30代なのに、人の名前が出てこない…仕事の予定が抜けてしまう…これって大丈夫?

人や物の名前が出てきにくくなった、仕事や私用の予定が抜けてしまうことがある・・・50代以下の世代にこのような症状をきたす人が増えているといいます。「脳の老化?」と気になる人も多いのではないでしょうか。自分は大丈夫だろうか・・・ちょっと心配になりますよね。
若年性認知症
若くして発症する認知症
認知症のなかでも、若くして発症する認知症もあります。若年性認知症(若年性アルツハイマー病)です。若ければ18歳から発症し、64歳以下に発症します。(若年性認知症についてはこちら)
最初は「あれ、何だっけ?」という一時的な物忘れから始まりますが、やがて進行していくと会議の予定を忘れたり、同僚の名前や取引先の場所がわからなくなったりするため、仕事を続けることもできなくなります。徘徊などの行動障害も出てきます。 若年性の患者数は、厚生労働省の補助事業による調査を根拠に全国で10万人前後ともいわれていますが、正確な実態はわかっていません。初期では頭痛やめまい、不眠がみられます。また、不安感や自発性の低下、抑うつ状態にもなります。本人も気づかないことが多く、仕事でのストレスやうつ病と間違えやすいので注意が必要です。
平均発症年齢は51歳ですが、約3割は50歳未満で発症しており、男性が女性より若干多いという報告があります。(平成21年厚生労働省発表)
何よりも、早期受診・早期診断が大切といわれています。アルツハイマー型認知症であれば、進行を遅らせる薬があり、本人の日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を維持することも期待できます。
受診ではどんなことをするの?
- 問診
- 神経心理検査(脳の働きを調べる質問検査など)
- 身体検査(血液検査など)
- 画像診断(MRIなど)
これらの結果で、診断されます。医療保険での受診が可能です。(物忘れ外来についてはこちら)
治療はあるの?
認知症の種類に応じた薬が開発されています。これらの薬は病気の進行を緩やかにするものであり、根本的な治療ではありませんが、なるべく軽いうちに治療を始めるとよいとされています。認知症のタイプによって効果のある薬も違うため、きちんと医師に診断をしてもらい、適切な薬を使用することが大切です。
治療の中で薬物を使わないいわゆる「非薬物療法」があります。リハビリテーションが有効であるとされています。
運動療法では、有酸素運動やストレッチといった自分自身で取り組むプログラムもあれば、他人が身体を動かすものまでメニューはさまざまです。身体を動かすことにより脳も賦活されると報告されています。また、認知刺激療法を治療に取り入れると、脳の機能の活性化や認知機能の維持・改善に対して効果が期待できます。治療といいながら、活動自体に楽しく取り組める点が特徴です。(当院のリハビリについてはこちら)
MRIでは異常がみられない時は?
アルツハイマー型認知症と似ているものの、MRIなどの検査では、異常がみられない、というケースも増えています。生活歴の聞き取りのほか、認知機能テストなども用いて調べていくと、脳機能の低下がみてとれます。
脳に異常がないのに、どうしてそういう症状が出るの?
原因は、スマホ依存による脳過労ではないか、と言われています。「スマホ脳の処方箋」という本を執筆している脳外科医の奥村歩医師によると、スマホのだらだら利用が常態化しており、その分、脳は絶えず膨大な情報にさらされ、大きな負担がかかっている状態と考えられるそうです。
実際、スマートホンを多用する50代以下の世代で、心身に不調をきたす人が増えてきています。SNSやショッピング、ゲームや動画視聴などえで「長時間が当たり前」という依存状態も珍しくない現在、脳への負担が増えていることが原因で認知症に似た症状を呈する若者が増えており、スマホ依存症のリスクを指摘する声が高まっています。

スマホ認知症ってどういう症状なの?
スマホ認知症の特徴としては、「人や物の名前が出てこなくなった」「簡単な計算さえできなくなった」など、日常的に深刻な物忘れの症状に悩まされているとの訴えが多い。「一週間あれば完成していた書類がいつまでたっても満足できるレベルに達しない」「料理が手際よく作れなくなった」というように、段取りや計画に沿って物事をすすめる「遂行機能」が低下するケースもあります。また、コミュニケーション能力や企画力の低下などもみられることもあります。
脳は入ってきた情報を整理整頓し、記憶の棚から出力しています。しかし、情報が多すぎてその機能が追い付かなくなると、必要な情報をうまく取り出せなくなり「どわすれ」や「うっかりミス」といったスマホ認知症といえる症状が現れてしまいます。
放置しておくと、どうなる?

「MRIで脳は大丈夫だったから、まあいいか!」と思いがちですが、実は年をとってから認知症となるリスクが大きくなるといわれています。
油断は禁物です!
ただ、スマホ認知症は脳過労で記憶の整理整頓に支障が出ている状態であり、回復は可能です。気が付いたら、速めの対処が重要です。
どうしたらいいの?
脳のメンテナンスを
スマホから距離をおき、「ぼんやりする時間」を作ることで情報が整理され、脳機能の回復につながると言われています。さらに、一定のリズムで身体を動かすことも脳機能の活性化に役立ちます。無心に何かの作業をする、日常とは違う刺激を受ける、ということも大切です。


ぼんやりすることが大切
ぼんやりしている時に働く機能は「デフォルトモード・ネットワーク」と呼ばれ、近年注目をあびています。デフォルト・モードネットワークが、脳にとって大変重要な役割を持つことが分かってきたのです。
ぼんやりしている時に、情報の整理や分析を無意識下で行ったり、人間の本質に関わる思考を培ったりしているようです。
ニューロフィット
当院では、自費集団リハビリ「ニューロフィット」という、脳と身体のトレーニングを行えるプログラムがあります。
ご高齢の方のプログラムと思われがちですが、子供から高齢者まで幅広い方に効果があります。(ニューロフィットについてはこちら)
プログラム内容
- シナプソロジー:大企業でも取り入れている、脳を賦活するプログラムです。日常ではいつも使っていない脳を使っていきます。
- レッドコード:ノルウェーで開発された、重力による負荷を軽減させる赤いコードを使用して行うエクササイズです。オリンピック選手も取り入れています。
- マシーントレーニング:適度な運動を無心に行えます。

子供にも注意信号!
スマホの長時間利用が高校生以下の低年齢層の発達に及ぼす影響が懸念されています。
「脳トレ」で知られる東北大学加齢医療医学研究所の川島隆太所長らは、5~18歳224人の脳の発達の様子をMRIにて観察したところ、スマホなどでインターネットを長時間使い子供たちの脳は、神経細胞が集積する「灰白質」や神経線維が集まる「白質」の体積があまり増えず、脳の発達に遅れがみられたと報告しています。
スマホは子どもの安全面で持たせていることも多い時代、持たせることが良くないとは言えませんが、スマホ時間が増えると脳機能への影響も懸念されます。子どものうちから、スマホとの賢い付き合い方を身に付けられるといいですね。
賢いスマホの使い方
- すぐに検索しない
1分間は考えましょう - お風呂、トイレ、寝室に持ち込まない
スマホとの距離をとりましょう - 食事中や会話中はスマホを触らない
食べるときは、食べることに集中しましょう - ネットサーフィンはしない
脳の中がごみ屋敷になるネットサーフィンはやめましょう - 誹謗中傷サイトは見ない
脳がネガティブな考え方になってしまいます - なるべくナビに頼らない
脳の空間認知認知能力が低下します。ナビに頼らないことも大切です。
まとめ
「頭の中では分かるのに、言いたい言葉がでてこない」「暗算ができなくなった」「仕事の要領が悪くなった」など、働き盛りの30代から50代でありながら、物忘れのような症状がでてきたら、脳からのSOSサインと思った方がいいでしょう。
もしかしたら、認知症のはじまりかもしれませんし、スマホ脳かもしれません。
はやめに受診を行い、MRIや認知機能検査で自分の脳の状態を客観的に確認し、手遅れにならない前に適切な対処方法で自分の脳のメンテナンスを行っておきましょう!
当院では、即日MRI検査が可能です。(MRIについてはこちら)
脳ドックも短時間で行えるメニューもあります。(脳ドックについてはこちら)
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