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物が二重に見える 外来での複視のリハビリ どうやるの?通院はどのくらい?よくなるの?

2024.12.23

病気になって急に物が二重に見えてしまう症状がでる場合があります。一つの物が二つに見える現象を、「複視」と言います。(複視について、はこちら)

複視には様々な原因がありますが、複視に対してリハビリを行うと効果があることがあります。ただし、すべての複視にリハビリ効果があるわけではありませんので、複視の症状が現れた原因をきちんと調べる必要があります。

複視の種類

複視にも、様々な種類があります。

両眼複視

片目をふさぐと一つに見えるが、両目で見ると複視がある。
この場合、最も多いのは眼筋や神経の異常のために眼球の運動が悪くなり,左右の眼の位置にずれが生じて物が二つに見えてしまう状態です。

単眼複視

片目でも二つに見えている。
外傷後にみられることが多く,〈水晶体脱臼〉といって目の水晶体の位置がずれると,瞳孔から水晶体を通って入る光と水晶体を通らないで入る光の2種類の光が目の中に入ることになり,二つに見えます。このほか乱視のときにもみられます。この場合は眼鏡やコンタクトレンズを用いると複視はなくなります。

複視のリハビリでの改善が期待できる病気

脳動脈瘤、脳梗塞、多発性硬化症、脳腫瘍、海綿静脈洞の障害、眼の奥の腫瘍、などで、リハビリを行うとよい場合があります。(背景にある病気、についてはこちら)
病気の種類については数も多く、また、同じ病気でも症状によってリハビリの効果が期待できる場合と期待できない場合とがあります。きちんと診察を行うことが大切になります。

外来での複視のリハビリ どうやるの?

当クリニックでは、通院外来にて
複視のリハビリを、左の図のような
流れで行っています。

① 医師の診察

当院では、原因精査のために、必要であればMRI検査を即日行い、脳外科医の診察後、リハビリを開始させていただいております。

② 眼の動きの評価

眼球の動きを調べます

・単眼運動評価 8方向の眼の動き
・両眼運動評価
 追従性眼球運動評価
 輻輳評価
 跳躍的眼球運動評価
 固視評価              など

③ 目のリハビリ(vision training)

  • 左右を見る
  • 目で追う
  • 目を動かす
  • じっと見て、頭を動かす
  • 動くものを見る(お手玉投げetc)
  • より目練習

など、個人個人に合わせた様々な練習を行います。

眼球の動きによって行う練習が違ってきます。お一人お一人の様子や回復に合わせて、行っていきます。

④ 自宅での自主運動をお伝えします

リハビリで行った眼球運動練習を自宅でも行えるように、毎回練習方法をお伝えすると同時に、自宅で見返すことができるようにプリントなどを必要に応じてお渡ししています。(当クリニックのリハビリについてはこちら)

通院はどのくらい?

自宅での自主運動を行っていただきながら、週1~2回の通院リハビリで回復度合いに合わせて、リハビリメニューを適宜変えて行っていきます。手元の見え方がよくなる、部屋の中での見え方がよくなる、外の生活での見え方がよくる・・・、と段階を追って改善していくことが多いため、リハビリを行ったからすぐにすべてがよく見えるようになる人は少ない印象です。身体や言葉のリハビリ同様、焦らず、時間をかけて取り組んでいくことが大切です。

よくなるの?

訓練により改善が認められた、と近年報告されてきていますが、まだ報告は少ない段階です。しかし、今まで一緒にリハビリを行った患者さまの様子から、病気の発症より時間が経過した場合でも、今まで使っていなかった筋肉を動かすことで、多少なりともよくなる場合は多いという印象があります。ただし、改善度合いは病気や眼の状態、自宅での運動をどの程度行うかによって違います。当クリニックでは、評価を丁寧に行い、患者様と相談させて頂きながら一緒にリハビリをすすめていきます。(複視のリハビリ報告については、こちら)

まとめ

自分の眼の動きを実際に見ることは難しいことです。物が二重に見えて、自宅で大変だと感じながら生活しているのであれば、一度、外来にいらっしゃいませんか?検査・診察により、実際に自分の眼がどのように動いていて、どのような練習を行うとよいのか、アドバイスできるかもしれません。現代の生活は8割が目から入る情報で行っているともいわれています。毎日の生活の大変さが少しでも減るように、一緒に取り組んでみましょう。