• TEL03-5747-9280
ブログ

脳ドック結果の『異常・所見あり』を徹底解説|不安を解消する見方ガイド【リスク別チェックリスト付き】

「脳ドックの結果、どう見ればいいの?」
「“異常あり”って言われたけど、どうすればいいの?」
そんなあなたの不安や疑問を解消するために、この記事では脳ドックの結果表の見方を、図解や表、チェックリスト付きでわかりやすく解説します。
さらに、脳ドックでよく見られる所見(「白い影」「脳萎縮」など)の意味と、それぞれの所見が持つリスクの考え方、そして「経過観察」が推奨される理由まで、具体的にまとめました。
脳ドックは、あなたの未来の健康を守る大切な”地図”です。この地図を正しく読み解き、不安を解消して、次の行動へつなげましょう。

脳ドックとは?検査内容と目的


脳ドックは、自覚症状がないうちに脳や脳血管の状態をチェックし、脳卒中(脳梗塞、脳出血など)や脳腫瘍、認知症の原因となる変化を早期に見つけることを目的とした予防医療検査です。主に以下の検査が行われます。

検査名内容検出される主な異常
MRI 脳の断層画像を撮影し、脳の構造を見る検査脳梗塞、脳腫瘍、脳萎縮、多発性硬化症など
MRA 脳の血管だけを立体的に描出する検査脳動脈瘤(血管のこぶ)、脳血管の狭窄・閉塞、奇形など
頸動脈エコー首の血管(頸動脈)の動脈硬化や血流をチェックプラーク(コレステロールなどの塊)、血管の狭窄、血流低下など
その他血圧測定、血液検査、心電図など高血圧、脂質異常症、糖尿病といった脳卒中リスク因子

これらの検査を総合的に評価することで、将来の脳疾患リスクを予測し、早期の対策を立てることができます。

脳ドック結果の読み方ガイド|主な検査項目と異常所見の意味を解説

脳ドックの結果表には、普段聞き慣れない専門用語が並ぶことがあります。ここでは、特によく出てくる所見とその意味、そして注意点をやさしく解説します。

所見名 意味・読み方原因やリスク、注意点
無症候性脳梗塞 症状がないまま、脳の血管が詰まり、脳の一部が小さなダメージを受けた「傷跡」 です。普段の生活で気づくことはほとんどなく、脳ドックで初めて発見されることも多くあります。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などが主な原因です。放置すると将来の脳卒中リスクが高まります。
微小脳出血
(CMB)
ごく小さな出血の跡。主に加齢や高血圧が原因で、脳の細い血管がもろくなっているサインです。頻度が多い場合は注意が必要です。
脳白質病変
(WML)
脳の深い部分にある「白質(はくしつ)」という場所で、血の巡りが悪くなり、酸素不足になったことによる変化 です。加齢によって誰にでも見られる変化ですが、広範囲にわたる場合は注意が必要です。加齢や動脈硬化、高血圧などにより、脳の血流が低下することで起こります。認知機能低下との関連も指摘されます。
脳動脈瘤脳の血管にできた小さな「こぶ」。破裂するとくも膜下出血の原因となります。サイズや形、場所によってリスクが異なります。高血圧との関連が深いです。
脳血管狭窄
頸動脈狭窄
脳や首の血管が動脈硬化などで狭くなっている状態。血流が悪くなったり、血管壁のプラーク(塊)が剥がれて脳に飛んでしまったりするリスクがあります。高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙などによる動脈硬化が主な原因です。脳梗塞の直接的な原因となるため、狭窄の程度によっては治療が必要になります。
脳萎縮脳の体積が加齢などで小さくなる変化。加齢による自然な変化であることも多いですが、認知症の初期兆候である可能性もあります。
💬

 放射線技師より:無症候性脳梗塞と脳白質病変って何が違うの?
> どちらも脳の血流が関係する異常ですが、画像を見ている我々のイメージとしてはこんな感じです。
> 無症候性脳梗塞: 脳の一部が「完全に通行止めになってしまった場所(小さな壊死)」。
> 脳白質病変: 脳の深い部分で「血流が滞り、酸素や栄養が不足して少し弱ってしまった場所」。
> どちらも脳からの「SOSサイン」と捉え、今後の生活習慣を見直すきっかけにすることが大切です。

脳ドックの『異常あり』所見別解説|見方と対応策・リスクを徹底理解

ここでは、脳ドックで指摘されることの多い所見について、その見方と、「どんな時に、どう対応すべきか」の目安を図解や具体的な解説を交えてご紹介します。

「白い影」が気になるとき|正常?異常?

MRI画像を見ていると、「白く写っている部分」が目について「これって異常?」と心配になる方も多いでしょう。しかし、「白い影」が全て病気を意味するわけではありません。
MRIでは、画像の種類(シーケンス)によって「白く映るもの」が異なります。

画像の種類役割見え方や場所の例
(白い影)
意味と判断のポイント
FLAIR画像古い病変やむくみの検出に有効小さな白い点々、モヤモヤとした白い部分無症候性脳梗塞や脳白質病変(虚血性変化)の可能性が高いです。加齢とともに増える傾向があり、数や大きさ、場所が重要です。
T2強調画像脳の構造や水分量の評価に有効脳の溝のフチ、脳の中心部など脳室(脳の中の水の通り道)や血管の周囲の空間など、正常な脳の構造が白く見えることがあります。
DWI(拡散強調画像)新しい脳梗塞の検出に特に有効白く光る急性期の脳梗塞で、細胞が壊れてむくんでいる状態を示します。急な症状を伴う場合は、緊急性の高い異常です。
T2*(スター)画像古い出血の検出に特に有効小さな黒い点々微小脳出血を示します。白ではなく、黒く見えるのが特徴です。過去の小さな出血の痕跡です。
📌

白い影を見たらチェック!

  • どの画像で白いか?
    • DWIで白ければ緊急性が高い可能性があります。FLAIRでの白い点は加齢性変化のことも多いです。
  • 左右差があるか?
    • 左右対称ではなく、片側にだけ目立つ白い影は、何らかの異常の可能性が考えられます。
  • 大きさ・数は?
    • 小さく、数が少ない白い点であれば、加齢による変化のことが多いです。

白い影=病気ではないということを理解し、画像の種類と照らし合わせてみましょう。不安な場合は、必ず医師に相談してください。

「脳が萎縮している」と言われたら?|加齢と病気の違い

「脳が少し萎縮していますね」と言われると、「認知症になってしまうの?」と不安になりますよね。しかし、脳の萎縮は加齢による自然な変化であることが多く、すぐに認知症と結びつける必要はありません。

萎縮の見方:脳の隙間がポイント

脳が萎縮すると、脳と頭蓋骨の間の隙間(くも膜下腔)や、脳の中にある「脳室」という水の通り道が広くなります。MRIのT1やT2画像でこれらの隙間が目立つと「脳萎縮」と診断されることがあります。

  • 加齢による萎縮の特徴
    • 脳全体にまんべんなく隙間が広がっている
    • 脳室がやや広いが、左右差がない
    • 記憶をつかさどる「海馬」の萎縮は軽度
    • 自覚症状が特にない

  • 病気に関連する萎縮の可能性
    • 特定の部位(例:前頭葉や側頭葉、海馬など)に左右差を伴って強く萎縮が見られる場合。
    • 物忘れなどの自覚症状が進行している場合。
    • VSRAD(ブイエスラド)などの追加検査で、認知症に関連する特定の萎縮パターンが指摘される場合。

脳萎縮がある=必ず認知症ではありません。大切なのは、その萎縮がどの程度で、どの部位に偏っているか、そして自覚症状があるかどうかです。

脳ドックで『経過観察』はなぜ?放置して良いのか不安を解消

脳ドックの結果で「要経過観察」と書かれていると、「放っておいて大丈夫なの?」と不安になるかもしれません。しかし、これは決して「放置」という意味ではありません。
「経過観察」とは、「現時点では治療や精密検査の必要性は低いが、将来のリスクを考慮して、定期的に状態をチェックしていく」という医師の判断です。


特に、無症候性脳梗塞や脳白質病変、軽度の脳萎縮などは、以下のような理由から経過観察となることが多いです。

  • 症状がない場合がほとんど
    • これらの所見は、多くの場合、患者さん自身に何の症状も現れていません。症状がないのに積極的に治療を行うことで、かえって体に負担がかかる可能性があります。
  • 急激な変化が少ない
    • これらの所見は、長い時間をかけてゆっくりと進行することがほとんどです。そのため、すぐに危険な状態になることは少なく、定期的に状態を確認することで十分に対応が可能です。
  • 生活習慣の改善が重要
    • これらの所見の多くは、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙といった生活習慣病と深く関連しています。薬で治すというよりは、生活習慣を見直すことで進行を抑えたり、予防したりすることが何よりも重要になります。
  • リスクの度合い
    • 例えば小さな脳動脈瘤の場合、破裂リスクが非常に低いと判断されれば、手術のリスクと天秤にかけて経過観察が推奨されます。定期的なチェックで、万が一の大きさや形、場所の変化を見逃さないようにすることが大切です。

つまり、「経過観察」は「何もしなくていい」のではなく、「生活習慣に気をつけながら、定期的に体の声を聞き、必要に応じて次のステップに進む準備をする期間」と捉えましょう。

「MRI画像でよくある異常所見|深刻度・対応策・病院に行くべき目安」

脳ドックでよく見られる所見は、その数や大きさ、場所、そして他の所見との組み合わせによって、問題の深刻度が異なります。以下は一般的な目安として参考にしてください。

|無症候性脳梗塞 | ★★☆☆☆(単発・小さい場合)〜 ★★★★☆(多発・大きい場合)

MRI無症候性脳梗塞
  • 経過観察(生活改善)
    • 高血圧、糖尿病、脂質異常症の生活習慣病のコントロールが重要です。食事の見直し、適度な運動、禁煙に取り組みましょう。

| 微小脳出血 | ★★☆☆☆(数個の場合)〜 ★★★★☆(多数の場合)

MRI微小脳出血
  • 脳神経外科で相談可能
    • 特に高血圧の方は、血圧管理を徹底しましょう。定期的なMRI追跡検査で、増加傾向がないか確認することを検討しましょう。

| 脳白質病変 | ★★☆☆☆(軽度・散在性の場合)〜 ★★★★☆(重度・広範囲の場合)

MRI白質病変
  • 生活習慣病があれば相談推奨
    • 無症候性脳梗塞と同様、生活習慣病の管理が進行予防に繋がります。 |

| 脳動脈瘤 | ★★★☆☆(小さい)〜 ★★★★★(大きい、形が不整、増大傾向の場合)

MRA 動脈瘤


原則は経過観察だが…
小さな動脈瘤は破裂リスクが低いですが、血圧管理や禁煙が非常に重要です。大きさや形、場所によっては手術や経過観察の頻度を検討します。詳細は脳神経外科医と相談しましょう。

| 脳血管・頸動脈狭窄 | ★★★☆☆(軽度)〜 ★★★★★(高度狭窄や症状がある場合)

MRA 狭窄


狭窄の程度に応じて専門医へ
動脈硬化の進行を抑えるため、生活習慣病の管理と禁煙が必須です。狭窄の程度が強い場合は、カテーテル治療(ステント留置術)や手術(内膜剥離術など)を脳神経外科や循環器内科と相談します。

| 脳萎縮 | ★★☆☆☆(軽度・加齢性)〜 ★★★★☆(中等度以上・特定の部位の場合)

MRI萎縮
  • 自覚症状があれば脳神経外科・神経内科へ
    • 脳トレ、適度な運動、バランスの取れた食事など、脳の健康を保つ生活習慣を心がけましょう。物忘れが気になる場合は、VSRAD検査や認知機能検査を検討しましょう。

🧠【図解の注意】
※掲載されるMRI画像などはあくまで参考です。正確な診断は、画像だけでなく、問診や他の検査結果、自覚症状を総合的に判断する医師の読影によって行われます。

脳ドック結果の自己診断チェックリスト|あなたの脳卒中・認知症リスクを簡単確認

以下の質問に「YES」が多いほど、現在のあなたの脳の健康管理を見直す必要があります。

質問YES/NO
最近、物忘れが気になる□ YES / □ NO
高血圧、糖尿病、脂質異常症のいずれかがある□ YES / □ NO
喫煙歴がある□ YES / □ NO
脳卒中や認知症の家族歴がある□ YES / □ NO
脳ドックで「白質病変」や「梗塞跡」があった□ YES / □ NO
不規則な食生活や運動不足が続いている□ YES / □ NO

📊 YESが3つ以上の方は要注意!

⇒ 今すぐ生活習慣の見直しと、定期的な脳検査をおすすめします。必要に応じて専門医への相談も検討しましょう。

脳ドックの結果で『異常あり』と出たら?相談すべき診療科と受診タイミング

脳ドックの結果や自覚症状に応じて、相談すべき専門の診療科は異なります。

動脈瘤・脳出血・血管狭窄に関わる所見

  • 脳神経外科、脳神経内科
    • 所見が出たら、脳ドックを受けた施設か専門医へ速やかに相談

脳萎縮・記憶障害などの自覚症状

  • 脳神経外科・物忘れ外来、神経内科
    • 自覚症状があれば、まずはかかりつけ医へ相談し、専門医を紹介してもらいましょう

小さな梗塞・白質病変

  • 脳神経外科・脳神経内科・循環器内科
    • 生活習慣病の持病があれば、かかりつけ医を通じて相談を推奨

その他、不安や漠然とした症状

  • 脳ドックを受けた施設またはかかりつけ医
    • どんな些細な不安でも、まずは相談してみましょう

脳ドック結果のよくある質問(FAQ)|『異常なし』『脳萎縮』などの疑問を解消

「異常なし」と書かれていても安心していい?

はい、基本的には重大な問題がないという意味なので安心してください。
ただし、脳ドックは「現時点」での状態を診るものです。加齢や生活習慣によって脳の状態は変化しますので、定期的なチェックは非常に大切です。健康な状態を維持するためにも、日々の生活習慣に意識を向けましょう。

「脳萎縮あり」は認知症という意味ですか?

必ずしも認知症という意味ではありません。
脳萎縮は加齢による自然な変化であることも多いです。しかし、気になる方や、物忘れなどの自覚症状がある方は、認知症の早期発見に役立つVSRAD(ブイエスラド)検査などで、さらに詳しく脳の状態を確認することも検討できます。早期に原因を特定することで、適切な対策を講じることが可能です。

脳ドックの結果について、誰に相談すればいい?

まずは脳ドックを受けた施設か、普段から診てもらっているかかりつけ医に相談しましょう。
検査結果を一番理解しているのは、検査を行った医療機関の医師です。必要に応じて、適切な専門医(脳神経外科、神経内科など)を紹介してもらうことができます。一人で悩まず、専門家の意見を聞くことが大切です。

この記事を読んだ後にすべき3つのこと

📌 この記事を読んだあなたに今すぐできること

  • 検査結果を再確認する
    • お手元にある脳ドックの結果表とこの記事を見比べながら、どの所見が該当したのか、その意味や深刻度、対応策をもう一度確認してみましょう。
  • かかりつけ医に相談予約を入れる
    • 結果に不安がある場合や、具体的な対策について知りたい場合は、結果表を持ってかかりつけ医に相談するだけでもOKです!医師があなたの状況に合わせてアドバイスしてくれます。
  • この記事をLINEで保存&家族と共有する
    • 脳の健康は、家族みんなで守っていくものです。この記事を家族や大切な人と共有し、一緒に脳の健康について考えるきっかけにしてみてください。

脳ドック結果を未来の健康に活かす|不安解消から行動へ

脳ドックの結果は、現在のあなたの健康状態を示すだけでなく、将来の健康を守るための大切な“地図”です。結果をどう読み解き、どう行動するかが、未来の健康を左右します。

  • 🧠 異常がある=すぐに病気ではない
    • 多くの所見は「病気のリスク」であり、適切な対策で進行を遅らせたり、予防したりすることが可能です。
  • 📈 行動次第でリスクは減らせる
    • 生活習慣の見直しや定期的な検査は、あなたの脳を守る力になります。
  • 👨‍⚕️ 必要に応じて医師と連携を
    • 不安なことや疑問があれば、一人で抱え込まず、必ず専門の医師に相談しましょう。
      脳を守る第一歩は、「知ること」から始まります。

定期的な脳のメンテナンスを通して、健康で安心な未来を手に入れましょう。

▶ 関連記事

VSRADとは?認知症リスクを可視化する検査とは