後頭部の激痛・首の付け根の痛みに潜む危険な病気とは?MRIで診断すべき症状とすぐ受診すべき目安

「後頭部や首の付け根がズキズキ痛む」「首から頭にかけて急に重い感じがする」──そんな症状に悩んでいませんか?
特に突然起こった首の後ろの痛みは、「ただの肩こり」では済まされない危険な病気のサインである可能性があります。
頭痛は多くの人が経験しますが、後頭部から首の付け根にかけての痛みには、命に関わる重大な疾患が隠れていることもあります。
本記事では、脳神経外科の専門的な視点から:
- 後頭部・首の付け根の痛みの原因(よくあるものから危険なものまで)
- 【冬に注意】寒さが関係する危険な頭痛
- MRI検査の必要性と早期発見のメリット
- 今すぐ受診すべき症状(受診目安)
を詳しく解説します。「様子見」で手遅れになる前に、正しい知識と行動を身につけましょう。
🔍 後頭部・首の付け根の痛みのよくある原因
まずは、多くの人が経験する一般的な頭痛の原因を知りましょう。これらは生活習慣の改善や適切な薬で対応できることが多いです。
筋緊張性頭痛(最も多いタイプ)
- 特徴:
- 長時間のデスクワークやスマホ操作、姿勢不良によって首や肩の筋肉が緊張し、後頭部から首の付け根にかけて重い痛みや圧迫感が出る。
- ポイント
- 日本人の頭痛で最も多く、慢性的に続くことが多い。
片頭痛(偏頭痛)
- 特徴
- 後頭部〜こめかみにかけて脈打つような痛み。吐き気や光・音への過敏を伴う。
- ポイント
- 20〜40代女性に多い。後頭部から始まることも少なくありません。
🚨 命に関わる危険な頭痛のサインと緊急疾患
「いつもの頭痛」と明らかに違う、「人生で一番ひどい痛み」や「突然の激痛」は、緊急性の高い疾患が原因である可能性が高いです。これらの症状を見逃さないでください。
「今までにない」激痛は要注意!椎骨動脈解離の症状

- 症状
- 後頭部や首の付け根に「今までに経験したことのない強い痛み」が突然、あるいは徐々に出る。首を動かすと痛みが強くなることがある。
- 危険性
- 血管の壁が裂ける病気で、進行すると脳梗塞を起こします。若年層でも発症することがあり、「ただの寝違え」と間違われやすいのが特徴です。
バットで殴られたような痛み!くも膜下出血・脳出血の緊急サイン

- 症状
- 突然の激しい頭痛(雷鳴頭痛)。しばしば吐き気、嘔吐、意識障害、けいれんを伴う。
- 危険性
- 緊急性が極めて高い。一刻を争う事態であり、すぐに救急車を要請する必要があります。
長引く・悪化する痛みと神経症状は?脳腫瘍の可能性

- 症状
- 後頭部の痛みが徐々に悪化。特に起床時に強い痛みが出やすい。吐き気や視覚異常、手足のしびれ、麻痺など、何らかの神経症状を伴う。
- 危険性
- 長引く痛みと神経症状の進行は要注意。MRIでの精密検査が必要です。
- 症状: 後頭部の痛みが徐々に悪化。特に起床時に強い痛みが出やすい。吐き気や視覚異常、手足のしびれ、麻痺など、何らかの神経症状を伴う。
- 危険性: 長引く痛みと神経症状の進行は要注意。MRIでの精密検査が必要です。
❄️ 【冬に注意】寒さが関係する危険な頭痛
冬の急激な温度変化は、血管に大きな負担をかけ、危険な頭痛を引き起こす原因となります。特に以下の疾患は冬に発症が増える傾向にあります。
高血圧による頭痛(寒さで悪化)
- 特徴
- 血圧が急上昇した際に起こる後頭部の重い痛み。動悸・めまいを伴うことも。
- ポイント
- 寒い時期は血管が収縮し、血圧が上がりやすいです。高血圧の持病がある方は、頭痛と合わせて血圧コントロールに注意が必要です。
くも膜下出血・脳出血(冬場に増加傾向)
- 特徴
- 突然の激しい頭痛。
- ポイント
- 寒暖差による血圧の乱高下は、血管に大きな負担をかけ、くも膜下出血や脳出血のリスクを高めることが分かっています。暖かい部屋から寒い脱衣所へ移動するなど、急な温度変化に注意しましょう。
🧠 後頭部の頭痛にMRIが必要な理由
「市販薬で落ち着くから大丈夫」は危険な思い込みです。薬は一時的に痛みを和らげるだけで、根本原因は分かりません。
MRI検査は、脳や血管の状態を正確に映し出すため、「後頭部の痛みが危険かどうか」を明確に判断できる方法です。
MRI検査で早期発見できる重大な疾患
- 椎骨動脈解離: 血管の裂け目
- 脳出血・くも膜下出血: 脳の出血
- 脳腫瘍: 脳内の病変
- 小さな脳梗塞・脳動脈瘤: 将来的なリスク
MRIで重大な疾患を除外できれば、安心して筋緊張性頭痛や片頭痛の治療に専念できます。逆に異常が見つかった場合でも、早期発見・早期治療によって後遺症を防ぐことが可能です。
🏥 MRI検査を検討すべき症状チェックリスト
「様子見」をせず、早期に脳神経外科または頭痛専門外来を受診すべき症状をまとめました。一つでも該当する場合は、すぐに専門医に相談してください。
緊急度 | 症状チェックリスト |
---|---|
特急 | 突然、人生で一番の激しい頭痛が起きた(救急車を!) |
高 | 「これまでにない」種類の強い後頭部・首の付け根の痛みが出た |
高 | 吐き気・嘔吐、めまい、手足のしびれ・麻痺、物が二重に見えるなど神経症状を伴う |
中 | 数日〜数週間、日を追うごとに痛みが悪化している |
中 | 高血圧や動脈硬化、糖尿病などの持病がある |
中 | 痛みで夜中に目が覚める、または数日以上続く後頭部のズキズキが改善しない |
✅ 原因をはっきりさせることの重要性
- 後頭部・首の付け根の痛みは「筋緊張性頭痛」が多いですが、椎骨動脈解離やくも膜下出血など命に関わる病気が潜んでいることがあります。
- 寒い時期は特に、血圧管理や寒暖差による脳出血リスクに注意が必要です。
- 市販薬だけでは危険な病気を見分けられず、「様子見」は命取りになる可能性があります。
- MRI検査で脳や血管の状態を詳しく調べることが、安心と安全につながります。
- 突然の痛み、長引く頭痛、普段と違う頭痛は、すぐに脳神経外科を受診すべきサインです。
📌 よくある質問(FAQ)
Q. 後頭部の頭痛は肩こりが原因のことが多いですか?
A. 多くは筋緊張性頭痛ですが、強い痛みや突然の発症は肩こりでは説明できません。MRI検査でより危険な疾患がないか確認することが強く推奨されます。
Q. MRIでは何が分かりますか?
A. 脳血管の異常(動脈解離、動脈瘤)、出血、腫瘍、小さな脳梗塞などが検出可能です。頭痛の原因特定において最も信頼性の高い検査です。
Q. 受診するのは何科が良いですか?
A. 脳の病気が懸念されるため、脳神経外科または頭痛専門外来をおすすめします。MRIを設置しているクリニックや病院を選びましょう。
受診を迷う方へ:あなたの頭痛は緊急ですか?
もし、この記事を読んで不安を感じているなら、それは「受診すべきサイン」かもしれません。
脳神経外科では、問診で危険性を判断し、必要に応じてMRIで脳の状態を詳しく確認します。たった一度の検査で命に関わる病気を除外できるなら、その価値は計り知れません。
「大丈夫だろう」ではなく、「原因をはっきりさせよう」という意識で、専門医にご相談ください。