MRIが怖い…閉所恐怖症の私が“挑んだ”検査、その結末は?【技師の体験談】

「MRIって、なんであんなに怖いの…?」
閉所恐怖症のある方にとって、MRI検査はまさに恐怖との闘い。実は私もその一人。脳神経外科で働く放射線技師として、私は日々MRI検査の患者様と向き合っています。特に閉所恐怖症の方には、不安を和らげる様々な工夫(MRI検査を乗り切る当院の5つの工夫+1 はこちら)を凝らしていますが、実は私自身、重度の閉所恐怖症で、長い間MRIを受けることができませんでした。
それでも、仕事柄、MRIの重要性を痛感している私は、いつか自分もこの恐怖を克服しなければならないと感じていました。この記事では、そんな私が実際にMRI検査に挑戦した体験をお伝えします。
MRIが怖い…放射線技師でも感じた閉所恐怖症のリアル
今でこそMRIを操作する立場ですが、過去の長時間検査を機に突然閉所恐怖症の症状が出現。あの狭い筒、響く機械音、身動きが取れない感覚…想像するだけで強烈な不安に襲われます。
「まるで箱の中に閉じ込められたみたいだ…!」 「出られなくなるんじゃないか…」
この感覚に耐えられず、以来、自身がMRI装置の中に入るのを避けてきました。美容室や歯医者の目隠しも苦手です。
MRIを扱うプロでありながら自身が受けられない。これは私にとって、職業人としても個人的にも大きなコンプレックスでした。だからこそ、当院では閉所恐怖症の患者様がいかに安心して検査を受けられるか、という点に並々ならぬ情熱を注いできたのです。
患者様の温かい言葉が、私の背中を押した
そして、検査を終えてホッとされた患者様方が、私の閉所恐怖症を知ると決まってこう仰るのです。
「あら、技師さんもそうなの?」
「大丈夫よ!」
「私でもできたんだから、絶対できるわ!」
「次はあなたの番よ!」
と、今度は患者様の方が私を応援してくださるのです。そんな温かい、時には愛のあるプレッシャー(笑)を受けるたび、「いつか私も…」という思いが募っていったのです。
MRIが必要に…閉所恐怖症の技師が挑戦した日
そんな折、ひどい頭痛に悩まされ、ついに自身がMRI検査を受ける必要に迫られました。
「ついに、この時が来てしまったか…!」正直、身構えました。
この恐怖を克服することが、患者様へのより深い共感とサポートに繋がるはずだ。そう決意しました。
MRI克服のためのステップ計画とは?
よし、やるぞ!と意気込んだものの、やはりMRIの閉塞感に対する不安は拭えません。いきなり全てをクリアするのは難しいだろうと考え、段階的に恐怖に慣れていく作戦を頭の中で立てました。
まずは当院の装置の特長を活かすことから。(レベル1)
- ヘッドコイルなしで挑戦
- 脳の検査では通常使用する頭部用の機器(ヘッドコイル)を使わず、少しでも開放感を確保する。
もしダメだったら…次は道具に頼ってみる。(レベル2)
- アイマスクを使って試す
- 視界を完全に遮断することで、狭さを意識させなくする。逆に想像が膨らまないか少し心配ですが…。
それでもダメだったら…最後の悪あがき。(レベル3)
- 足元が見える角度に頭の向きを調整
- 完全に体が覆われる感覚を和らげるため、少しでも外の様子がうかがえるように工夫する。
そして、これが最後の手段…恥を忍んで。(レベルMAX)
- 院長に検査中、手を繋いでてもらう
- …最終手段ですが、本当に困ったらお願いするしかないかもしれない、と覚悟を決めました。
我ながら、かなり慎重に練った計画だと思いました。そして、いよいよ最初のステップ、「ヘッドコイルなし」での挑戦の時が来ました。
閉所恐怖症の技師が挑んだ!MRI検査リアル体験
不安と緊張で、心臓がドキドキします。同僚の協力のもと、大好きなアーティストの音楽を大音量で流してもらいました。
「すぐ撮れる準備はOK?」「撮る内容は これとこれだけだよ?」「ヘッドコイル無しだからね?」
・・・・・ほんと必死でした私は。。。
いよいよ寝台が装置の中へ移動します。
「少しずつ入っていきますね~」
!!!!
あ… 無理かも… ブザー押したい…
一旦目を瞑ろう!開けるな開けるな!直ぐに終わるさ!
ここが1番恐怖でした…
閉所恐怖症でも受けられた!安心できるMRI装置の特長とは
スーッと体が筒の中へ。 いざ中へ!!!!
…あれ? いつも患者様にご案内している、あの狭い筒の中にいるはずなのに、想像していたより「視界」が広い…?
そして、少し目線を上げると、筒の向こう側の出口が見えているではありませんか!
当院のMRI装置は、従来の装置に比べて筒の奥行きが短いという特長があります。(そうか、うちの装置はコンパクトなんだ!院長ナイス!チョイス!)

さらに、脳検査で使うヘッドコイルがないことで、顔の周りに空間が生まれ、物理的な圧迫感、そしてそこからくる閉塞感がかなり軽減されていました。これは正直、撮られて初めて感じた強みでした。
さらに、大音量の音楽がゴウンゴウンという機械音をほどよくマスキング。大好きな曲に意識が向き、機械音への意識が薄れていくのを感じました。
「よし、大丈夫だ…」「まだまだ、手段はある!」
そうこうしているうちに、検査が始まりました。時折、装置の振動や大きな音はありますが、ヘッドコイルがない開放感と音楽のおかげで乗り切れます。
そして、驚くべきことに…
「はい、終了です!」
え…もう? はぇーーー この装置… 速い… なかなかやるじゃないか… ( -ω- `)フッ (院長 ナイスチョイス!×2)
まさかの第1ステップ、「ヘッドコイルなし+大音量音楽」の工夫だけで、無事に検査を終えることができてしまったのです!
計画倒れ?いいえ、克服への確かな一歩、そして武勇伝
準備していた段階的挑戦計画は、あっけなく終了(笑)。少し拍子抜けするくらいスムーズでした。
もちろん不安がゼロではなかったですが、「ヘッドコイルがないから大丈夫」「この音楽、いいな」と意識を切り替えられました。
終わってみると、達成感とともに、大きな安堵感。「なんだ、やればできるんだ…!」という、自分自身に対する新しい発見。その後の診察室では、撮れた事に興奮し武勇伝武勇伝!きっと私は自信に満ちた顔だったでしょう。
私の体験が力になる!閉所恐怖症の患者様に寄り添う当院のサポート体制
今回のMRI体験は、閉所恐怖症という壁に立ち向かい、乗り越える難しさ、そして突破口が見つかった時の喜びを身をもって知る貴重な機会となりました。
当院で行っている閉所恐怖症への具体的な工夫
• ヘッドコイルなし撮影(可能な場合)
顔の周りに空間が生まれ、圧迫感が軽減されます。
• お好きな音楽をヘッドホンで聴いていただく工夫
検査音をマスキングし、意識をそらすのに効果的です。
• 声かけの徹底
技師が常に寄り添い、検査中もヘッドホン越しにお声がけを行います。
• 検査時間について具体的に説明
事前に検査時間をお伝えし、心の準備をしていただきます。検査中も、経過の状況や残り時間の案内をしながら進めていきます。
• 必要に応じて、ご家族やスタッフが近くにいる
付き添いや、手を繋ぐといった物理的な安心感を得られる方法も検討可能です。
これらの対策については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。👇👇👇

MRIが怖いあなたへ:当院の放射線技師からのメッセージ
MRI検査は、病気の早期発見や正確な診断のために非常に有効な検査です。閉所恐怖症だからといって、必要な検査を諦めてしまうのはもったいないことです。
私は今回、自分自身の閉所恐怖症と向き合い、自院のMRI装置と、当院で普段から行っている工夫の助けを借りて、無事に検査を終えることができました。「MRI怖い…」そう思っているあなたの気持ち、痛いほど分かります。
一人で悩まず、まずは当院にご相談ください。あなたの不安を少しでも和らげ、安心して検査を受けていただけるよう、私たち放射線技師はもちろん、医師、看護師、スタッフ一同、全力でサポートさせていただきます。
「やってみたら、意外と大丈夫だった!」検査後に患者様が笑顔で話してくださり教えていただいた気がします。
この経験を通して、患者様がその一歩を踏み出すお手伝いをしたい。心からそう思っています。
私の体験から実感したのは、MRI検査を安心して受けられるかどうかは「施設のサービスの質」に大きく左右されるということです。特に閉所恐怖症の方への配慮が丁寧な施設は、信頼できる検査を提供しているということが出来ると思います。
クリニックとしてはもちろん、脳ドックを選ぶうえでも非常に重要なポイントになるということを実感しました。
自分が脳ドックを選ぶなら?という記事内でも触れておりますので、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。👇👇

閉所恐怖症でもMRI検査は乗り越えられる
重度の閉所恐怖症である放射線技師の私が、自院のMRI装置で検査を受け、無事克服できた体験をお話ししました。当院の装置の特性や、普段から患者様に行っている工夫(ヘッドコイルなし、音楽、視界確保など)が、私自身の不安軽減に繋がり、検査を乗り切る大きな力となりました。
この経験を活かし、私たちはこれからも閉所恐怖症をはじめ、MRI検査に不安を感じる全ての方に寄り添い、安心して検査を受けていただける環境づくりに努めてまいります。MRI検査についてご不安な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。