高齢者の冬の隠れ脱水対策!脱水が招く脳梗塞リスクと9項目チェックリスト【医師監修】

本記事は、けやき脳神経リハビリクリニック 林 祥史 院長(日本脳神経外科学会認定 専門医)が監修しています。
「冬なのに脱水?」「喉が渇かないのに?」—実は高齢者に多い、冬の隠れ脱水は命に関わるリスクです。冬場、高齢者は特に「喉の渇きを感じにくい」「暖房と乾燥」「寒冷利尿」という3つの要因で、知らぬ間に脱水が進行しています。水分不足で血液がドロドロになり、脳梗塞・心筋梗塞のリスクが急上昇するのです。
この記事では、脳神経外科専門医の監修のもと、高齢者の冬の隠れ脱水の危険性、脳梗塞を防ぐ最重要な対策、そして脱水を見抜く9項目チェックリストを徹底解説します。
目次
- 【高齢者の冬の隠れ脱水】なぜ起こる?冬特有の意外な3つの理由
- 【隠れ脱水が最も危険な時】冬の朝に急増する脳梗塞リスクの関係
- 隠れ脱水の初期症状と体の変化
- 【隠れ脱水チェック】9項目セルフチェックリスト
- 脳梗塞を防ぐ!高齢者の冬の脱水対策:家族ができる4つの飲水支援
- 【脱水を予防】高齢者もできる冬の隠れ脱水を防ぐ効果的な水分補給の習慣
- 総合的な冬の健康管理:ヒートショックなど他のリスクも
- 冬の隠れ脱水・高齢者の脳梗塞予防に必要な「3つの要点」
- よくある質問(FAQ)
- 監修医師プロフィール
1. 【高齢者の冬の隠れ脱水】なぜ起こる?冬特有の意外な3つの理由
高齢者は、若年層と比べて体内の水分量が元々少なく、わずかな水分不足でも脱水状態になりやすいという身体的特性があります。
この特性に、以下の3つの身体的要因と3つの冬特有の環境要因が複合的に重なることで、自覚のない「隠れ脱水」は冬に特に深刻化します。
高齢者特有の脱水リスク(身体的要因)
- 喉の渇きセンサーの低下: 高齢者は「喉の渇き」を感じるセンサー機能が鈍化しており、体が水分を求めていても脱水に気づきにくい(自覚しにくい)。
- 水分調整能力の低下: 腎機能の低下により、体内の水分や電解質の調整能力が落ち、水分を効率的に保持できない。
- トイレ回避による制限: 夜間のトイレを気にするあまり、自主的に水分摂取を控えてしまう傾向がある。
冬特有の脱水促進要因(環境的要因)
冬は汗をかかないため脱水とは無縁に思われがちですが、実際には以下の要因で隠れ脱水が進行します。

① 暖房と乾燥による不感蒸泄の増加
室内の湿度が下がると、皮膚や息から水分が蒸発します(=不感蒸泄)。これは「目に見えない汗」とも呼ばれ、冬の暖房環境下では特に大量に失われやすく、気づかぬうちに体内の水分が少しずつ減少します。

② 寒冷利尿(トイレが近くなる)
寒さにより血管が収縮し、血圧を一定に保つために尿排泄が増える「寒冷利尿」(冬のトイレが近くなる現象)が起こります。その結果、体から水分が過剰に失われやすくなります。

③ 喉の渇きを感じにくい
発汗量が減る冬は、喉の渇きセンサーが鈍くなり、水分摂取量が自然と減ります。 この「渇きを感じにくい脱水」が、冬の隠れ脱水の最大の特徴です。
2. 【隠れ脱水が最も危険な時】冬の朝に急増する脳梗塞リスクの関係
冬の朝は、隠れ脱水と血圧上昇が重なる最も危険な時間帯です。
- 就寝中は水分補給が途絶え、血液が濃縮する
- 起床後、寒暖差で血管が急収縮する
→ この2つが重なることで血液がドロドロ化し、脳梗塞や心筋梗塞を誘発します。
脳神経外科医が警鐘
冬の朝に脳梗塞が多発する背景には、「脱水+血管収縮」の複合リスクがあります。 > > 起床後すぐにコップ1杯の水を飲む習慣は、高齢者の命を守る最も簡単かつ効果的な予防策です。
3. 【脱水 頭痛】冬に起こる隠れ脱水の初期サイン
隠れ脱水による頭痛や初期症状は、非常に軽微で見過ごされがちですが、これらは体が発する重要なサインです。
| 症状 | 隠れ脱水との関係 |
|---|---|
| 頭痛 | 脳容積のわずかな減少により、脳を包む膜(硬膜)が引っ張られて発生。血液濃縮による血流変化も影響します。 |
| めまい・ふらつき | 血流不足により脳への酸素供給が低下するため。 |
| 眠気・だるさ | 血流が遅くなり、全身の倦怠感や集中力の低下を引き起こします。 |
| 吐き気 | 重度の脱水や電解質異常が進むと、自律神経の乱れから感じることがあります。 |
| 口の渇き | 唾液の分泌が減少し、口の中や唇が乾燥している状態。 |
| 尿の濃縮 | 尿量が減り、色が濃い琥珀色になっている(水分不足の典型的なサイン)。 |
隠れ脱水と頭痛の関係(なぜ起こる?)
脱水が進むと、脳が水分を失い、一時的に脳の容積がわずかに減少すると言われています。これにより、脳を包む膜(硬膜)が引っ張られ、これが脱水による頭痛の原因となる場合があります。
また、血液が濃縮されることによる血流の変化も頭痛を引き起こします。これは、寒さによる血管の収縮とは異なり、体内水分量の不足が直接的な引き金となる点が特徴です。冬場に原因不明の頭痛が増える場合、隠れ脱水を疑う必要があります。
単なる脱水ではない可能性も
「頭痛」「めまい」「しびれ」「ろれつ不良」などの症状が続く場合は、単なる脱水ではなく、脳疾患(脳梗塞・脳出血など)が隠れている可能性もあります。症状が改善しない場合は、速やかに医療機関を受診し、MRI検査などによる精密検査をおすすめします。
4. 【隠れ脱水チェック】9項目セルフチェックリスト
以下のチェック項目で、ご自身の隠れ脱水レベルを把握してみましょう。当てはまるものが多いほど、隠れ脱水のリスクが高い状態です。
脱水症状セルフチェック(隠れ脱水チェックリスト)
- 皮膚が乾燥し、かゆみが強いと感じる
- 口の中や唇が乾いている(唾液が少ない)
- 尿の回数が減った、または色が濃い(琥珀色に近い)
- 頭痛やふらつきを感じやすい
- 集中力が落ちている、または眠気を感じやすい
- 便秘気味である
- 体重が急に減った(数日で1~2kgなど)
- 暖房の効いた部屋に長時間いることが多い
- 喉の渇きを感じなくても、水を飲む習慣がない </div>
チェックが多くついた方は、すでに隠れ脱水が進行している可能性があります。次の章「【高齢者向け】冬の隠れ脱水対策」に進み、すぐにできる予防法を確認してください。
5. 脳梗塞を防ぐ!高齢者の冬の脱水対策:家族ができる4つの飲水支援
なぜ高齢者は冬に隠れ脱水になりやすいのか?
高齢者は、「喉の渇きを感じにくい」だけでなく、以下のような複合的な理由で脱水が進みます。
- 感覚の鈍化: 喉の渇きを感じにくいため、体は水分を欲していても自覚がありません。
- トイレ回避: 夜間のトイレ回数を減らすため、自主的に水分を控えてしまう(これが冬の朝の脳梗塞を招く最大の要因です)。
- 服用薬の影響: 一部の高血圧や心臓の薬(利尿薬など)の影響で、尿量が増えやすい場合がある。
家族ができる4つの支援
- 「喉が渇いた?」ではなく、「今、お茶を飲みましょう」と声かけ
- 飲水量をメモして見える化
- 経口補水液を少量ずつ頻回に
- 就寝前にコップ1杯の水+枕元に水を常備

高齢者は「夜間のトイレが面倒」で水分を控える傾向があります。 しかし、夜間の脱水が脳梗塞を引き起こす最大要因。 「寝る前に1杯」は命を守る習慣です。
「水分を飲むタイミング」と「利尿作用の弱い飲み物」のご提案
例: 「就寝1時間前までの水分補給を意識する」「緑茶やコーヒーなど利尿作用の強いものは避け、白湯や水にする」
6. 【脱水を予防】高齢者もできる冬の隠れ脱水を防ぐ効果的な水分補給の習慣
冬の隠れ脱水を防ぐためには、意識的な水分補給と環境づくりが大切です。
- 水分摂取の習慣化:
- 起床後と就寝前にコップ1杯の水を飲む(血液が濃くなる時間を避ける)
- 入浴前後にも必ず補水する
- 喉が渇く前に、タイマーなどを使い1〜2時間ごとに一口飲む
- お茶やコーヒーだけでなく、水または白湯を意識して飲む
- 室内の湿度を保つ:
- 加湿器などで室内湿度を保つ(目安は40〜60%)
- 濡れタオルを干すだけでも効果があります。
体調不良時の注意: 発熱、下痢、感冒時は特に水分・電解質を失いやすいので、こまめな補水を意識しましょう。
7. 総合的な冬の健康管理:ヒートショックなど他のリスクも
冬は脱水だけでなく、「寒暖差による血圧変動」「ヒートショック」「脳血流の乱れ」なども発症リスクを高めます。 以下の記事もあわせてご覧ください。
8. 冬の隠れ脱水・高齢者の脳梗塞予防に必要な「3つの要点」
- 冬は「喉が渇かない脱水=隠れ脱水」が増える
- 血液が濃縮し、脳梗塞などの重篤なリスクが上昇する(特に冬の朝)
- 隠れ脱水による頭痛、めまい、眠気は初期サイン、9項目チェックで状態を把握する
- 高齢者や高血圧・糖尿病の方は特に注意が必要
- 朝の水分摂取と室内乾燥対策を忘れずに
9. よくある質問(FAQ)
喉が渇かない冬の隠れ脱水対策として、水を飲むのがつらいです。対策はありますか?
冬は喉の渇きを感じにくいのが「隠れ脱水」の特徴です。
タイマーやリマインダーを設定し、時間を決めて機械的に飲むようにしましょう。
冷たい水ではなく、白湯(さゆ)や温かいノンカフェインのお茶(麦茶など)を飲むと、体を冷やさず、習慣化しやすいです。
喉の渇きを感じる前に飲むのがポイントです。
冬の脱水予防として、麦茶やスポーツドリンクは高齢者に良いですか?
麦茶はノンカフェインでミネラルも含むため、水や白湯の次に適しています。スポーツドリンクは糖分が多いため、飲みすぎに注意が必要です。大量の発汗がない場合は、塩分・糖分が調整された経口補水液を少量ずつ摂取するのが効果的です。
高齢者が夜間のトイレを嫌がって水分を控えるのはどうすれば良いですか?
- トイレ回数を気にしすぎるあまり脱水が進むのは非常に危険です。
水分摂取のピークを日中に移し、就寝前の直前の量を調整します。 - ただし、血液が最も濃縮する就寝前には、必ずコップ1杯の水を飲むように促してください。
- 夜間にトイレに行きやすいよう、寝室までの導線を確保したり、ポータブルトイレの利用を検討したりするなど、環境面でのサポートも重要です。
これらのサインを見逃さず、9項目チェックリストと合わせて確認してください。
10.監修者情報
監修:林 祥史 院長
私立灘高校卒/東京大学医学部医学科卒
けやき脳神経リハビリクリニック 院長
資格・所属学会
【資格】 日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医、日本脳血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
【所属学会】 日本脳神経外科学会、日本脳血管内治療学会、日本脳卒中学会、日本リハビリテーション医学会、日本頭痛学会、日本めまい平衡医学会、American Academy of Family Physicians、Cambodian Medical Association