オープン型MRIとトンネル型|閉所恐怖症の方が選ぶなら?知っておきたい違い

MRIの形の基本
MRI(磁気共鳴画像診断装置)は、体内の状態を詳細に映し出す画像診断機器です。
オープン型MRI
開放的な設計が特徴で、閉所恐怖症の方に優しいと言われていますが、画質や検査時間に課題があります。その形状はハンバーガーのように上下に開いており、周囲が開放されているため、圧迫感が少ないです。
トンネル型MRI
ドーナツのような形をしており、強力な磁場を発生させることで高精細な画像を短時間で取得できます。トンネルと言われるように、検査時はトンネル内に入って検査を行うため圧迫感を感じてしまいます。
【けやき脳神経リハビリクリニック】では、トンネル型MRI(1.5T)を使用しながらも、閉所恐怖症の方が快適に検査を受けられる環境を整えています。短時間で高精細な画像を取得できるため、安心して検査を受けていただけます。
今回は、オープン型MRIと当院の1.5Tトンネル型MRIを比較し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを分かりやすく解説します。
磁場の違い:超伝導磁石 vs. 永久磁石

MRIの性能を決定づける重要な要素の一つが磁場の強さです。
トンネル型MRI(1.5T以上)
- 超伝導磁石を使用し、強力な磁場を発生させる。
- 磁場が均一で安定しており、高精細な画像が得られる。
- 検査時間が短縮できる。
オープン型MRI(0.2T~0.4T)
- 永久磁石を使用し、低磁場の環境で撮影を行う。
- 磁場の強度が弱く、画像の解像度が低くなりやすい。
- 画質を補うために検査時間が長くなる。
例えば、以下のような検査時間の違いがあります。
検査名 | 当院(1.5T) | 低磁場MRI(0.4T 例) |
出血や脳の変化を観察するFLAIR | 1分38秒 | 3分10秒 |
脳血管を描出するMRA | 3分40秒 | 8分 |
このように、磁場の強さが異なることで、画質や検査時間に大きな違いが出ます。(※検査時間は一例です)
オープン型MRIとは?
トンネル型MRIとは異なり、開放的なデザインを採用したMRI装置です。その構造はまるでハンバーガーのように上下に開いており、患者さんの周囲が開いているため、圧迫感が少ないのが特徴です。
メリット
・閉所恐怖症の患者さんに優しい:開放感があり、圧迫感が少ないため、リラックスして検査を受けることができます。
・体格の大きい方も検査しやすい:スペースが広く、さまざまな体型の方が安心して検査を受けられます。
・整形外科領域では検査体位に幅が出る:腰や膝の検査では、さまざまな体勢で撮影できるため、部位に応じた適切なポジションが取りやすくなります。また、腰部検査などでは顔が装置から出るため圧迫感は大幅に減少します。
・小児や高齢者にも配慮:そばに付き添いながら一緒に検査を受けることができるタイプもあり、安心感が増します。

デメリット
・頭部検査時の圧迫感は残る:ヘッドコイルの装着が必要なため、圧迫感を感じる場合があります。
・低磁場のため画質が劣る:一般的に0.2T~0.4T程度の低磁場装置であり、画像の解像度がトンネル型MRI(1.5T~3.0T)に比べて劣ります。
・検査時間が長くなることがある:低磁場での撮影では、十分な画質を確保するために時間が長くなり、20~30分以上かかることもあります。
・設置している施設が少ない:普及率が低く、導入している医療機関が限られています。
・診断精度に影響が出る可能性:画像の鮮明さが不足するため、小さな病変の発見が難しく、診断の正確性に影響することがあります。

当院の1.5Tトンネル型MRIの特徴
当院で導入している1.5Tのトンネル型MRIは、ドーナッツのように全周を囲む円筒形の構造をしており、オープン型MRIと比較して以下のメリットがあります。

ヘッドコイル前面を外した状態で検査可能
閉所恐怖症の方でも圧迫感を軽減できます。
高画質な画像を短時間で取得
オープン型MRIに比べ、約10分と短時間で高精細な画像が得られます。
診断精度が高い
磁場の強度が高いため、脳や脊椎、関節などの詳細な診断が可能。
閉所恐怖症の方にも配慮した検査方法
短時間で検査が完了するため、不安を軽減できます。また、付き添いや検査環境なども工夫することで 『ここなら受けられるMRI!』を目指しています。
⇓MRIが苦手、閉所恐怖症でMRI検査をためらっている方はこちらもご覧ください⇓
MRI検査を快適に受けるために
MRI検査は、装置の種類や環境によって受けやすさが変わります。
オープン型MRIは、開放的な構造で閉所恐怖症の方にとって安心できる選択肢ですが、検査時間が長くなることや画質の面で課題もあります。
一方、当院の1.5Tトンネル型MRIは、ヘッドコイルの前面を外して圧迫感を軽減し、約10分という短時間で高精細な画像を取得可能です。MRI検査が苦手な方でも、短時間で済むことでストレスなく受けられるケースが多くあります。
閉所恐怖症と言っても嫌な理由、ポイントは人それぞれです。
『狭くても短い時間なら…』
『オープンなら多少長くても…』
自身が嫌だと思うポイントをできるだけ小さくし、「これならMRIを受けられる!」という前向きな要素を見つけ出すことで、皆さんが検査を受けられてこそMRIの利点が生かされるのではないでしょうか?
また、頭のMRIを迷っている方は、顔の前カバー(ヘッドコイル前面) の有無や検査時間、検査内容について、問い合わせてみるのも手段だと思います。
この記事が、その選択の一助となれば幸いです。