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顔のしびれの原因は?片側・口まわりの症状と受診の目安

顔のしびれを表すイラスト。女性の片側の頬にオレンジの点と線を重ね、感覚の違いを表現。「片側だけ、感覚がちがう?」「原因と受診の目安」と表示。

「頬を触ると、片側だけ感覚が鈍い」
「唇に麻酔が残っているような感じがする」
「顔がピリピリするけれど、痛いのとは少し違う」

顔のしびれ(痺れ)があると、「脳の病気ではないか」「何科を受診すればよいのか」と迷うことがあるかもしれません。

顔のしびれには、顔の感覚を伝える神経が関わるものから、脳の病気によるものまで、さまざまな原因があります。しびれる場所だけでなく、いつ・どのように始まったか、ほかに症状がないかが、原因を考える手がかりになります。

この記事では、顔のしびれの原因と受診の目安を、視床・脳幹などの脳の働きも交えながら解説します。

今、突然の症状がある方へ

今までなかった顔の片側のしびれ・感覚の鈍さが突然始まった場合は、顔だけでも脳卒中の可能性があります。手足が動いていることだけでは、脳卒中を否定できません。早急な受診を検討してください。

1.顔のしびれで、すぐに受診が必要なのは?

突然始まった場合は、しびれの強さで判断しない

脳梗塞や脳出血などの脳卒中では、顔や手足の感覚が突然変わることがあります。

「ビリビリと強くしびれる」だけでなく、「片側だけ触った感じが弱い」「いつもと感覚が違う」といった変化にも注意が必要です。顔全体ではなく、一部に限られた症状として現れる場合もあります。

顔のしびれに加えて、次のような症状が突然現れた場合も、急いで対応してください。

  • 顔・手足の変化: 顔がゆがむ、片方の手足に力が入らない、手足もしびれる。
  • 言葉の変化: ろれつが回らない、言葉が出ない、相手の話を理解しにくい。
  • 歩行・見え方などの変化: 急に立てない・歩けない、物が二重に見える、経験したことのない激しい頭痛がある。

すべての症状がそろうまで待つ必要はありません。脳卒中が疑われる場合は119番へ連絡し、症状が始まった時刻を、分かる範囲で伝えてください。

数分でしびれが消えた場合も、放置しない

「さっきまでしびれていたけれど、今は普通に戻った」という場合も、安心して放置できるとは限りません。

脳への血流が一時的に不足する一過性脳虚血発作(TIA)では、しびれや言葉の異常などが現れた後に消えることがあります。その後、脳梗塞につながる危険があるため、速やかな評価が必要です。

今しがた突然の症状が起こった場合は、改善していても受診を優先してください。自分で車を運転して受診することは避けましょう。

顔のしびれが突然始まった場合や一度消えた場合、続く場合の受診目安を示す図解。突然の症状は至急医療機関を受診し、症状が消えていても一過性脳虚血発作の可能性を考えて早めに受診、続くしびれは脳神経外科・脳神経内科などへ相談する流れを示している。

2.顔だけでも脳梗塞?視床・脳幹としびれの関係

顔の感覚は、神経を通って脳へ伝わります

頬に触れたことが分かるのは、皮膚で受け取った情報が脳まで届くからです。

顔の感覚の多くは、三叉神経(さんさしんけい)から、脳幹・視床などを経て、大脳へ伝わります。この経路の途中に異常が起こると、顔の皮膚に傷や発疹がなくても、しびれや感覚の鈍さが現れることがあります。

「顔がしびれるから、原因も顔にある」とは限らないのです。

顔の感覚が三叉神経から脳幹、視床を経て大脳へ伝わる大まかな流れを示した図解。顔だけのしびれでも、脳の感覚経路が関係する場合があることを説明している。

視床梗塞では、手足が動いていてもしびれることがあります

視床(ししょう)は、脳の深いところにある、感覚の中継に関わる部位です。

視床に脳梗塞が起こると、手足の力は保たれているのに、感覚が鈍くなったり、しびれたりする場合があります。顔の一部だけに症状が出るのはまれですが、口元のしびれだけで見つかった小さな視床梗塞も報告されています。

これは、「顔のしびれの多くが視床梗塞」という意味ではありません。

知っておきたいのは、「顔だけ」「手足は動く」という理由だけでは、脳梗塞を除外できないということです。

脳幹梗塞でも、顔の感覚が変わることがあります

脳幹(のうかん)にも、顔の感覚に関わる神経の経路があります。脳幹の一部である橋(きょう)に小さな梗塞が起こり、顔の感覚障害が中心に現れた症例も報告されています。

脳の後方の血流に関わる脳卒中では、急なふらつき、物が二重に見える、ろれつが回らないといった症状を伴うこともあります。顔の症状だけでなく、同じころに起きた変化も確認します。

言葉や話し方の変化については、言葉が出ない・しゃべりにくいときの原因と受診の目安もご覧ください。

口のまわりと指先が一緒にしびれるときは?

「口の端に違和感があり、同じころから指先もしびれる」

離れた場所の症状でも、一つの感覚の経路に関係している場合があります。

口の周囲と手・指に限局して感覚障害が現れる状態は、手口感覚症候群と呼ばれます。視床だけでなく、脳幹や大脳などの病変でも報告されています。

この症状の組み合わせだけで、原因や脳のどこに異常があるかを確定することはできません。口と手の症状を別々に考えず、同時に起きたことを医師へ伝えるのが重要です。

口まわりと指先のしびれが同じ側に起こることがあることを示した図解。離れた場所の症状でも脳の感覚経路が関係する場合があり、手口感覚症候群と呼ばれることがあること、症状だけでは診断できず、突然始まった場合は即医療機関へ、続く・繰り返す場合も専門の医療機関へ相談する流れを説明している。

3.顔のしびれには、ほかにどんな原因がある?

顔の感覚を伝える神経の障害

顔の感覚を伝える三叉神経や、その枝に異常が起こると、頬・唇・あごなどの感覚が変わることがあります。神経への外傷、炎症、圧迫などが関係する場合があり、痛みを伴うこともあります。

よく知られている三叉神経痛は、電気が走るような強い痛みを繰り返すことが特徴です。「しびれる」と感じていても、実際には痛みが中心なのか、触った感覚の鈍さが中心なのかを、診察で確認します。

洗顔や歯磨きで痛みが走るなど、痛みが中心の方は、顔が痛いときの原因と受診先で詳しく解説しています。

片頭痛に伴う感覚の変化

片頭痛では、頭痛の前などに、顔・舌・手がしびれる「感覚性の前兆」が起こることがあります。

しびれが数分かけて広がる、見え方の変化が前後に起こる、後から頭痛が現れる、といった経過が手がかりになります。頭痛を伴わない場合もあります。

初めての症状や、これまでと違う症状を、自己判断で片頭痛と決めつけないでください。症状の経過だけで、脳卒中などとの区別がつくとは限りません。

歯科治療後の唇・あご・舌のしびれ

親知らずの抜歯などの後に、唇・あご・舌のしびれが生じることがあります。歯の近くを走る神経への影響が関係する場合があります。

治療後から症状が始まった場合は、いつから、どの範囲がしびれるのかを、治療を受けた歯科・口腔外科へ伝えてください。麻酔について説明された時間を過ぎても感覚が戻らない場合も、相談しましょう。

発疹や水ぶくれを伴う場合

顔の皮膚がピリピリ・ヒリヒリした後に、赤い発疹や水ぶくれが出てきた場合は、帯状疱疹が考えられます。皮膚の変化より先に、痛みや違和感が始まることもあります。

皮膚科などで早めに相談してください。目の周囲の発疹、目の痛み、見え方の変化がある場合は、眼科での評価も急ぐ必要があります。

ストレスや過換気に伴うしびれ

強い不安や緊張などをきっかけに呼吸が過剰になると、口の周囲や手足にしびれが起こることがあります。息苦しさ、動悸、ふらつきなどを伴う場合もあります。

ストレスを感じていることだけで、しびれの原因がストレスと決まるわけではありません。 呼吸が速くなる原因も含めて確認し、必要な診察や検査を行います。

「しびれ」と「顔の動かしにくさ」は、分けて確認します

目が閉じにくい、口元が下がる、口から水がこぼれるなどは、感覚よりも、顔を動かす働きの変化として確認する症状です。顔面神経麻痺では、このような顔の筋肉の動かしにくさが中心になります。

ご自身でうまく区別できなくても構いません。「感覚がおかしいのか」「動かしにくいのか」を、診察で確認していきます。

顔の動きの変化については、顔面神経麻痺とはもご覧ください。

4.顔のしびれは何科へ?診察とMRIで調べること

原因の分からないしびれは、脳神経外科・脳神経内科へ

突然の症状では、早急に脳神経外科受診や、救急対応を優先します。

突然ではないものの、しびれが続く、徐々に範囲が広がる、原因が分からない場合は、脳神経外科や脳神経内科が相談先になります。神経の働きを診察し、必要な検査やほかの診療科への紹介を検討します。

歯科治療や皮膚症状との関係がある場合は、次のような受診先も考えられます。

症状・きっかけ受診先の目安
原因の分からないしびれが続く・広がる脳神経外科・脳神経内科
歯科治療後から唇・あご・舌がしびれる治療を受けた歯科・口腔外科
ピリピリ感に発疹や水ぶくれを伴う皮膚科。目の周囲や見え方の異常は眼科も

歯科治療後の神経症状や帯状疱疹では、それぞれの原因に応じた評価が必要です。手足や言葉の異常などが突然現れた場合は、表の受診先よりも脳神経外科・救急対応を優先してください。

診察では「いつから・どこが・ほかに何が」を確認します

症状を、医学用語で説明する必要はありません。

「頬に薄い膜が張っている感じ」「歯の麻酔が残ったような感じ」「左側だけ触った感覚が弱い」など、ご自身の言葉で伝えてください。

受診時には、次の3つを整理しておくと伝えやすくなります。

① いつから、どう始まったか
突然気づいたのか、徐々に始まったのか。続いているのか、一度消えたのか。

② どこが、どんな感じか
右・左、頬・唇・あごなどの場所。ピリピリするのか、触った感覚が鈍いのか。

③ ほかに何が起きたか
手足、言葉、見え方の変化、頭痛、発疹、歯科治療など。

診察では、症状の経過と分布に加え、顔の感覚や動き、手足の力なども確認します。

顔のしびれを診察で伝える際に確認したい3項目を示した図解。症状がいつから始まったか、右・左や頬・唇・あごなどどこがどのようにしびれるか、手足・言葉・見え方・頭痛・発疹・歯科治療など他の変化があるかを整理している。

MRIは、症状と診察を合わせて判断するための検査です

脳や神経の病気が疑われる場合には、頭部MRIなどの画像検査を検討します。脳梗塞や腫瘍などの病変、神経の周囲の状態を調べるために役立ちます。

顔がしびれる方全員に、同じ検査が必要なわけではありません。症状の始まり方や診察所見から、何を調べる必要があるかを判断します。

検査前の準備や当日の手順については、MRI検査の流れ・準備・注意点をご覧ください。

MRIで異常が見つからない場合は?

MRIで異常が見つからなかったという結果も、診断を考えるうえで重要な情報です。検査結果に加え、症状の経過や診察所見を合わせて、その後の対応を考えます。

脳梗塞でも、発症からの時間や病変の特徴によって、初回のMRIでは確認できず、後の検査で明らかになる場合があります。これは、異常がなかった方全員に再検査が必要という意味ではありません。

「異常なしだから、しびれは気のせい」「原因はストレス」と決めつけず、症状が続く・変化する場合は、受診先へ再度相談してください。新たに突然の手足や言葉の異常などが出た場合は、以前の検査結果にかかわらず受診が必要です。

5.顔のしびれについて、よくある質問

顔の右側と左側では、しびれる原因は違いますか?

「右側なら安全」「左側なら脳梗塞」という区別はできません。顔の神経の病気も、脳の病気も、左右どちらかの症状として現れ得ます。

左右だけでなく、しびれる範囲、始まり方、手足などの症状を合わせて判断します。

顔の皮膚の表面だけがしびれる場合も、脳が関係しますか?

関係する場合があります。皮膚で受け取った感覚は神経を通って脳へ伝わるため、脳の感覚経路に異常が起きても、「表面の感覚が鈍い」と感じることがあります。

感じ方だけで、皮膚・顔の神経・脳のどこに原因があるかを区別することはできません。

顔のしびれは、脳梗塞の前兆ですか?

顔のしびれが、必ず脳梗塞の前兆というわけではありません。

突然のしびれは、これから起きる病気の前兆ではなく、すでに起きている脳卒中の症状である可能性があります。短時間で消えた場合も、一過性脳虚血発作の可能性があるため、放置しないでください。

朝起きたときに、片側の顔がしびれていました。様子を見てよいですか?

起床時に初めて気づいた、新しい片側のしびれや感覚の鈍さを、「寝方のせい」と決めつけないでください。睡眠中に症状が始まり、起きてから気づく脳卒中もあります。

いつから始まったか分からなくても、脳卒中が疑われる症状では適格な対応が必要です。手足や言葉の異常が加わるまで待つ必要はありません。

顔のしびれは、何日くらい様子を見てもよいですか?

一律に「何日までは待ってよい」とは決められません。

突然始まった症状は、日数を数えて様子を見る状況ではありません。突然ではない場合でも、新しいしびれが続く、範囲が広がる、ほかの症状が加わる場合は、早めに医療機関へ相談してください。

6.顔のしびれは「場所」と「始まり方」を確認しましょう

顔のしびれには、顔の神経や片頭痛、歯科治療などに関係するものがあります。一方で、視床や脳幹など、脳の感覚経路の病気によって起こる場合もあります。

顔だけの症状でも、突然のしびれは軽視できません。症状が消えた場合も含め、脳卒中が疑われるときは医療機関への受診を優先してください。

突然ではないしびれが続くときは、「いつから」「どこが」「ほかに何が起きたか」を伝えて、原因を確認しましょう。ご自身で病名を調べて決めてから受診する必要はありません。

顔のしびれが続く方へ

目黒区のけやき脳神経リハビリクリニックでは、脳神経外科で症状を伺い、診察のうえで検査の必要性を判断します。

必要と判断した場合は、予約状況などに応じて、当日の頭部MRI検査・結果説明に対応しています。受診・検査については、当院のMRI検査のご案内をご確認ください。

狭い場所や検査中の音が不安な方は、MRIが怖い方へ|当院で行っている工夫もご覧ください。

医師プロフィール

林 祥史 院長
私立灘高校卒/東京大学医学部医学科卒
けやき脳神経リハビリクリニック 院長

資格・所属学会
【資格】 日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医、日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医

【所属学会】 日本脳神経外科学会、日本脳血管内治療学会、日本脳卒中学会、日本リハビリテーション医学会、日本頭痛学会、日本めまい平衡医学会、American Academy of Family Physicians、Cambodian Medical Association

クリニック情報

けやき脳神経リハビリクリニック

院長:林 祥史(・日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医・日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医)
所在地:東京都目黒区下目黒2-14-13下目黒HAPPYビル1~3階(受付2階)
診療科目:脳神経外科・リハビリテーション科・内科
検査設備:MRI、レントゲン、超音波など
公式サイト:https://keyaki-nrc.com/

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