急に目がぼやける・片目だけ見え方がおかしいのは脳梗塞の前兆?【医師監修】

目次
その「目のぼやけ」、放っておくと危険です

「急に片目の視界がぼやけて元に戻らない」「視野の一部にカーテンがかかったように暗く見えない部分がある」 多くの方が「疲れ目だろう」「老眼かな」と自己判断しがちですが、突然起こる見え方の異常は、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍など、命や後遺症に関わる重大な病気の初期症状である可能性が高いです。
【この記事の結論:急な目の異常は脳神経外科へ】
「急に目がぼやける」「片目の視野が欠ける」原因は、脳の視覚野や、眼に栄養を送る血管(眼動脈・内頚動脈)のトラブルであることがあります。眼科で「異常なし」と言われた場合も、早急に脳の精密検査(MRI)を受ける必要があります。
急に目がぼやける・片目だけ見えにくい原因は脳梗塞?考えられる重大な病気
「目がぼやける」「突然見え方がおかしくなる」といった視覚異常の裏には、目そのものではなく、視覚を司る脳や、目に血液を送る「脳の血管」に問題が起きているケースが多々あります。
1. 脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)
脳梗塞やその前触れであるTIAでは、血管が詰まる場所によって「見え方」の異常が異なります。
- パターン①:眼への栄養血管が一時的に途絶える(一過性黒内障など)
- メカニズム: 脳へ向かう太い血管(内頚動脈)や、そこから枝分かれして網膜に栄養を送る「眼動脈」にトラブルが起きた状態です。
- 症状: 「片方の目」だけにカーテンがかかったように暗くなる、急に視界がぼやけるといった症状が出ます。これは眼そのものの病気ではなく、眼への血流が途絶える「眼の栄養不全」が脳の血管トラブルによって起きているサインです。
- パターン②:脳の視覚センターがダメージを受ける(半盲など)
- メカニズム: 脳の後ろ側にある、視覚情報を処理する「視覚野(後頭葉)」へ血液を送る血管が詰まる状態です。
- 症状: 右半分、あるいは左半分といった「視野の欠け」が両目同時に起こります。
【ここが危険!】 数分〜数時間で症状が消える「TIA(一過性脳虚血発作)」は、本格的な脳梗塞が数日以内に起こる切迫した前触れです。「治ったから大丈夫」と放置するのが最も危険です。
2. 脳腫瘍
- 症状: 徐々に視界がぼやける、視野が狭くなる、視力低下に加え、頭痛や吐き気を伴う。
- メカニズム: 脳内にできた腫瘍が、視神経や視覚伝達路を物理的に圧迫することで障害を引き起こします。
- 危険性: 進行すると回復不能な視力低下を招くほか、脳圧が高まり命に関わる状態(脳圧亢進)になります。
【セルフチェック】目がぼやけるのは疲れ目?それとも脳の病気?見分け方
自分の症状が「疲れ」なのか「脳」なのかを判断するためのポイントをまとめました。
| 症状の特徴 | 疲れ目・老眼・眼精疲労 | 脳の病気(脳卒中・脳腫瘍) |
|---|---|---|
| 症状の出方 | 夕方になると悪化するなど、徐々に | ある瞬間から「急に」おかしくなる |
| 持続時間 | 休息や睡眠で改善する | 数時間〜持続的に改善しない |
| 範囲 | 両目ともぼやけることが多い | 片目だけ、または視野の片側だけ |
| 他の症状 | 目の痛み、肩こり | 手足のしびれ、ろれつが回らない、激しい頭痛 |
チェックポイント:
- 「急に(突然)」起きたか?
- 「片目だけ」または「視野の半分だけ」か?
- 「1時間以上」続いているか?
これらに該当する場合、一刻を争う脳の異常かもしれません。
症例:片目のぼやけが「脳血管のトラブル」による一時的な血流低下だったケース
一見「一過性脳虚血発作(TIA)」のようでありながら、精密検査によって背景にある血管の重大な異常が見つかったケースをご紹介します。
【50代男性の症例】
「仕事中に急に片目の前がぼやけ、数分で治まった」という症状を繰り返し、眼科を受診。しかし「眼球には異常なし」との診断。不安を感じて脳神経外科を受診、MRI/MRA検査を行う。
【精密検査の結果:内頚動脈解離】
MRA画像検査の結果、脳や眼へ血液を送る最も重要な血管の一つである「内頚動脈」の壁が裂ける「内頚動脈解離(ないけいどうみゃくかいり)」が起きていることが判明。

安静時の画像上では脳全体の血流は保たれていたが、「目がぼやける」という症状が出た瞬間には、この血管の損傷部分で一時的な血流不全が起きていたと考えられた。
【治療の重要性:最悪の事態を未然に防ぐ】
放置すれば、損傷した血管壁から血の塊(血栓)が飛んだり、血管が完全に塞がったりして、命に関わる広範囲な脳梗塞を引き起こすリスクが非常に高い状態。いわば「脳梗塞の準備状態」。
発見後、すぐに適切な治療を開始。血管の状態は安定し、目のぼやけも完全に消失。本格的な脳梗塞を発症する前に「血管のサイン」を捉えることができた成功例です。
「眼科で異常なし」と言われたのに目がぼやける…その原因は脳にあるかもしれません
視覚のプロセスは「目(カメラ)」で光を捉え、「脳(現像機)」で映像として認識することで成立しています。
- 眼科の守備範囲: 角膜、水晶体(白内障)、網膜など「目そのもの」の異常
- 脳神経外科の守備範囲: 視神経、視覚野、脳血管(内頚動脈・眼動脈など)の異常
「見えにくい」という症状がある場合、まず眼科で角膜や網膜に異常がないか、検査してもらいましょう。
そのうえで眼科で「目に異常がない」と言われた場合、消去法で「脳やその血管」に原因がある可能性が高くなります。脳梗塞や血管解離、脳腫瘍は眼科の検査(視力・眼圧・眼底検査など)では発見できません。
目がぼやける・視野が欠けるときは何科を受診すべき?【脳神経外科が必要な理由】
「どこを受診すればいいかわからない」「予約が数週間先と言われた」と迷っている間に、病状は進行してしまいます。 けやき脳神経リハビリクリニックでは、以下の体制で患者様をお迎えしています。
- 当日中のMRI/MRA検査: 当院ではその日のうちにMRIが取れる体制を整えており、脳や血管の状態を確認できます。
- 専門医による即日診断: 日本脳神経外科学会認定の専門医が、画像をもとに的確に診断します。
- 迅速な連携: 緊急手術や高度な治療が必要な場合は、適切な高度医療機関へ即座に紹介します。
目がぼやける・片目だけ見えにくいときのよくある質問(FAQ)
片目がぼやけて、数分で治りました。もう大丈夫ですか?
いいえ、危険です。一過性脳虚血発作(TIA)や一時的な血管のトラブルの可能性があり、数日以内に本格的な脳梗塞を起こすリスクが高い状態です。症状が消えている間に、必ず脳神経外科を受診してください。
目のぼやけと一緒に頭痛もあります。何が考えられますか?
脳腫瘍や脳出血、あるいは内頚動脈解離などの可能性があります。特に「これまでに経験したことがない激しい頭痛」を伴う場合は、迷わず救急車(119番)を呼んでください。
眼科で「脳かもしれないから脳外科へ」と言われました。すぐ行くべき?
はい、すぐに行ってください。眼科医が「眼に異常がない」と判断したということは、原因が脳血管にある可能性が非常に高いという専門的な判断です。
急に目がぼやける・片目だけおかしいのは脳からの緊急SOS
「急に目がぼやける」「片目の見え方がおかしい」と感じたら、以下の3点を思い出してください。
- 「急に」「片目だけ」「持続的」なら、脳や脳血管の病気の可能性が高い。
- 眼科で異常がなくても安心しない。 原因は脳にあるかもしれません。
- 1分1秒がその後を左右する。 迷わず脳神経外科でMRI検査を受けてください。
あなたの「見え方のおかしさ」は、脳が命を守るために出している大切なサインです。
監修医師プロフィール
監修:林 祥史 院長
私立灘高校卒/東京大学医学部医学科卒
けやき脳神経リハビリクリニック 院長 (東京都 目黒区)
資格・所属学会
【資格】 日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医、日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
【所属学会】 日本脳神経外科学会、日本脳血管内治療学会、日本脳卒中学会、日本リハビリテーション医学会、日本頭痛学会、日本めまい平衡医学会、American Academy of Family Physicians、Cambodian Medical Association
本記事の内容について、より詳しく知りたい、または症状が改善しない場合は、お気軽に当院までご相談ください。