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第48回日本高次脳機能障害学会学術集会で演題発表を行ってきました

2024.11.15

こんにちは。脳の神秘にいつも驚かされている、作業療法士の伊藤です。

11月8日、9日、と東京の八王子で開催されました、日本高次脳機能障害学会学術集会へ参加してきました!

高次脳機能障害というのは、脳神経の病気(脳梗塞や脳出血や脳外傷など)により、身体を動かすことではなく、「見る」「聞く」「話す」「書く」「考える」「注意を払う」「覚える」「計画立てて行動する」など、目に見えない人間の能力ができなくなってしまうことです。

高次脳機能障害学会では、そのような高次脳機能について患者さまを通して勉強していこうという学会です。脳の病気の場所により、どのような症状が出るかが研究で分かってきていますが、まだ分からない部分も多く、さまざまな検査治療(薬・手術・リハビリ・など)を行った結果を持ち寄り、勉強しています。参加者は、医師、作業療法士、言語聴覚士、心理士など様々な分野で働いており、色々な視点からの意見を聞くことができる学会です。

私も、今回「Posterior alien hand syndromeと同側性模倣性連合反応を呈した脳梗塞の一例」という題名で発表させていただきました。何だかよく分からないな~という題名ですよね(笑)。脳梗塞になり「後方型エイリアンハンド症候群」と「同側性模倣性連合反応」という症状がみられた患者さまの、病気の場所とリハビリの方法についての話でした。「後方型エイリアンハンド症候群」なんて、何だか恐ろしい名前だと思いませんか?これは、脳梗塞が起こった側と反対の手や足(脳の右に脳梗塞のある場合、左の手足)が、自分が動かそうと思っていないのに勝手に動いてしまう症状で、エイリアンのように「得体のしれない動きをする」ことよりこう呼ばれています。自分の手足が勝手に動いてしまうなんて、怖いですよね!そのような驚くような症状も、リハビリを行っていくと「徐々に自分の思いが伝わるようになる(今回発表させていただいた患者さまの言葉です)」のです。本当に、脳ってすごいです!

医学は日進月歩で、今回の学会でも、高次脳機能の遠隔検査についての話題などもありました。当院でもオンライン診療を行っていますが、高次脳機能検査もオンラインで行えるように国に申請を出しています。自宅で治療や訓練など行えるようになる日が来るのかもしれませんね。

患者さまに寄り添った、よりよりリハビリを提供できるように、これからも勉強していきたいという良い刺激をもらい、今回も学会を終えました。