【寒さ・冬】頭痛はなぜ起こる?寒暖差で「こめかみ・後頭部が痛い」原因とMRI検査の重要性

「寒いと頭が痛くなる原因は何?」「冬、頭痛がひどくなるのは寒暖差のせい?」「冷えで後頭部が重い」「こめかみがズキズキして吐き気がする」──そんなつらい経験はありませんか?
【結論】そのつらい寒さ(冬)の頭痛の主な原因は、「寒暖差による血管の急激な変化」と「冷えによる筋緊張」の2つがほとんどです。 実は、冬の頭痛には“寒さ”と“自律神経”が深く関係しています。急激な気温差や冷えによって自律神経が乱れ、血管が急に収縮・拡張することで、頭部の血流バランスが乱れ、痛みが起こるのです。
本記事では、寒い季節に多い頭痛の種類と、その痛みの仕組み、注意すべき危険なサイン、そして冬の頭痛予防法を詳しく解説します。特に「頭痛と吐き気」を伴うケースでの注意点や、脳神経外科でのMRI検査の重要性について解説します。
【冬の頭痛 原因とタイプ別 痛みの仕組み】こめかみ・後頭部・目の奥の痛み



冬の頭痛は、大きく分けて血管の急変による「片頭痛」と、筋肉のこわばりによる「筋緊張型頭痛」の二種類(一次性頭痛:原因となる病気が他にない頭痛)が多く見られます。
1. 寒暖差が原因でこめかみがズキズキする──片頭痛(血管性頭痛)
寒い外に出た直後や、温かい室内に戻った時など、急な寒暖差の後にこめかみに拍動痛が出る場合、片頭痛の可能性が高いです。
寒さによる仕組み
寒暖差は自律神経を乱し、特に交感神経を刺激します。冷えて収縮していた血管が急に拡張し、周りの三叉神経が刺激されることで、ズキンズキンという拍動性の痛みや吐き気が起こります。
症状の特徴
ズキンズキンという拍動性の痛み、目の奥の痛み、吐き気・嘔吐、光や音に敏感になる。
冬の対策
寒暖差の激しい場所を避け、痛むこめかみを冷やし、光・音を遮断して安静にしましょう。
2. 寒さ(冷え)で後頭部が重い・締め付けられる──筋緊張型頭痛
寒さで肩や首の筋肉がこわばると、血流が悪化し、後頭部〜首の付け根にかけての鈍い痛みが起こります。
寒さによる仕組み
寒さは体温維持のため、無意識に全身の筋肉、特に首・肩の筋肉を過度に緊張させます。これにより血行不良からくる老廃物(痛みの物質)が蓄積し、頭を「ギューッと締め付けられる」「ヘルメットをかぶったような」圧迫感が現れます。
症状の特徴
締め付けられるような圧迫感。後頭部、首の付け根が重く、夕方や疲労時に悪化しやすい。
冬の対策
マフラーやネックウォーマーで首筋を徹底的に保温し、血流改善を促すストレッチを取り入れましょう。入浴や温めることで痛みが緩和しやすいのが特徴です。
3. 寒さ・風邪が原因でおでこ・目の奥が痛む──副鼻腔炎由来の頭痛(二次性頭痛の可能性)
「冬の風邪が長引いている」「鼻がつまる」「顔を下げると目の奥が痛い」といった症状がある場合、副鼻腔炎(ちくのう症)による関連痛の可能性もあります。これは二次性頭痛(原因となる病気がある頭痛)の一つです。
寒さによる仕組み
乾燥や冷えにより鼻の粘膜の防御機能が低下し、炎症が長引くことで副鼻腔に膿がたまります。この圧力が目の奥や頬、おでこの痛みを引き起こします。
症状の特徴
目の奥・おでこ・頬の圧痛(押すと痛い)、鼻水・鼻づまり。
冬の対策
鼻うがいや加湿器で湿度を保ち、鼻粘膜の乾燥を防ぎましょう。耳鼻咽喉科との連携が必要になる場合もあります。
見逃してはいけない二次性頭痛:命に関わる脳の病気の危険なサイン
寒い季節は、血圧の変動が大きくなるため、くも膜下出血や脳出血などの命に関わる脳血管疾患(二次性頭痛:原因となる病気がある頭痛)の発症リスクが他の季節よりも高まります。(特に急激な寒暖差は、重大な血管イベントを引き起こす可能性があります。詳しくは[ヒートショックになりやすい人の特徴6選|冬のお風呂で命を守る予防と対策]をご覧ください。)
「おかしいな」と感じたら、絶対に我慢しないでください。次のような場合は、命に関わる可能性があるため、時間外でも速やかに脳神経外科や救急外来を受診してください。
- 突然の激しい頭痛(人生で経験したことのないバットで殴られたような痛み)
- 吐き気・嘔吐が止まらない(特に頭痛と同時に始まる場合)
- 片側の手足のしびれ・麻痺、ろれつが回らない
- 意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い
【MRI検査で何がわかる?】
これらの危険な症状がある場合、MRIやCT検査を行うことで、脳に出血がないか、血管に異常がないか(未破裂動脈瘤など)、脳腫瘍がないかなど、命に関わる病気(二次性頭痛の原因)の有無を迅速かつ正確に判断できます。
MRI・CT検査で分かる頭痛の根本原因
寒いと頭が痛くなる原因を正確に特定するため、画像検査は重要です。
命に関わる病気だけでなく、慢性的な頭痛の根本原因や副鼻腔炎の有無も特定できます。
| 検査で分かる主な頭痛の原因 | 検査の種類 | 診断のポイント |
|---|---|---|
| くも膜下出血・脳出血 | CT/MRI(緊急時)、MRA(血管) | 脳内の出血の有無、未破裂動脈瘤の存在。 |
| 脳腫瘍 | MRI | 脳内の病変の有無や大きさ。 |
| 慢性頭痛の診断 | MRI | 危険な二次性頭痛を除外し、片頭痛や筋緊張型頭痛(一次性頭痛)の確定診断に繋げる。 |
| 副鼻腔炎(蓄膿症) | CT/MRI | 鼻の奥の空洞(副鼻腔)に膿や炎症が溜まっていないか。 |
【寒さ・冬の頭痛 予防】5つの寒暖差・冷え対策
寒い季節の頭痛は、「冷え」と「血流の急変」を防ぐことが最大のカギです。日々の生活で以下の5つの対策を取り入れましょう。
- 首・肩・頭を徹底的に冷やさない
- マフラー、ネックウォーマーを活用し、首筋の筋緊張と後頭部の重さを予防する。
- 急な温度変化を避ける
- 室内外の寒暖差を少なくする。外出時はマスクで冷たい空気を直接吸い込まないようにし、血管への寒冷刺激をブロックする。
- 入浴で体の芯から温め緩める
- ぬるめのお風呂にゆっくり浸かり、筋緊張を和らげる。(脱衣所との温度差に注意![ヒートショック関連記事へのリンク]
- 朝のルーティンで血圧をコントロール
- 起床後に温かい飲み物と軽いストレッチを行い、急な血圧上昇を防ぎ、自律神経を緩やかに整える。
- 冬でも脱水対策を怠らない
- こまめな水分補給で血液をサラサラに保ち、血流をスムーズにする。
「寒いと頭が痛くなる」「こめかみ・後頭部・目の奥」部位別セルフチェック
| 痛む部位 | 症状の特徴 | 推測される頭痛タイプと原因要素 |
|---|---|---|
| こめかみ、目の奥 | ズキズキ、拍動痛、吐き気を伴う | 片頭痛(一次性頭痛:寒暖差による血管の急激な変化) |
| 後頭部、首の付け根 | 締め付けられる、重い、鈍痛 | 筋緊張型頭痛(一次性頭痛:冷えや寒さによる筋緊張) |
| 目の奥、おでこ、頬 | 圧痛、鼻水・鼻づまりを伴う | 副鼻腔炎由来(二次性頭痛の可能性:風邪・乾燥による炎症) |
「寒いから仕方ない」と我慢せず、強い吐き気や突然の激しい痛みを伴う場合は、脳神経外科でのMRI検査で脳の状態を確認しておくことが、重大な病気(二次性頭痛の原因)を未然に防ぐことにつながります。
よくある質問(FAQ)
寒い日に頭が痛くなるのはなぜですか?
寒さや寒暖差によって血管が急に収縮・拡張し、頭部の血流バランスが乱れることが主な原因です。特に冬は屋内外の温度差が大きく、自律神経が乱れやすいため、「片頭痛」や「筋緊張型頭痛」(一次性頭痛)が起こりやすくなります。
後頭部が重い・締め付けられるように痛むのは冷えのせいですか?
冷えが一因になることがあります。寒さで首や肩の筋肉がこわばり、血流が悪くなると「筋緊張型頭頭痛」(一次性頭痛)が起きやすくなります。温めやストレッチで血流を整えると緩和しやすい傾向があります。
冬になるとこめかみや目の奥がズキズキ痛むのは片頭痛ですか?
寒暖差による血管の拡張が関係している場合、片頭痛(一次性頭痛)の可能性があります。ズキズキとした拍動性の痛みや吐き気、光・音に敏感になる症状を伴うことが多いです。強い痛みが続く場合は、片頭痛以外の原因(二次性頭痛)を確認するためにも脳神経外科での検査をおすすめします。
頭痛と一緒に吐き気が出ると危険ですか?
軽度の片頭痛(一次性頭痛)でも吐き気を伴うことはありますが、突然の激しい頭痛や強い吐き気が同時に出る場合は注意が必要です。くも膜下出血など脳の病気(二次性頭痛)が原因の可能性もあるため、症状が急に強く出た場合はすぐに医療機関を受診してください。
どのタイミングで脳神経外科を受診すべきですか?
「今までにない強い頭痛」「吐き気や手足のしびれを伴う」「数日以上続く、または日常生活に支障をきたす頭痛」の場合は、早めの受診をおすすめします。これらは脳血管の異常(二次性頭痛の原因)が隠れている可能性もあるため、MRI検査などでの確認が安心です。
【けやき脳神経リハビリクリニックからのご案内】
けやき脳神経リハビリクリニックでは、冬の頭痛・寒暖差による片頭痛・筋緊張型頭痛・自律神経の乱れなどに対して、MRIによる精密検査と専門医による診断・生活指導を行っています。
特に、
「寒い日にこめかみがズキズキする」
「後頭部が重い・首こりが強い」
「頭痛と一緒に吐き気がある」
といった症状が続く場合は、重大な脳の病気が隠れていることもあります。
気になる症状がある方は、お早めにご相談ください。
記事監修者情報
この記事は、けやき脳神経リハビリクリニック 林 祥史 院長の監修のもと作成されています。
監修医師プロフィール
監修者プロフィール:林 祥史 院長
学歴:私立灘高校卒 、東京大学医学部医学科卒
現職・役職:けやき脳神経リハビリクリニック 院長
所在地:東京都目黒区下目黒2-14-13 下目黒HAPPYビル1~3階(受付2階)
資格・所属学会
【資格】 日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医、日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
【所属学会】 日本脳神経外科学会、日本脳血管内治療学会、日本脳卒中学会、日本リハビリテーション医学会、日本頭痛学会、日本めまい平衡医学会、American Academy of Family Physicians、Cambodian Medical Association
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