突然の意識消失・失神・気絶!何科を受診すべき?緊急対処法と原因 【医師監修】

本記事は医師監修のもと、看護師がわかりやすく執筆しています。
「立ち上がったら目の前が暗くなって気絶した、バタンと倒れた」 「飲酒してトイレに行ったときに意識を失ってしまった」 「お腹が痛いと思っていたら意識を失ってしまった」 「意識を失ってから頭痛がある」
このような経験をされた方もいるのではないでしょうか?
意識消失とは、一時的または持続的に意識を失うことの総称であり、失神やけいれんによるもの、重篤な病態によるものなど、さまざまな原因があります。意識を失うと驚きますし、「どの病院に行けばいいの?」と不安になると思います。
この記事では、意識消失の主な原因と受診すべき診療科、そして倒れたときの対処法について、看護師の立場からわかりやすく解説します。
意識消失(失神・気絶)の主な原因は?6つの種類を解説
一次的に意識を失ってしまう原因に関しては、主に以下の6種類があります。これらは、大きく分けて「心臓・血圧に関わる原因」と「脳に関わる原因」に分類されます。
【心臓・血圧に関わる原因(=失神)】

①神経調節性失神(自律神経の乱れによる、一時的な「脳貧血」)
自律神経が乱れて血圧が急に低下してしまい、脳への血流が一時的に不足し意識を失うことがあります。 学校の朝礼で倒れてしまう場合や、排便・排尿後の意識消失、精神的なストレスや恐怖での意識消失が神経調節性失神にあてはまります。
②起立性低血圧(立ち上がった際の血圧低下)
立ち上がった際に重力で下半身に血液が偏ってしまい、脳への血流が一時的に不足し意識を失うことがあります。 立ち上がった際に立ちくらみやめまい、ふらつきを自覚している方に起こり得ます。
③心原性(心臓の病気によるもの)
不整脈による徐脈や頻脈、心筋梗塞により心臓からの血流が不足し脳への血流不足で意識を失うことがあります。
【脳に関わる原因】

④てんかん/けいれん
てんかん発作やけいれん発作では意識を失うことがあります。
⑤一過性脳虚血発作 (TIA)
椎骨脳底動脈という主に脳幹を栄養している血管で一時的に脳血流が落ち、ごくまれに意識を失う可能性があります。脳幹には生命を維持する大切な機能が集まっているためです。
⑥くも膜下出血
脳動脈瘤が破裂することで脳出血をきたし、突然の激しい頭痛や嘔吐を伴う病気。急激な出血により脳の圧力が高くなることで意識を失う場合があります。
意識消失の時間はどれくらい続くの?
神経調節性失神・起立性低血圧・心原性失神
数秒~数分です。脳への血流の回復と共に意識も戻ります。
てんかんやけいれんによる意識消失
けいれんしている間は意思疎通が困難な状況が続くため、意識消失時間はけいれんの時間に準じます。また、けいれんがおさまったあとも、意識がぼんやりしたり、逆に興奮してしまったりする時間があります。
一過性脳虚血発作やくも膜下出血による意識消失
脳にダメージがあるためすぐには回復しない場合が多いです。
意識消失はどう対処すればよい?倒れた人を見つけたら
意識を失いそうだと感じたとき
意識を失いそうだと感じたときは、目の前が真っ暗になる、吐き気がするなど前兆があることが多いです。
- 前兆を感じたら早めに座る・横になるなど安静にしましょう。意識を失ってケガをすることを避けるためです。
- 前兆を感じたが倒れてしまった場合は、脳の血流を保持するため、周囲の人に足を高くしてもらってください。
- 痛みなどのストレスで意識消失をしやすい方もいらっしゃいます。ご自身の傾向を把握し、痛みを伴うことが予めわかっている時には前もって横になっておくことも対策になります。
けいれんを伴う、または前兆なく倒れた人を見つけたら
- 前兆のないけいれん発作に関しては自身では対策が取れません。周囲の人が安全な場所を確保し、けいれんがおさまるのを待ちましょう。
- 頭痛と共に発症した意識消失の場合は、安全な場所を確保して体を横にし、吐いたもので窒息しない体位を取らせます。速やかに救急車を呼びましょう。

意識消失と頭部打撲:見過ごされがちな危険な合併症
私の母も排尿後意識消失をし、救急搬送されたことがあります。その際本人は気づいていませんでしたが、救急隊の観察で頭部に大きなたんこぶがあることがわかりました。
意識消失をすると本人は打撲をしたこともわからない場合があります。また、意識を失って卒倒している状態なので無防備に頭部などを打ちつけているかもしれません。
頭の中で出血してしまうと急性硬膜下血腫や脳挫傷など脳にダメージを負い、命に関わる重篤な病態になる可能性があります。頭の中の精査に関してはCTやMRI検査が必要となります。
意識を失ったら何科を受診すればいいの?迷った時の判断基準

意識を失った場合に受診するのは循環器科なのか脳神経外科なのか迷うところだと思います。
意識消失の原因をさぐるために行う検査は、心電図・24時間ホルター心電図・採血・心エコー・頭部画像検査があります。
- 胸が痛い・不整脈があるなど胸部症状が伴う場合には循環器科
- 意識消失をして頭をぶつけている場合は脳神経外科
- 頭痛が起きてから意識消失、意識消失が長引く、けいれんを伴う場合は脳神経外科で精査
当院での意識消失に対する検査内容
当院ではMRI検査により、意識消失の原因が脳にないか確認できます。転倒時の脳・骨のダメージの有無も検査可能です。即日検査・専門医による結果説明があります。
また、心電図・採血・心エコー、さらにTシャツ型ホルター心電図による自宅24時間心電図検査も可能です。 詳しくはこちら
一見すぐに意識が戻っても、心臓や脳に重大な病気が隠れていることがあります。初回や原因不明の場合は早めの受診をお勧めします。
意識消失に関するQ&A
意識消失はどのように対処すればよいか?
前兆を感じたら座る・横になるなど安静にしましょう。意識消失している人を見つけたら、安全な場所を確保します。
意識消失を起こしたとき、救急車を呼ぶタイミングは?
意識が戻らない、けいれんを伴う、頭を強く打った、胸の痛みがある場合は迷わず119番しましょう。
意識消失の場合何科を受診すればよいか?
循環器科や脳神経外科の受診が適切です。
どのような場合に病院受診をすればいいか?
何度も意識消失を繰り返す場合、長時間に及ぶ場合、頭をぶつけている場合、頭痛や胸の痛みが続いている場合には病院を受診しましょう。
監修者情報
監修者プロフィール:林 祥史 院長
学歴:私立灘高校卒 → 東京大学医学部医学科卒
現職・役職:けやき脳神経リハビリクリニック 院長
所在地:東京都目黒区下目黒2-14-13 下目黒HAPPYビル1~3階(受付2階)
資格・所属学会
【資格】 日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医、日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
【所属学会】 日本脳神経外科学会、日本脳血管内治療学会、日本脳卒中学会、日本リハビリテーション医学会、日本頭痛学会、日本めまい平衡医学会、American Academy of Family Physicians、Cambodian Medical Association
けやき脳神経リハビリクリニックは、 地域の皆さまの「脳と身体の健康」を守る身近な専門クリニックです。
突然の意識消失の原因精査から、頭部打撲の緊急検査、再発予防の生活指導まで、安心してご相談ください。