【脳ドック×VSRAD解析】MRIでわかる認知症のサイン|50歳からの備えに

「最近、物忘れが増えた気がする」
「家族に認知症の人がいるから心配」
「MRIで異常なしと言われたけど、不安が残る」
そんな方におすすめなのが、VSRAD(ブイエスラド)解析付きの脳ドックです。
MRI画像を専用ソフトで解析し、脳の“記憶中枢”である海馬周辺の萎縮の有無を“見える化”。
自覚症状がないうちから脳の変化を捉えることができ、将来の備えになります。
目次
そもそも「認知症」とは?
認知症は、脳の病気や障害によって認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態の総称です。単なる「もの忘れ」とは異なり、記憶だけでなく、判断力や実行機能、言葉の理解など、様々な能力が低下することが特徴です。
認知症にはいくつかの種類がありますが、最も多いのがアルツハイマー型認知症です。このタイプでは、脳の中に異常なたんぱく質が蓄積し、脳細胞が壊れることで徐々に脳が萎縮していきます。特に、記憶をつかさどる「海馬」という部分が早くから影響を受けることが知られています。
VSRADはアルツハイマー型認知症の早期発見に特化したAI解析ですが、脳ドックでは、脳のMRI画像から脳梗塞、脳動脈瘤、脳出血の痕跡といった脳血管性病変も同時にチェックできます。 これらは血管性認知症の原因となる可能性があり、VSRADとあわせて総合的に脳の状態を評価することで、より多角的なリスク把握が可能です。
VSRADとは?|脳の「記憶中枢」を評価するAI解析
VSRAD(Voxel-based Specific Regional Analysis System for Alzheimer’s Disease)は、MRI画像をAIで解析し、アルツハイマー型認知症に関連する脳の変化を色と数値で視覚化するツールです。
✅ 通常のMRIでは見落としがちな“ごく初期の脳萎縮”を、明確に捉えることができます。
特徴とメリット
- 認知症に関与する海馬や内側側頭部をピンポイント解析
- 結果は「色」と「Zスコア」で表示され、視覚的にわかりやすい
- 医師がAI解析結果をもとに、専門的に評価・助言
VSRADは50歳以上が対象です
VSRAD解析は、50歳以上の方を対象に設計されています。
これは、ソフトウェアが参照する“標準脳”が50歳以上の健常者の脳データだからです。
✅ ポイント
- 50代・60代での受診がもっとも意義深い
- 「まだ大丈夫」と思っている今こそ、“未来への備え”に最適なタイミングです
当院では脳ドックの全コースにVSRADを標準搭載
多くの医療施設ではVSRADは「オプション」扱いですが、当院では当日結果説明を行う全ての脳ドックコースに標準で搭載しています。
🧠 その理由は、「症状が出る前に、未来のリスクを知ることができる検査」だからです。
アルツハイマー型認知症は、症状が出る10年以上前から海馬の萎縮が始まっているとされます。
VSRADはその“兆し”をとらえる、未来の自分を守るための検査です。
当院では、検査から結果説明、そして必要に応じたフォローアップまで一貫したサポート体制を整えています。
「検査して終わり」ではなく、あなたの脳とともに歩むパートナーでありたい——それが、私たちがVSRADを標準搭載する理由です。

VSRADはこんな方におすすめ|セルフチェックリスト
次の項目に当てはまる方は、一度ご相談ください。
🧍♂️ ご自身のチェック
□ 50歳を過ぎて物忘れが増えたと感じる
□ 「あれ」「それ」が増え、言葉がすぐ出てこない
□ 会話中に何を話していたか忘れることがある
□ 日付や曜日を間違えることが増えた
□ 親族に認知症の方がいて、自分も気になっている
👨👩👧 ご家族によるチェック
□ 同じ話を何度も繰り返す
□ 興味・関心が以前より薄れてきた
□ 電気やガスの消し忘れが増えている
□ 性格や感情の変化(怒りっぽい・無表情など)が目立つ
☑ 該当項目があっても、すぐに「認知症」というわけではありません。
これらのチェック項目は、あくまで受診を検討するきっかけです。加齢や他の要因でも見られる症状も含まれますので、ご心配な場合は一度専門医にご相談ください。ただし「早期発見」には、“気づき”が何より大切です。
VSRADの結果の見方|Zスコアとカラーマップで読み解く早期の兆候【図解】
VSRADは、MRI画像を用いて早期アルツハイマー型認知症の診断を支援するシステムです。特に、記憶を司る「内側側頭部(海馬・扁桃・海馬傍回)」の萎縮の程度を評価し、認知症の早期発見に役立てられます。
VSRAD解析では、主に以下の2つの指標で評価されます。
1. Zスコア(内側側頭部の萎縮度合い)
Zスコアは、被験者の脳画像と同年代の健常者の平均的な脳画像を統計的に比較し、内側側頭部(特に海馬領域)が標準と比べてどのくらい萎縮しているかを示す統計的指標です。数値が大きいほど、健常者と比較して萎縮が強いことを示します。

🚥 Zスコアを信号にたとえると…
信号 | Zスコアの目安 | 萎縮の可能性と対応 |
---|---|---|
🟢 青信号 | 1.0未満 | 内側側頭部の萎縮は年齢相応で、特に問題ないと考えられます。 |
🟡 黄信号 | 1.0〜2.0未満 | 内側側頭部にやや萎縮が見られます。加齢変化を上回る萎縮状態にある可能性があり、定期的な経過観察が勧められます。 |
🔴 赤信号 | 2.0以上(特に3.0以上) | 内側側頭部に強い萎縮が見られ、アルツハイマー型認知症を発症している可能性が高まります。追加の精密検査や神経心理検査が強く推奨されます。 |
📌 VSRADは診断支援ツールであり、Zスコアだけで確定診断はできません。 Zスコア2.0以上の場合、医師は記憶力検査(MMSE、長谷川式など)や生活状況の確認をあわせて行い、他の検査結果も踏まえて総合的に判断します。
2.カラーマップ画像
VSRADの解析では、MRI画像に脳の萎縮部位を色分けして重ねて表示する「カラーマップ」も提供されます。これにより、脳のどの部分が、どれくらいの強さで萎縮しているのかを視覚的に捉えることができます。

なぜ認知症の早期発見が重要なのか?3つのメリット
VSRAD検査で脳の萎縮の兆候が“黄信号”や“赤信号”として示されても、それは決して絶望ではなく、「新たなスタートライン」と捉えることができます。認知症は、早期に発見・対応することで、以下のような大きなメリットがあります。
🧠 ご本人が「納得して予防・治療」に取り組める
- 認知機能が比較的保たれている段階で自身の状態を理解することで、病気を受け入れ、今後の生活や治療方針について主体的に決定することができます。これにより、心の準備や不安の軽減にも繋がります。
👪 ご家族が「早めに支援体制」を整えられる
- 早期に認知症の可能性が分かれば、ご家族も心の準備ができ、今後の介護や生活支援について情報を収集したり、専門機関に相談したりするなど、余裕を持って支援体制を整えることができます。
💊 生活習慣の改善や薬で「進行を穏やかにできる」可能性
- 認知症の原因となる病気によっては、早期に治療を開始することで、症状の進行を遅らせたり、一時的に症状を改善させたりすることが期待できます。また、生活習慣の改善(運動、食事、知的活動など)も、認知機能の維持に非常に有効であることが分かっています。
VSRADは、将来の認知症のリスクを知り、適切な対策を早期に始めるための有効な手掛かりとなります。気になる症状がある場合は、かかりつけ医や専門医療機関に相談してみましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. VSRADだけで認知症と診断できますか?悪い結果が出たのですが…
A. いいえ。 VSRADは補助診断ツールであり、この結果のみでアルツハイマー型認知症の判断はできません。臨床症状(症状や神経心理学的検査)と合わせて医師の総合的な診断となります。また、海馬傍回の脳萎縮がみられる疾患はアルツハイマー型認知症以外にも、「脳血管性認知症」や「前頭側頭型認知症」、「海馬硬化症」「ピック病」などがあり、VSRADのみでアルツハイマー型認知症と判断することはできません。
Q. MRI撮影に痛みや不快感はありますか?
A. 痛みは一切ありません。 ただし、検査中に「ガンガン」という大きな音がします。耳栓やヘッドホンをご用意しておりますので、安心して受けていただけます。
Q.時間はどれくらいかかるの?
A.検査は通常の頭部MRI検査にVSRAD用に約3分追加した撮影になります。当院の場合、脳の検査と脳血管の検査とVSRADを撮影して約13分くらいです。
Q.40 代ですが検査できますか?
A.VSRADは、50歳以上の方が対象となります。50歳未満の方は、個人差が著しいため、検査・解析自体はできますが判定の信頼性は下がります。
VSRADの費用|保険と自費の違い
保険適用の場合(症状がある場合)
「物忘れが増えた」などの自覚症状があり、医師が診察の結果、認知症の診断のために必要と判断した場合、健康保険が適用されます。この場合、VSRAD解析自体に追加費用はかからず、通常のMRI検査費用(1〜3割負担)で受けていただけます。
自費診療(脳ドック)の場合(症状がない場合)
症状はないけれど、予防的に脳の状態をチェックしたいという方は、自費の脳ドックをご利用いただけます。当院の脳ドック(スピーディーコース以外)は、50歳以上の方であれば保険診療と同様に、VSRAD解析が追加費用なしで標準搭載されています。
脳ドックでは、
- 脳梗塞・脳動脈瘤などの脳血管疾患リスクの評価
- VSRADによる認知症リスクの可視化
を同時に行い、脳全体の健康状態を総合的に確認できます。
VSRADは「未来の脳」を守るパートナー
MRIで異常がないと言われても、安心しきれない──
そんな不安を抱える方にこそ、VSRAD解析による脳の「見える化」をおすすめします。
当院では、
- 脳ドックにVSRADを標準搭載
- 経験豊富な医師が解析結果を丁寧に説明
脳の健康は、今、知っておくことが何よりの備えになります。
まずは、あなたの「気になる」をきっかけに。
お気軽にご相談ください。
