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頭をぶつけた後、頭痛 めまいが続く方へ|CT『異常なし』でも要注意な理由とMRIの重要性

頭をぶつけた 頭部打撲

頭をぶつけた後、「頭痛」や「めまい」が続く…。CTで「異常なし」と言われたのに、なぜ症状が消えないのでしょうか?...

実は、CTで異常がない=「何も問題がない」とは限りません。特に症状が長引いている場合、MRI検査が必要なケースもあります。

本記事では、頭部外傷後の見逃せないサインや、CTとMRIの違い、MRIが重要な理由について、わかりやすく解説します。

【緊急度チェック】頭をぶつけた直後に「即受診すべき」危険なサイン

頭を打った直後、特に最初の6時間~24時間は慎重な観察が必要です。以下の「危険なサイン」が見られたら、脳内で緊急事態が起きている可能性があります。すぐに脳神経外科を受診するか、夜間・休日は救急病院に連絡してください。

頭部外傷後の危険なサイン

  • 頭痛がどんどんひどくなる、我慢できない
  • 吐き気や嘔吐を繰り返す
  • 意識がもうろうとする、すぐに眠ってしまい呼びかけへの反応が鈍い
  • けいれん(ひきつけ)を起こした
  • 頭を打った前後のことを覚えていない(記憶障害)
  • 手足が動かしにくい、しびれる
  • 物が二重に見える、視界がかすむ

小さなお子様の場合

「機嫌が悪い」「顔色が悪い」「何度も吐く」など、「いつもと様子が違う」と感じたら、迷わず受診してください。

症例から学ぶ「頭をぶつけた後の微細な脳出血」とMRI診断の重要性

「自宅で頭を強く打ちました」。
そう話して救急外来を受診されたのは、40代の女性・B子さんです。

まず行われた頭部CT検査では、「骨折や明らかな出血は認められない」との所見。ぱっと見て大きな異常はなく、一見安心できそうな画像でした。

しかし、担当医は脳の表面にある脳溝(のうこう:いわゆる“脳のシワ”)の左右差にわずかな違和感を覚えました。よく見ると、ある部分の脳溝にうっすらと白っぽい影が見られます。これは、微量の出血を示唆する「不明瞭な高吸収域」と呼ばれるもので、外傷性くも膜下出血の可能性も否定できません。

【CT画像では…】

頭部外傷 CT

画像上で赤丸の部位に注目すると、脳のシワの溝が白くなっているように見えます。これは血液による影かもしれませんが、CTだけでははっきりと判断しにくいこともあります。

疑念を払拭するため、その場でMRI検査を追加実施しました。

【MRIで隠れた脳出血が明らかに!】

来院時MRI FLAIR

FLAIR画像では、問題の脳溝部分に白くはっきりとした信号が写っており、これは髄液中にわずかに混ざった血液(=くも膜下出血)を鋭敏に捉えたものです。

さらにT2*画像でも、同部位に黒い信号(低信号域)が認められ、血液の成分(ヘモシデリンなど)を反映していることが確認されました。

このように、MRIではCTでは不明瞭だった微細な外傷性くも膜下出血が明確に捉えられ、診断に至りました。

【数時間後の再CTでようやく変化が】

経過観察のために3時間後に再度CTを撮影したところ、分かりづらかった脳溝の白い影がやや濃くなっており、初期のくも膜下出血を裏づける所見として明確になっていました。

MRIによって数時間早く正確な診断と対応ができたのです。

このように、「CTで異常がない」と言われても、症状や微細な所見に応じてMRIを追加する判断が非常に重要になることがあります。

B子さんのように、CTで見逃されがちな微細な損傷こそが、あなたの不調の本当の原因かもしれないのです。

CTで『異常なし』でも要注意!頭をぶつけた後に続く頭痛・めまいの原因とMRIの役割


「CTとMRIって何が違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。それぞれの役割は全く異なります。

CT検査: 緊急性の高い大きな異常(脳出血、骨折など)を素早く見つけるのが得意。救急外来で最初に行われることが多い。

MRI検査: 症状の根本原因をじっくり突き止める精密検査。CTでは見えない微細な脳の損傷や、時間の経った変化を捉えるのが得意。


CTで『異常なし』と言われた後も頭痛やめまいが続く場合、以下のような「隠れた脳損傷」が原因となっている可能性があります。

MRIで発見できる3つの代表的な脳損傷

  • 脳挫傷(のうざしょう):脳そのものが傷つく「脳の打ち身」
    • 脳そのものの「打ち身」で、頭痛やめまい、物忘れ、注意力の低下を引き起こします。
  • 脳振盪(のうしんとう):症状が続くようなら要注意
    • 一時的な脳の機能障害です。通常、脳に目に見える損傷はないとされますが、頭痛やめまいが長期化している場合、MRIでごく微細な脳挫傷などが発見され、症状の原因が特定されることがあります。
  • びまん性軸索損傷(じくさくそんしょう):脳全体に広がる深刻な神経のダメージ
    • 回転するような強い衝撃で、脳の神経線維が広範囲に断裂する損傷です。CTではほぼ検出不可能な、深刻な損傷です。頭痛やめまい、意識障害、記憶障害といった「高次脳機能障害」の原因となります。


隠れた脳の怪我:MRIで発見できる3つの深刻な損傷(頭痛・めまい)の原因

MRI検査は放射線被ばくゼロ!


「CTは放射線被ばくが心配…」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
MRI検査の大きなメリットの一つは、放射線被ばくが一切ないことです。強力な磁石と電波を使って体内の様子を画像化するため、体に負担をかけずに精密な検査が可能です。

<こんな方には特にMRI検査がおすすめです>

  • 成長期のお子様、学生の方
  • コンタクトスポーツを行うアスリートの方
  • 短期間で複数回の検査が必要になる可能性がある方


当クリニックでは、患者様の状況やご希望に合わせて最適な検査をご提案します。
もしかして…と思ったら、まずはお気軽にご相談ください。
専門医があなたの不安に寄り添います。

▶ Webで来院予約をする
▶ 電話で問い合わせる(03-5747-9280)

スポーツ中の頭の怪我に注意!脳震盪(のうしんとう)を正しく知ろう

ラグビーやサッカー、柔道などのコンタクトスポーツでは「脳震盪」のリスクが常に伴います。脳震盪は「軽いアクシデント」ではありません。

脳震盪って何?

頭が強く揺さぶられることで、脳の神経細胞が一時的に機能障害を起こした状態です。意識を失うとは限りません。

脳震盪を疑うサインは?(選手・指導者・保護者向けチェックリスト)

試合中や練習後、以下のような様子が見られたら脳震盪を疑い、直ちにプレーを中止させてください。

  • ぼーっとしている、混乱している様子
  • 頭痛やめまいを訴える
  • 吐き気がある
  • バランスが悪い、ふらつく
  • 直前のプレーを覚えていない
  • 質問への反応が遅い
脳震盪が起きたらどうする?

一番大切なのは「すぐに休ませる」こと。そして、脳神経外科などの専門医を受診することです。
症状が消える前に競技復帰すると、「セカンドインパクト症候群」という命に関わる重篤な脳損傷を引き起こす危険があります。復帰は必ず医師の許可を得てからにしましょう。

ご高齢の家族に異変?転倒と「血液サラサラの薬」が招く頭の怪我に要注意

高齢になると、わずかな段差での転倒でも頭部外傷に繋がります。特に注意が必要なのが、以下の2点です。

転んで1~2カ月後に現れることもある『慢性硬膜下血種』のサイン

慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)
軽い頭部打撲から1~2ヶ月後に、じわじわと脳の表面に出血がたまる病気です。「最近歩き方がおかしい」「物忘れがひどくなった」といった症状で現れ、認知症と間違われることもあります。MRIで正確に診断でき、治療で劇的に改善することが多い病気です。

血液サラサラの薬を飲んでいる方は特に注意!軽い頭部打撲でも重症化リスク

心臓病や脳梗塞の予防で血液をサラサラにする薬(抗血小板薬・抗凝固薬)を飲んでいる方は、軽い打撲でも出血が止まりにくく、重症化しやすい傾向があります。ご本人が「大したことない」と思っていても、ご家族が注意深く様子を見てあげてください。
ご高齢のご家族の「最近の様子の変化」が気になったら。
それは年のせいではなく、頭部外傷が原因かもしれません。

慢性硬膜下血腫の主な症状リスト

頭痛鈍い痛みが持続(片側に限られることも)
物忘れ・認知機能の低下せん妄や認知症と誤診されることも
ふらつき・歩行障害足元が不安定になり、再び転倒しやすくなる
片麻痺(半身の脱力)脳の圧迫により左右どちらかの手足が動きにくくなる
言語障害言葉が出にくい、ろれつが回らない
意欲低下・無関心うつ状態のように見えることもある
意識障害(ぼーっとする、反応が鈍い)進行すると昏睡にいたることも
慢性硬膜下血腫MRI

慢性硬膜下血腫

  • 転倒から数週間~数か月後に症状が出現こともある
  • CTやMRI検査での診断が重要
  • 高齢者では軽微な頭部打撲でも発症することがあるため注意が必要

CTで異常なしでも、あなたの症状は、脳からの大切なサインです

「CTで異常なし」。その言葉は、決して「100%安全宣言」ではありません。それはあくまで、「現時点で緊急手術が必要なレベルの大きな損傷は見当たらない」ということに過ぎないのです。
もし、あなたやご家族が、頭部外傷後に続く原因不明の症状に悩まされているのであれば、それは気のせいではありません。あなたの脳が発している、見過ごしてはならない大切なサインです。


当クリニックでは、最新の1.5テスラMRIを導入し、頭部外傷後の不安を抱える患者様のために即日検査・診断にも対応しています。隠された本当の原因を見つけ出し、適切な治療へと繋げるために、ぜひ一度私たちにご相談ください。
あなたの不安に真摯に寄り添い、最善の道を探すお手伝いをいたします。
ひとりで悩まず、まずは専門医にご相談ください
けやき脳神経リハビリクリニックでは、頭部外傷後のあらゆる症状に対応しています。

よくある質問 FAQ

頭をぶつけた後、CTで『異常なし』でしたが、頭痛やめまいが続くのはなぜですか?

頭をぶつけた後CTで異常なしと診断されても、頭痛やめまいが続くことは珍しくありません。CTでは捉えきれない微細な脳挫傷びまん性軸索損傷、または外傷性くも膜下出血の初期変化が原因である可能性があります。症状が続く場合は、より精密なMRI検査が必要です。

転倒して頭をぶつけてから、数週間後に症状(頭痛・ふらつき)が出てきました。手遅れですか?

手遅れではありません。特にご高齢の方で、頭をぶつけてから数週間〜数ヶ月後頭痛、ふらつき、物忘れなどが現れる場合、慢性硬膜下血腫の可能性があります。めまいや症状が続く場合はすぐに脳神経外科を受診してください。

MRI検査は必ず必要ですか?CTとの違いを教えてください。

CTで『異常なし』でも症状が続く場合は、MRI検査が非常に重要です。CTは緊急性の高い大きな出血や骨折を見つけますが、MRIは頭をぶつけた後微細な脳損傷を鋭敏に捉えることができます。


【用語解説】

  • ヘモグロビン: 赤血球に含まれるタンパク質。X線を吸収するためCTで出血が白く見える原因となる。
  • FLAIR(フレア)法: MRIの撮影方法の一つ。脳脊髄液の信号を消して、その周りの微細な病変を見やすくする。
  • 高次脳機能障害: 脳損傷による記憶、注意、思考、感情などの障害。
  • セカンドインパクト症候群: 脳震盪から回復しないうちに再度衝撃を受け、重篤な脳浮腫をきたす致死率の高い状態。