくいかない、大変になった、などといったことがある場合は、是非一度当院にご相談ください!